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末代たち

俺たちがこの家のザ・末代だ!

私には、きょうだいがいる。未婚、子なしである。私も独身で、相手もいなければ、子どもをつくる予定もない。
このような、子孫繁栄に寄与しない連中が何故作り出されてしまったのか、振り返ってみたい。


私の場合

反出生主義

高校生の頃には反出生主義者となっていた。理由は簡単、15歳のときに精神疾患を発症したためである。精神疾患は遺伝する。私の疾患も親から来たものである。代々、精神疾患の家系なのだ。
一般的に、精神疾患に罹患した者の青春というのが、どんなものなのか具体的にはわからない。他のケースを聞いたことがないからだ。私の場合は、希死念慮に苛まれ、常に頭部に暗黒が取り憑いている感じで、ひたすらに苦しいものであった。
生まれない方がマシ。こんな遺伝子は絶やさなくてはならない。
私の反出生主義は日々強固なものとなった。

子どもが嫌い

私は、単純に子どもが嫌いである。小ガキを可愛いと思わない。ときどき、電車内などで、他人の小ガキをあやしている方を見かけるが、あの種の方々は本当に子どもが好きなのだと思う。
友人の子どもは唯一の例外で、可愛いと感じる。こんな私にもまだ人間らしい心が残っていたらしい。

委託

きょうだいは、根が陰キャにできている私と違って、陽キャであった。きょうだいならば、普通に結婚して、普通に子どもが生まれるであろう。私は決して子どもを持たないから、あとのことは頼んだ。
十代の頃から、そう考えていた。まさか、当てが外れるとは思ってもみなかった。

きょうだいの場合

きょうだいと腹を割って話したことがないため、ここから先は、私の推測となる。

凋落

先にも書いた通り、きょうだいは陽キャであった。精神疾患も発症しなかった様子。学生生活を満喫し、学校とバイト以外は家に寄りつかない毎日を送っていた。私のことは「暗い奴」と見下していた。
恐らく、転機は就職と思われる。色々と、うまくいかなかったらしい。
陽キャであったがゆえに、学生時代が人生のピークとなってしまったのだろうか。就職から先は、「一般的な陽キャが歩む人生」から脱落した。

黄昏

きょうだいはきょうだいなりに、色々と足掻いていた。何とか突破口を見出そうとしたのだろう。しかし、残念ながら、それは見つからなかった。年月だけが経ち、未婚、子なしのまま齢を取っていく。気がついた頃には、もう陽キャのステージも遥か遠く、戻ろうにも戻れない。
きょうだいは、黄昏の中に生きている。

共通点

双方ともに、「子どもが欲しい」という気持ちが全くない。もしあれば、年齢と併せて、焦るはずである。しかし、一方は半出生主義者で、もう一方は黄昏、どちらにも、何ひとつ焦る要素がない。
「子どもは必要ない」という感情しかないのだろう。このままでは血が絶えるというのに、危機感はない。

おわりに

何が諸悪の根源だったのか。「家庭」だろう。家庭については、まとめられたら、またいつか書くつもり。
今回はこれにて。

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