【DeFimans小野が教える】web3の定義をどう解釈するのか?~デジタル資産の所有権~
誰も教えてくれないweb3の定義を、DeFimans代表、小野暢思が教えます!
web3の広義と狭義の構成要件
web3と巷で耳にすることが増えたと思います。しかしながら、web3の定義とは一体なんでしょうか。
前提として画一的な定義があるわけでなく、社会全体であらゆるプレイヤーが自身で解釈し定義していくべきですが、基礎的な定義や解釈を1つ持っていた方が情報理解の解像度が上がると考えています。
結論から言うと私はweb3とは
「デジタル資産の所有」
もしくは「デジタル資産の所有による経済圏の参加」
と捉えています。
web3は広義には「分散化されたネットワークの世界」や「ブロックチェーンが活用されたサービスが多く浸透した世界」と解釈できますが、狭義には
「ユーザーがデジタル資産を所有して経済活動している世界」
と捉えると、より解像度が高く世界が見えてくると思います。キーワードは「所有」です。
web1、web2との比較
web3とはあくまでweb1やweb2と比較して登場した概念です。web3という言葉自体はイーサリアム創業メンバーの1人ギャビン・ウッドが設立したWeb3 財団という組織がその起源だと言われています。この財団はポルカドットというプロジェクトを推進しています。
web1はRead(読む)、
web2はRead+Write(読む+書く)、
web3はRead+Write+Own(読む+書く+所有)
と比較されます。
web1時代は企業が発信した情報をユーザーが読み、消費するだけの一方通行の情報のやり取りでした。具体的にはユーザーが企業のホームページを読み情報を獲得するというイメージです。
web2時代はユーザーが企業からの情報を受領するだけでなく、ユーザー自身も情報を発信する時代でした。具体的にはFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSで文字や写真で情報を発信し、YoutubeやTiktok などで動画を通じて情報を発信します。企業もユーザーもお互いに情報を発信し合う双方向の経済活動がそこにはあります。
web3時代はこのweb2時代に加えて、「所有」という大きな要素が加わることでパラダイムシフトが起きます。ユーザーが情報を資産として所有できる状態が誕生します。
例えばYoutubeのチャンネル登録者、Twitterのフォロワーなどはユーザーの資産のように見えますが、ユーザーの資産ではありません。それらのサービスを運営する企業が所有しています。アカウントが凍結されれば、失ってしまいますし、運営企業が倒産すれば消失します。
また別の例だと、ゲームをプレイして獲得したアイテムもユーザーの資産のように見えますが同じようにアカウントが凍結したり運営会社が倒産したら、アイテムも消失してしまいます。
web2の時代は厳密にはユーザーは何も所有していないことがわかります。
ユーザー体験としてのweb3
日常生活を思い出してみてください。
web2時代では、様々なサービスを使用する際にアカウントの作成を求められますよね?個人情報を入力して、各サービスごとのアカウントを作ります。アカウントに紐づく個人情報も企業が所有している状態です。
しかし、web3の時代ではサービスごとにアカウントを作成してそこにアイテムや見かけ上の情報資産を格納するわけではありません。各ユーザーが「プライベートウォレット」を所有しており、その中にデータや情報が資産として格納されます。資産ということは自分の意志で他社との売買や交換が可能ということです。
例えばゲーム内のアイテムはNFTとして、獲得したポイントは仮想通貨/暗号資産としてプライベートウォレットに格納されます。
サービスの運営会社が倒産しても、ユーザーの資産は手元のプライベートウォレットにあるので消失しません。サービスを使用する際にもアカウントを作成するということはせず、プライベートウォレットを接続して使用します。従ってアカウントがバンされるという現象も起きません。
企業の情報資産の独占を解体し、ユーザーに所有権を戻していくという大きなパラダイムシフトがweb3時代とも言えるかもしれません。
消費者にとってこれからどのような経済活動の未来が待ち受けているのでしょうか。このコラムの読者一人一人が歴史の目撃者であり証言者なのです。
※ちなみに「web3」を表記する時は、Web3ではなく小文字のwでweb3と表記しています。なぜ小文字のwを使用するのかは意味があるので、いつか別の機会に説明します。
(文:小野暢思)