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Hooking into the Future: Uniswapの正しいバリュエーションを算出する試み

割引あり

Uniswap V4に係る主な考察

  1. 我々は、2028年のUniswapの完全希薄後評価額(FDV)の60%がhookによるものになると予測しています。しかし、この成長のかなりの部分が既に現在のトークン評価額に織り込まれている可能性があり、上振れが限られる可能性があることに留意する必要があります。

  2. V4により、Uniswapはスポット取引アプリケーションから流動性プラットフォームに変容し、従来のスワップではなく、hookアプリケーションに課税することで新しい収益モデルの扉を開いています。

  3. hookの導入により、Uniswapは新しい市場、特に資産のトークン化資産(tokenized assets)やパーペチュアルスワップ(決済期限なしの先物取引)の取引高シェアを獲得できるようになります。 

  4. Uniswap V4は、EVM DEXとしての最高のステータスを確立し、EVM DEXとしての取引高シェアを大幅に拡大する見通しです。

Uniswap V4とは?

2023年6月、Uniswapはhookの導入とsingleton実装によるV4のビジョンを明らかにしました。変更点の簡潔な概要は以下の通りです。  

hook

V4では、ユーザーがAMM(自動マーケットメーカー)プールを作成できるスマートコントラクト「hook」が実装され、各流動性プールのカスタマイズがより柔軟になります。V3の厳格なイベントシーケンスとは異なり、スワップやLPポジション変更の前後など、プールデプロイヤーが自由なタイミングでプールにカスタムコードを組み込むことができるようになりました。hookはプラグインとして機能し、プール、スワップ、手数料、LPポジション間の交互作用を自在にカスタマイズできるようになります。 
V3で導入された基本機能を維持しながら、V4のスマートコントラクトとの統合が可能になるため、開発者によるAMMプール作成の自由度が上がります。

Singletonとガス代削減

Uniswap V4では、全ての取引プールが1つのスマートコントラクトにまとめられます、これが「Singleton」です。それぞれの取引プールが別々のスマートコントラクトを持つ必要がなくなりました。

すべてのプールを1つのコントラクトに統合することで、プール作成時のガス代(手数料)が削減されます。また、スワップ中の別のコントラクト間でのトークン転送の必要がなくなる「Flash Accounting」システムと組み合わされ、正味残高のみを調整することで資産移転を最適化し、ガス代を節約できるようになっています。さらに、V4ではネイティブETHのサポートが復活し、ガス代節約に一層貢献しています。

hookがUNIトークンに及ぼす影響  

V4の全体的なアーキテクチャを把握した上で、新機能から生じる3つの影響を整理しました。

- UNIトークンの新たな収益機会創出
- EVMのDEXシェアにおけるUniswapの地位強化
- Uniswapの新市場への進出

UNIトークンの新たな収益機会創出

hookの導入により、Uniswapはアプリケーションから流動性プラットフォームへと移行しました。hookは実質的にUniswapの流動性レイヤーの上に構築されたミニアプリのようなものです。コアアセットである流動性の販売から、その流動性へのアクセス権を販売するスタイルへと収益モデルが変化しています。

従来は流動性プロバイダー(LP)に課金するスワップ手数料のみに依存していましたが、hookの登場によりUniswapは、プールに結合された追加機能を収益化することが可能になりました。この戦略的な改革により、Uniswap上の最も貴重なアセット、流動性を提供してくれるLPへの課税を回避しています。

その結果、従来のプールに手数料スイッチを実装する前に、Uniswapはhookを介したスワップや出金に課税を検討すると予想されます。この方針の目的は、hook導入による付加価値の捕捉です。hookによる補助機能を利用したいスワッパーやLPは対価を支払う必要があり、これがUniswapの新しい収益機会となります。

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