キャリアの全てが繋がった挑戦の場所。エンジニア→コンサルタントを経て挑む建設機械の自動化 |DeepX プロジェクトマネージャー:柳橋雅之
はじめに
大手メーカーでの開発、ソフトウェアエンジニア、コンサルタントと多彩なキャリアを経てDeepXに入社した、柳橋雅之。
コンサルタントとしても順調なキャリアを歩んでいた柳橋は、1通のスカウトを機にDeepXへ入社することとなりました。
「DeepXはこれまでやってきたことが全部活かせるレアな会社です」と語る柳橋に、これまでのキャリアや入社後の奮闘の様子を聞きました。
多彩な経験を持つコンサルタントが建機自動化スタートアップへ挑戦した理由
—— 柳橋さんはプロジェクトマネージャーとして、ビジネス視点でプロジェクトのマネジメントを行う仕事をされています。まずはご自身の経歴について教えてください。
柳橋:大学では材料工学を専攻して材料の研究をしていました。
具体的にはセラミックスを研究する研究室だったんですが、その中に「圧電体」という、電圧を加えると変形し、逆に圧電体を変形させると電気が生じるという材料があります。
電圧をかけると、通常リニアに電気が生まれたり、変形したりするんですけど、それが非線形になっていきまして、その非線形を理論的にどう予測できるか。といった理論式を作る研究をしていました。
—— 卒業後は複数の会社を経験したと聞いていますが、どのような仕事をされていたのですか?
柳橋:最初にメーカーに入社したのですが、大学の研究の延長で圧電体の開発、具体的には車に使われるジャイロセンサーの開発をしていました。
その後自動車メーカーでの仕事も経験しました。車の改良に必要なデータ取得や開発の効率化などに取り組んでいたのですが、一番印象に残った仕事は、工場で行われる検査の自動判定の仕組みを導入したことです。検査した画像を自動で送って、人の判断を介在させずに全部検査する仕組みを作りました。ちょうどディープラーニングが出たての頃で社内に経験者がいないということで、私も未経験者ですがチャレンジさせてもらえました。実際に開発してみて、この技術は世の中を変えていく技術だと感じたので、ソフトウェアやディープラーニングをもっと身につけて仕事をしていきたい、と思うようになりました。
—— 自動車メーカーの後に、コンサル会社のPwCに移られています。PwCではどんな仕事をしていたのでしょうか?
柳橋:PwCへ転職した理由は、前職で携わったディープラーニングのプロジェクトが面白くて、そういったソフトウェア系の技術を使って世の中へ幅広く価値を提供する仕事に携わりたいという思いが出てきたためでした。
というわけで、PwCでの最初の仕事はコンサルタントではなく、ソフトウェアエンジニアとして働きました。
まずはPythonで画像認識をやっていたんですが、それができるならということで、JavaScriptとGoを使ってバックエンドの仕事もやりました。それはもう死に物狂いで勉強して覚えました(笑)
ソフトウェアエンジニアとしてテックリードもやらせてもらっていたのですが、これは自分なりのバリューを出せていないのではないか、ということに危機感を抱くようになりました。ちょうど別のプロジェクトで自社開発のSaaSを使って技術戦略を立案するというものがあったのですが、そのSaaS開発をやりつつ、分析の面からコンサルタントとしての仕事もやらせてもらうことになりました。
当初は分析を中心に担当していたのですが、徐々にデスクトップリサーチやインタビューをまとめて示唆を出すコンサルタントとしての仕事も任されるようになりました。
それ以外にも、生成AIのPoCや、生成AIをどうやって社内に広めていくかといった意識改革の上流設計のコンサルプロジェクトにも携わりました。
—— ここまでで既に幅広い経験をされていますが、ついにDeepXにたどり着きます。転職のきっかけは、スカウトですよね?
柳橋:そうです!興味のあるスカウトをいただいたら、お話は聞くようにずっとしていて。その中でDeepXさんと縁があったという形です。
—— 数多くのスカウトがある中で、DeepXのどこに興味を持ったのですか?
柳橋:当時は生成AIのコンサルをしていたので、東京大学の松尾先生の名前を知っていたんですね。なので、その出身者が立ち上げた会社だというので興味を持ちました。
あと、私は今まで色々な仕事をやってきましたが、コアになるのは「センサー開発」「センサーを使って価値を生み出すこと」「コンサルで学んだプロジェクトマネジメント」だと思っており、これら全部を活かせる仕事をされている会社だなと。
私はハードウェアもソフトウェアも仕事にしてきましたが、その両方を活かして価値を出せる会社って世の中にあまりないんですよね。だから、おもしろいことやっているなと思って興味を持ちました。
—— スタートアップは柳橋さんも初めてでしたが、今までの大企業や有名なコンサル会社を経てスタートアップに入る際に、不安は感じませんでしたか?
柳橋:不安はなかったですね。もし挑戦してダメだった時に、昔の仲間に声をかけたら誰かが拾ってくれると思っていて。
だから不安というよりは、一度やりたいことに挑戦してみようと思って転職しました。
ディープテックでプロジェクトマネジメントを行う極意
—— 入社後はプロジェクトマネージャーとして仕事をされています。具体的にどういった役割を担われているかについてお話しいただけますか。
柳橋:私はクライアント向け開発プロジェクトをビジネス側として担当していますが、役割は大きく分けて3つあります。
まず1つ目は、プロジェクトのスコープを決めることです。それぞれ契約期間があるので、契約終了時の着地点を、お客様の要望と社内のリソース状況、ケイパビリティ等を見て考え、社内外ともに合意するというものです。
2つ目は、開発マネジメントです。開発が進む中で、やりたいことの優先順位を判断して、最終ゴールに向かってどう落とし込むかを、日々社内外でコミュニケーションを取って調整していくというものです。
3つ目の役割は、開発したものがうまく作動するか検証するための現場実験です。私の担当プロジェクトでは、頻度はまちまちですが比較的現場に行くことが多いプロジェクトで、多い時は2週に一度実験しています。
社内で実験内容を合意して計画を組んでも、行ってみると状況が違っていたり、思ったように進まないということもあるので、その都度優先順位を判断して、その実験で何を得たいかといったところから逆算しながら、開発を前に進めていくという役割を担っています。
—— 柳橋さんはビジネス側のメンバーですが、開発マネジメントにはどのように関わっているのですか?
特にハイレベルの要件定義には深く関わっています。技術プロジェクトマネージャー(エンジニア側のPM)やエンジニアと直接コミュニケーションを取りながら、やりたいこと・できることについて、実際に開発できる形に落とし込んでいます。
DeepXの開発は、制御、認識、ロボティクス、シミュレーションと全部専門性が違う技術を一つに統合していくものなので、1人で全部カバーするのはかなり難易度が高く、今は関係者みんなでやっています。
—— こういう話をするためには、ビジネス側の立場であっても技術的な理解は必要となってきますか?
柳橋:必要ですね。ここは新しく入った方がぶつかる壁だと思います。ただいくつかの技術領域のうち、何か1個でもやっていたら理解しやすいと思います。
私は認識技術はわかるんですけれども、今担当しているプロジェクトでは認識技術はあまり使っていないんですが(笑)
—— 経験のない技術を使うプロジェクトをマネジメントするのは大変だと思いますが、この状況にどのように対応していったのですか?
柳橋:私の場合はもうOJTですね。完全に理解できるのを待っていたらいつまで経っても価値を提供できないので。お客様から質問されたら、回答を考えるためにエンジニアに一つ一つ聞いたり、実験してトラブルが発生すると、「なんで?」というのをエンジニアの横で一緒に見聞きしていました。入社2ヶ月目から会議のファシリテーションや開発側の要件定義の議論にも積極的に入るようにしていました。わからなくてもとりあえずやる、と。
最初は足を引っ張ってしまったと思うのですが、キャッチアップはそうしたほうが早いので、トータルではこのやり方のほうが貢献できると考えて取り組みました。
その過程で困っていると、必ず誰かが助けてくれました。頑張って何かやろうとしている人を見たら、手を差し伸べてくれる文化があると感じています。
あとは同じ部署に、創業当初からDeepXにいて会社のことを何でもわかっているスーパーマンがいて、彼のサポートも大きかったです。
—— キャッチアップする上で、これまでの経験でどのようなことが役立ちましたか?
柳橋:まずはプロマネの経験ですね。お客様への報告資料や計画立案、あとは予算交渉や全体のプロジェクトマネジメントをする大枠のスキルは、前職のコンサルの経験が大きく活きているなと思います。
あと、ソフトウェアの知識も確実に活きているなと思いまして。現場で実験するためには、自分でコードを打って動かせたほうが良くて、ソフトウェアの開発経験があるので、できている……かはわからないですけれども(笑)活きているなとは思いますね。
ただハードスキルも大事ですが、より必要なのはソフトスキルだと感じています。何事も興味を持って学ぶ力や聞くためのスキルですね。
興味を持って積極的に質問をしたり、エンジニアメンバーとの間で信頼を積み重ねて聞きやすい関係を構築できると、キャッチアップは早いと思います。
DeepXの”現場”へのこだわり
—— 続いて、やりがいについて教えてください。DeepXに入って仕事をしてみて、どのあたりにやりがいを感じましたか?
柳橋:まず社会的意義という観点がありますね。人手不足の課題など、現場にいるお客様の口から課題感を直接聞いて仕事をさせてもらっているので、何のために開発しているのかということがわかりやすく感じられます。
個別のプロジェクトでいうと、ゴール目標を決めて、かつ、ここまでやりきろうというマイルストーンをエンジニアのメンバーも理解して一緒に開発してくれて、ちゃんとみんなで成果を祝えるところまで到達できた、ということは嬉しかったです。
自分のいるプロジェクトでも苦労はありますが、実際に大きい重機がガラガラ音を立てて、目の前で期待した通りに動いてくれた、今までの個々のエンジニアメンバーの積み重ねた努力が実る瞬間に立ち会えたのは、すごくやりがいを感じました。
—— 入社されてから、実際に建設機械が使われている現場に足を運び、現場の方々と多くコミュニケーションをされているのですね。
柳橋:ここまで現場の方々とお話しするのはDeepXが初めての経験だと思います。ソフトウェアを開発していて、これだけお客様の現場に深く入り込みその仕事を理解しようとしている会社は、なかなかないんじゃないでしょうか。
—— 次に伺いたいのが、入社前後の印象の変化です。もう1年近く経過してしまったのですが、、、入社前後でイメージが変わったところはありますか?
柳橋:入って思った正直な印象は、わりとしっかりしているなということです(笑)
—— はは(笑)どのへんがしっかりしていました?
柳橋:入社前は、個人プレーでカオスな状況かと思いきや、開発は組織的に足並みを揃えて仕組みを作っていたり、ドキュメントを丁寧に残そうとしている点はいい意味で予想と違いました。入ってから数ヶ月経過する中でも多くのプロセス改善がされています。
あとはもう1個、エンジニアのメンバーが優秀だというのはすごく感じています。自分たちでビジネス側のことも理解しようとし、計画が決まると自走して適切なものを作ってくれるメンバーが揃っていると思います。
—— 文化として特徴的に感じたことはありますか?
柳橋:2つあります。まずは圧倒的に「現場」ですね。
本当にこれはバリューになっていると思います。この前も真夏の炎天下の中で1週間実験したのですが、ソフトウェアエンジニアが何名も現場に来て実験してくれており、これはなかなかすごいことだと、率直に思いますね。お客様に価値を提供する上で他の会社との差別化になると思うので、本当にいい文化だなと。
もう1つは、自動化をビジネスとしている点です。
コンサルの世界だと、「まずは実際の業務プロセスを洗い出しましょう」「今のムダを減らしてビジネスフローを最適化しましょう」ということをやって、それが終わったら「システム化しましょう」と段階的にやっていくのが一般的です。DeepXではその整理をやりつつも最初から自動化まで見据えてプロジェクトに取り組んでいます。
コンサル視点で見たら非常に難しく時間がかかることをやっていると見えるのですが、そこにチャレンジしようとする、ディープテックとしての強いこだわりを感じますね。
—— 柳橋さんはまだ小さいお子さんがいますが、「働きやすさ」という観点で、DeepXの環境はいかがでしょうか?
柳橋:だいぶ働きやすいと思います。時間ベースでなくアウトプットベースでの働き方で、コアタイムなしのフレックスシステムも導入されているので、時間の使い方の自由度は高く家庭との両立もさせやすいです。今日もこの後、子供を保育園に迎えにいきます。
一緒にお客様と汗を流せる人と働きたい!
—— 最後に、DeepXではどういう人が活躍できると思いますか?柳橋さんはいろんな業界を経験した上でDeepXに来ているので、より客観的な視点で見れると思いますが。
柳橋さん:プロマネスキルや関連する技術経験などのハードスキルもありますが、それよりもソフトスキル、具体的には現場を大切にして現場に足を運べるカルチャーにフィットするか、というところが一番大切だと思います。
例えばコンサル業界の方たちは皆スキルレベルは相当高いですが、リモートワークでお客様の経営層と仕事をするケースが多いと思います。一方DeepXでは、現場へ行って、現場にいるお客様と一緒に汗を流せることを大事にしているので、そのスタイルでやってみたいという方だと絶対活躍できると思います。現場を大切にする方に是非DeepXに来ていただいて、一緒にこれからのDeepXを作っていきたいですね。
終わりに ~DeepXでは建機自動運転を一緒に進めてくれる仲間を募集しています~
DeepXでは建設機械の自動化に一緒にチャレンジしてくれる仲間を募集しています。
今回のインタビューでDeepXに興味を持っていただいた方は是非、下記リンクより応募してください!