新人賞を受賞してから発売まで二年かかったラノベ作家の話



挨拶

 知らない方は初めまして。知っている方はいつも閲覧や応援ありがとうございます。及川シノンと申します。

 私は19歳の時にWebサイトで掲載していた作品が書籍化され、ライトノベル作家としてデビューしました。しかし売上が伸びず一巻で打ち切られてしまい、悔しい思いをしました。
 それでも諦めず再チャレンジを続け、28歳の時に第11回集英社ライトノベル新人賞を受賞することができました。

 それまでの経緯はコチラ↓

 しかし実際に発売されるまで、受賞から約二年の歳月を要することになります。
 何故そんなに時間がかかったのか。誰が悪くて、どこに問題があったのか。
 出版までの流れを時系列順に並べ、検証していきたいと思います。

時系列2022年

2022年4/6
集英社ダッシュエックス文庫の編集者から、受賞の知らせが届く。

4/7
PCメールアドレスを伝え、11日に電話で打ち合わせすることを予定。

4/11
電話打ち合わせ。
受賞作に選んだ理由や編集部内での評価、発売に向けて今後の修正方針などをザックリと説明される。
発売時期は2022年の12月か、23年の1月を目標にするとのこと。
作品全体の強みを伸ばすため、どのように修正していくか企画書の提出を求められる。

4/12
修正案をまとめた企画書をメールで提出。

5/2
一ヶ月ほど返信がないため、メールが届いているか確認のメールを送る。

6/1
二ヶ月ほど返信がないため、確認のメールを送る。

7/11
三ヶ月ほど返信がないため、確認のメールを送る。

8/22
四ヶ月ほど返信がないため、確認のメールを送る。

同日
編集者からの返信が届く。
返信が遅れた謝罪と共に、メールや企画書は受け取っていたとの報告を受ける。

8/26~30
メールでやり取りし、修正方針を擦り合わせていく。

9/1
電話打ち合わせ。
作品のストーリー全三章のうち、一章の内容をどう修正するか話し合う。

9/20
一章の内容を改稿し、修正稿01として提出。

9/21~29
修正稿の内容を編集者が確認し、リテイクの相談。

10/5
電話打ち合わせ。

11/11
一章の内容を更に調整し、修正稿02として提出。

12/22
一ヶ月ほど返信がないため、確認のメールを送る。

時系列2023年

2023年1/10
二ヶ月ほど返信がないため、確認のメールを送る。

2/1
確認のメールを送る。

2/20
確認のメールを送る。

2/27
自分から編集者へ電話をかける。
出なかったため、ダッシュエックス文庫編集部へ直接電話をかける。
編集部内の社員が取り次ぎ、担当編集者から折り返しの電話がかかってくる。
原稿データは受け取り、確認中とのこと。

3/31
編集者からメールの返信が届く。(※この時点ではメール受信に気付かず)

4/14
編集者からの返信メールが来ていることに気付く。
一章の修正は完了。既に受賞から一年が経過。

4/21
二章の修正内容について電話で打ち合わせ。

5/19
二章の修正稿01を提出。

6/30
一ヶ月ほど連絡がないため、確認のメールを送る。

7/19
二ヶ月ほど連絡がないため、確認のメールを送る。

8/4
編集者からのメールが届く。リテイク。

8/10
二章の修正稿02を提出。

8/22
返信がなかったため、確認のメールを送る。

9/19
編集者へ電話をかける。

9/21
編集者からメールで返信が届く。

9/29
三章の修正内容について電話打ち合わせ。

11/2
三章の修正稿01を提出。

12/4
一ヶ月ほど連絡がないため、確認のメールを送る。

12/22
編集者へ電話をかける。留守番電話を経て、応対。
三章までの修正は一旦終了。

12/27
編集者からメールが届く。
一章~三章までの原稿データ全体を、実際に書籍となったイメージの形にして確認・調整する作業に入る。

時系列2024年

2024年1/9
一章~三章までの原稿データチェックを終え、提出。

1/17
返信がないため確認のメールを送る。

1/30
返信がないため確認のメールを送る。

2/2
返信がたびたび遅れるため、編集部内で何か問題が起きているのではないかと推察。
作家にメールを返せないほど編集者に過度の負担がかかっていると思い、過剰業務やパワハラによって肉体的・精神的に疲弊しているのではないかと心配する。
そのため「編集部・編集者・自分との三者による適正な業務量の話し合いがしたい」という旨を編集者へメール送信。
サラリーマンという立場では上司や編集部には反抗できず、なかなか言い出せないのだろうと慮る。
メールで「これから編集部にも直接連絡し、私が代わりにガツンと言っておいてやるから安心してください(`・ω・´)b」と勇気付ける。

30分後
電話が鳴る。
「いや別にパワハラとかそういうわけじゃないので、編集部に直接連絡するのはやめてください」と編集者から連絡が来る。やったぜ。

2/16
発売時期はいつ頃になりそうか、確認のメールを送る。

2/22
宣伝活動について、今後色々と行っていきたい旨をメールで大まかに伝える。

3/4
イラストレーターが決まる前に、自発的にキャラクターデザインのイメージなどを伝える。

3/11
出版までの経緯をエッセイとしてまとめ、ネット上で公開したい旨をメールで伝える。

3/19
宣伝活動について具体的に、YouTuberへの宣伝動画の作成依頼、エッセイの詳細な内容など、今後していきたい方針をメールで伝える。

3/25
出版までの経緯をまとめたエッセイ(下書き)を執筆し、メールで送る。

3/27
編集者からの返信が届く。
宣伝活動を行っていきたいという諸々の提案を把握し、編集部の確認を取るとのこと。

4/22
一ヶ月ほど連絡がないため、確認のメールを送る。既に受賞から二年が経過。

4/22~25日
編集者からの返信が届く。
イラストレーターは決定し、キャラクターデザインなどの確認に入る。

4/26
発売日は6月25日の予定と連絡がくる。

4/30
書籍発売の宣伝動画を企業案件として作成してくれないか、様々なYouTuberや動画投稿者へ依頼のメールを送る。
(※その後とある動画投稿者さんが案件を受けてくださり、打ち合わせなどが始まっていくが、今回は割愛)

5/2~5/9
表紙イラストや挿絵のサンプル画像が届く。
イラストの内容、他にもサイン本の作成や店舗特典の執筆についてなど、確認や相談を重ねていく。

5/9~14
自宅に届いた紙の原稿(ゲラ)の確認作業。誤字脱字など赤ペンでチェックを入れ、出版社へ返送。

5/20
店舗特典ショートストーリーの原稿データを送る。

5/22
表紙イラストのデザインやタイトルロゴを確定。

5/29
帯デザインを確定。

6/5
本編の書籍化作業自体は終了。

6/18
サイン本の作成。

6/25
書籍発売!

まとめ

 以上、受賞から出版までの約二年間を時系列順にまとめてみました。

 noteで読みやすいように省略した部分も多いので、詳しい内容はカクヨムにて公開中のエッセイで確認していただけると嬉しいです。
(※この記事やエッセイは、編集者に内容を見せて確認を取って公開しているものです。
無断で暴露したり告発するような、出版社を攻撃する意図を持ったものではありません。)

 ここまで読んだ方には理解していただけると思いますが、この二年間に起きた出来事は『被害者の作家VS加害者の編集者・出版社』という性質のものではありません。

 何故なら私にも、大きな問題点や反省点があったからです。

 連絡がないならないで、自分から積極的にアクションを起こすべきでした。
「何度も催促して煙たがられたらどうしよう」「売れてもいない、ネットで既に固定客や人気を集めている作品でもないのに、そりゃ手間暇かけられないよな」「他にも一応シナリオの仕事はしているし、コッチは後回しにされても別にいいや」と思わず、メールがダメなら電話、電話が繋がらないなら会社に確認するなど、社会人ならば当たり前の行動をするべきでした。
 変に遠慮して、「きっと忙しいのだろう。それに、自分より売れてる人を優先しているんだろうし」と勝手に思い込んで、自ら損をするような行動は取るべきではなかったです。

 ですので、この記事を読んで『集英社ダッシュエックス文庫の編集部や編集者が、新人賞を与えた作家を二年も放置した』という誤った風評を広めるのだけは、絶対にやめてください。

 そんなことをした時、初めて『加害者』が生まれます。それは貴方になってしまいます。

 編集者さんとのメールや電話でのやり取り自体は、間隔が一ヶ月単位で空いたとしても、この二年間すごく和やかで建設的なものでした。

 私がこの記事やエッセイを作成・公開した目的は、私のように新人賞を受賞したり書籍化が決まったのに、編集者とのやり取りやコミュニケーションで悩んだり困っている人達に向けて、あるいはこれからプロデビューを目指して頑張っている人達の一助になればと思い、noteやカクヨムに載せました。
 もし何か出版社との関係で悩みを抱えている人は、私のSNSでもカクヨムのコメント欄でも、いつでもお気軽にご相談ください。(※流石に「俺がアナタと出版社の間に入って、解決してやるぜ!」ってことはできませんが……)
 悩みを共有するだけでも、結構楽になりますからね。

 ちなみにX(旧Twitter)でエッセイを告知した時は、「出版までそんなに時間がかったなら、損害や賠償を請求できる」というご意見もありました。
 しかしそんなことをしても必ずお金が貰えるわけではありませんし、せいぜい数十万とか数百万円でしょう。
 作品がヒットすれば、それ以上のビッグマネーが印税として入ってくるので、漫画化アニメ化映画化ハリウッドでトム・クルーズ主演の実写化を目指し、出版社や編集部、担当編集者さんと共に頑張っていきたいと考えています!

 紆余曲折ありましたが、第11回集英社ライトノベル新人賞受賞作『異世界除霊師』は2024年6月25日発売です!
 異世界×追放×ホラー×アクション×美少女×ゾンビと、てんこ盛りです!
 ホラー映画好きもホラーが苦手な人でも楽しめる内容になっているので、興味がある方はコーラとポップコーン両手に是非読んでみてください!
 ……いや両手塞がってたら読めないか。

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