見出し画像

アーサー・ヘイズが「初期分散型」Lido Financeを警戒

4月12日、元BitMEX CEOのアーサー・ヘイズ氏が自身のブログでアクシャト・ヴァイディヤ氏をゲストライターとして迎え入れ、Lido Financeのような「初期分散型」サービスの危険性を指摘した”Shapella’s Show”という記事を公開しました。
原文はこちら☟

アーサー・ヘイズ - BitMEXの共同創設者・元CEO。ストレートな言動で有名で、彼の発言を参考にするトレーダーは多い。

BitMEX - 2014年にヘイズ氏が立ち上げたレバレッジ専門の暗号資産取引所。2020年にヘイズ氏はアメリカ国内で会社を登記しなかった罪で米国司法省から起訴され、CEOを辞任。

Lido Finance - イーサリアム(ETH)のステーキングを簡単かつ効率的に行うことができる分散型金融(DeFi)プロトコル。イーサリアム2.0においてはETHのステーキングには通常32 ETHの最低預け入れ額が必要であり、また、ステークしたETHが非流動化されるという問題があった。
Lidoを利用するとユーザーは1ETH未満からETHステーキングができるようになり、ステークされたETHにほぼ1対1で対応する流動性の高いトークン(stETH)が発行される。ユーザーはステーキング報酬を受け取りつつstETHを取引所で取引したり、他のDeFiプロトコルで利用したりできる。ヘイズ氏は完全分散型への進歩途中であるという意味でLidoを「proto-decentralized (初期分散型)」サービスと呼んでいる。

ヘイズ氏がBitMEX CEOだった時代にヴァイディヤ氏は同社の経営企画部長だった過去があり、現在では投資ファンドMaelstromを共に立ち上げています。今回は、そんな業界を賑わせるヘイズ氏のステーキングサービスの現状とLidoの危険性についての見解をまとめました!

ステーキングサービスの現状🌏

1) ブロックチェーンのインフラ的性質上、プライベートウォレットのキーを第三者に手渡す必要は一切ない。しかし、過去から学んでいない多くのユーザーが簡単にETHスーテーキング報酬を得たいという欲求のままに危険な火遊びをしている。

2) これはイーサリアムの”Shapella”アップグレードによって終わりを告げる。このアップグレードにより、ステーカーははじめてステークしているETHを出金することができるようになる。

3) ETHステーキング市場において頭角を現してきた大手サービスは、このアップデートによって大きな損失を被る。

4)これらのうち、パイオニアかつ最大のLSD(リキッドステーキング・デリバティブ)であるLidoが最も大きな次元爆弾である。

Lidoの危険性🔥

1) Lidoはそもそもステーカーたちがノードオペレーター(トランザクションの検証や新しいブロックの生成を行う存在)を信頼しているから成り立っている。ステーカーは自身のETHおよびステーキング報酬に対する管理権を持たない。
(*LidoではステークされたETHはノードオペレーターに分配され、検証のためにイーサリアムのメインネットに預けられます。これらのオペレーターは、公開された検証キーを使用して、ユーザーのステーキングされた資産を含むトランザクションを検証します。ユーザーは自身のETHをステークした段階で、個人のアセットの管理権限をノードオペレーターに完全に移譲していることになる、というのがヴァイディヤ氏の意見です。)

2)極論、LidoのノードオペレーターはいつでもユーザーがステークしたETHを非流動かつアクセス不能にすることができる。ノードオペレーターがルールに従わなくとも、彼らに何ら不利益は生じない。

3)たった4〜6%の利回りのために自分のプライベートキーの管理権をLidoに明け渡すことは非常に危険で、これほどの危険を冒してまでETHをステーキングする必要はない。

プライベートキーを第三者に公開することは、分散型エコシステムに参加するために必要な妥協ではない、というメッセージが強い記事でした!

このような課題感をアーサー・ヘイズ氏は持っており、そこで、単一障害点を排除するためのツールを提供するプロジェクトのObol Labsに投資して支援しているとのことです。

Obol Labsではバリデータの鍵を複数のノードオペレーター間で「分割」することを可能にする、「マルチシグ」バリデータを技術開発しています。

クリプトの冬とされる今でも、Lidoなどのレガシーサービスに取って代わる、トラストレスかつ非管理的なETHステーキングサービスたちが着実に構築されつつあるのは恐ろしいです・・・!

web3事業に関心のある方は、ぜひDeFimansへご相談ください。

(勉強会:北野、文:山田)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?