Consensysによる調査を総まとめ!世界・国内におけるweb3の浸透度は?
本レポート↓
ブロックチェーン企業Consensysとイギリスの大手世論調査会社YouGovは、web3に関する世界的なオピニオン調査を実施しました。クリプト、NFT、メタバース、といった各web3領域の認識率や各国への浸透度など、非常に興味深いデータが盛りだくさんです。
*対象:世界15カ国の15,000人以上の18〜65歳の男女、回答は9言語。収集された回答は各地域の代表性を保証するために、年齢・性別・居住地域に基づいて調整。
YouGovは主にアメリカ・イギリスの政治世論調査を専門分野としていて、非常に信頼性の高い世論調査を行うことで名高い団体です。結果からはっきりと見えてきたのは、通称グローバルサウスと呼ばれる南米・東南アジア・アフリカなどの途上国で暗号資産・web3のマスアドプションが本格化しているという点です。
法定通貨(フィアット通貨)が不安定な国であるほどこの傾向は強く、なんとナイジェリアでは「向こう12ヶ月内に暗号資産を購入するか」という質問になんと91%(!!!)の人がYesと答えていたので衝撃です。日本に住んでいると、にわかには信じ難いデータです。
日本と世界平均の比較🇯🇵
まず、世界各国と比べて日本ではどれほどweb3認知・アダプションが進んでいるかについてのデーターを見ていきましょう!
日本は世界基準と比べて、web3の概念の浸透度が低いです。メタバースやNFTなどの用語の認知度は高いですが、実際に中身まで理解しているという方は少ないようです。「web3」のコンセプトについて理解があると答えた方は10%以下になっています。
既存の金融システムに改善の余地があると考えている方は多いですが、ブロックチェーンをはじめとする新興技術が伝統的な金融システムを変革できると考えている方は13%にとどまっています。Consensysは、他の国々と比較すると日本は金融セクターに対する楽観的な見方や技術進歩に対する期待・認識が低い可能性があると推測しています。
暗号資産自体の認知度は世界平均ほど(80%)ですが、日本人の大半は暗号通貨に投資したことがなく(79%)、現在何らかの暗号資産を保有しているのは16%に限られます。 (*肌感ですが、日本国内において実際に暗号資産を保有している人口の割合は16%もいないと予想します。限られた人数の中の調査なので誤差が発生していることも考えられます。)
「データプライバシーは自分にとって重要だ」と答えた回答者は調査全体で83%にも昇りましたが、日本ではたったの64%に留まりました。既存のインターネットサービスが提供するプライバシーのクオリティが高い日本でこその数字です。一方「自分が利用するインターネットサービスに安心して自分の個人情報を提供できる」と答えた方は27%にとどまっているので、web3の中核をなす「各個人が自身のパーソナルデータに対する主権性を回復する」思想に共感する人は多いことも示唆されています。
2022年にFTXを筆頭としたCEX(中央集権型取引所)が相次いで破産したことを知っている人は21%に限られ(世界平均45%)、これらの事件がより広く報道されている国々と比較して情報源や暗号資産への関心にギャップがある可能性を示しています。
日本がweb3と暗号資産のグローバルなトレンドから完全に切り離されているわけではないものの、この調査では社会一般におけるweb3への理解や消費活動において日本が他国に遅れをとっていると結論づけられています。
では逆に暗号資産が次世代のアセットとして注目され、web3のアドプションが進んでいる国はどこなのでしょうか?
世界を俯瞰するーどんな国・地域で暗号資産・web3のマスアダプションが進んでいるか🌎
→南アフリカ、ナイジェリアなど経済不安にみまわれている途上国や、ウクライナなど地政学上の危機にさらされている国です。
ベトナム、南アフリカ、ナイジェリアでは「向こう12ヶ月内に暗号資産を購入」すると答えた人の割合がそれぞれ69%・80%・91%でした。法定通貨が不安定な国々では、暗号資産やその他web3アセットが比較的有用な価値保存・資産運用手段となっていることが分かります。
ウクライナでは開戦以来、クロスボーダーの決済手段となり得る暗号資産の購入が増加しました。決済手段比較サイトMerchant Machine調べでは、アメリカに次いで世界で最も暗号資産の利用が広まっている第2位の国になっているとのことです。
また、途上国の多くの人々は銀行口座を持っていないため、暗号資産は金融サービスにアクセスするための手段として機能しています。さらに、途上国の若年層の新しいテクノロジーへの関心は高く、暗号資産が新しい投資機会やビジネス機会を提供していると考えています。
つまり、多くの一般ユーザーを暗号資産・NFT購入などweb3アドプションに取り込むインセンティブになっているのは、このような経済的不安・法定通貨への不信用であることが分かります。web3の概念に惹かれて・既存体制を変えたいなど、前向きな理由でweb3に参入する一般ユーザーは世界的にみて少ないという事実にも考えさせられます。
web3ビジネスでお悩みの方は、ぜひDeFimansにお問合せください!
(勉強会:北野、文:山田)