昭和後半〜平成初期のアニメ事情とアニメオタクへの差別

オタク差別を語る前に、話が長くなる事を記しておく。
どこから語れば良いものか…当時の時代背景も書いておこうか。
私が生まれ育った所は田舎だ。幼い頃はアニメの宇宙戦艦ヤマトやDr.スランプ、初代ガンダムを視聴していた園児であった。
この頃はオタク差別など聞いたことは無かった。
この頃は先生に何度も繰り返し自分の名前、住所に電話番号を間違いなく言えるよう訓練した。
当時は身代金目的で幼い子供を誘拐する犯罪者がいたからだ。

年長組の園児だったか小学生になる頃に週刊少年ジャンプでドラゴンボールの連載が始まり間もなくアニメ化した。
あっという間に大人気となりクラスでも話題にのぼった。

オタクを差別するのが明確になったのは小学校低学年の頃だったろうか?
宮﨑勤の幼女連続誘拐殺人事件から始まったと記憶する。この事件が起きる前に園児を狙った身代金目的の連続誘拐殺人が度々発生しており宮﨑勤が犯行に及んでる最中も世間では「また朝鮮人か…これで何十人目だ?」くらいの認識だった。
私が物心つく頃にはそんな事件が頻発していて小学校高学年頃になるまで続いていたのである。犠牲になった幼児は合計何人になるか気が遠くなる。
実際はTV番組録画マニアな宮﨑勤が犯行に及んだ動機は抵抗しそうにない幼児を狙った根性無しのクズだったのだが犯人の部屋に踏み込んだマスゴミがアニメ情報誌だけを映してアニメオタクが犯罪を行うのだと言う荒唐無稽な報道を始めたのがきっかけだ。
最初は一部のマスゴミだけだったが周辺へ瞬く間に燃え広がりオタク=犯罪者予備軍という図式を作り上げた。
当時のコミックマーケットでとあるTV局が「ここに10万人の宮﨑勤がいます!」と叫んでたくらい異常だった。
正直、子ども心に馬鹿じゃないの?としか思わなかったがどういうわけか一般人も全てではなかったけどオタクに対して露骨な差別をするようになっていった。
とは言え地域差があったらしく、私が通ってた学校ではクラスの皆が教室内に漫画本を持ち込んで仲良く回し読みしたり今週放映されたアニメの感想を口にするくらいの事は普通だったし大らかだった。
それくらいなら、まだ。
中学生の頃になるとアニメ情報誌からTVアニメが深夜帯にも放映予定ということで視聴したくても親が許さない状況になりつつあった。
私はすぐさまお年玉などで貯めたお金をためらいなくTV番組を録画できるビデオデッキを2台購入し深夜帯に同時放映されるアニメの録画態勢を準備し結果成功した。
帰宅して宿題を終わらせてからゆっくり見て楽しんだ。これは社会人となり仕事が多忙で視聴できなくなるまで続いた。
クラスの友人も同じ考えに至ったようで録画視聴し感想を語り合った。
ただ周囲の生徒は深夜放送なぞ知らずどこでその情報を仕入れたのか訊いてきたのでアニメ情報誌の事を伝えると「オタクぅ〜!」と言われた。マニアと言ってくれ。
視聴するうち他にも深夜アニメは無いのか新聞のテレビ欄を見てそれっぽいタイトルを録画しては確認…と繰り返しハズレを引いたり当たったりした。
どういうわけかどのアニメ情報誌にも掲載されてないアニメが放映されてるのがたまに入っているのだ。「旋風の用心棒」とか。見つけたのが物語の半ばだったので視聴を諦めたが。
そんな中、私に対する嫌がらせ?いじめが始まった。身バレ防止のため内容は伏せるがそこまで苛烈なものではなかった。悪ふざけ程度の認識なのだろうが叩いてきた時全力で殴り返した結果、仲間外れや私物の損壊に切り替わった。
そんな事よりも頭の中は勉強の他は漫画アニメラジオラノベでいっぱいでいじめをする連中に構ってる暇は無いし次から次へと新作が出てくるので娯楽に夢中になった。
当時はアニメや漫画の量も今と比べて半分以下だったが全て追いかけるのは不可能でいじめ加害者にその楽しみを教えるのも業腹だったから外で友人と語り合う以外はなるべく黙っていた。
あの当時、私は「いつかアニメが一般的に受け入れられる時が来るかもしれないが、その時になっても今までの作品全てを視聴できないだろう。恐らくは有名どころだけを視聴して満足するしか無くなるかもしれない」と考えていた。
まさか今現在はアニメ漫画ラノベが大量生産されほんの一部しか視聴できなくなるとは想像していなかったけど。

話を戻してマスゴミのオタク差別だが、宮﨑勤が事件を起こす前それまで連日報道していた朝鮮人による幼児連続誘拐殺人事件そっちのけでオタク叩きをするようになった。
それだけでなくゴールデンタイムに刑事ドラマで取り扱われる幼児連続誘拐殺人事件も犯人が日本では使われない漢字三文字の名前ではなく皆日本人で事情があって犯行に及んだなどと改変された。
実際はうん千万円の身代金を要求され払おうが払うまいが幼児はほぼ殺害されるのが常で、身代金を支払うと別の幼児が誘拐されるの繰り返しだった。
これらの事件で逮捕された犯人は軒並み死刑執行されたがマスゴミはほとんど報道しなかったと記憶している。
ちなみにこの当時の死刑執行は年間平均20〜30人で引退した裁判官が「ある年に死刑執行された人の中に日本人は「一人も」いなかった」と語るくらいには治安が悪かったようだ。

それだけの経験を私のような氷河期世代は知っているはずなのだ。ところがマスゴミが宮﨑勤事件ばかり報道してオタク叩きに走った結果、どうも忘れてしまったらしい。
かつての同級生に訊いてみたところ「そんなのあったっけ?それよりも韓流が〜k-popが〜」と話題にする時点でお察しである。
私はTVの視聴を止めて20年くらいになるが視聴を続けてるとこうなるようだ。おっそろしい…。
以上、マスゴミが日本のオタクにどのような悪影響をもたらしたのかを書いた。
なにせもう随分昔の記憶だから曖昧になっているが当時の世情はこんなふうだったと言う事を今の若者たちは知ってもらいたいと思ったのである。

正直、いじめ加害者に思う所はあるが程度の低い人間性と関わりを持たなくなったので感謝していたりする。
何故か?風の噂で仲間内でのいじめが発生し私よりも酷い目に遭ったと聞き「なるべくしてなったな」と。
もしかすると社会人になってからも会社内で醜い人間性を発揮していがみ合いしてるのかもしれない。
そんな事よりも娯楽だ!
終わり。お目汚し失礼いたしました。

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