The Lemon Twigs - The One
デビュー当時からなんとなく耳にしていたが、とくにピンとくる楽曲もなく、とはいえ新曲が出れば一応耳を傾けるという接し方をしていたThe Lemon Twigs。そんな不真面目な姿勢が一変したのは、“Foolin' Around”という曲を聴いてから。続いて耳にした“The One”も本当に素晴らしくて、態度を改めて良かったと思っている。
両曲ともに、Todd Rundgrenが大衆受けを狙って適当につくった素晴らしいポップソングの数々を彷彿とさせるどころか、シンプルながら緻密なアレンジや構成力では凌駕する点もある。パフォーマンスも素晴らしくて、“Foolin' Around”のヴォーカルはまるで若い頃のTodd Rundgrenだ。
とくに“The One”のリリースは、次作のプロモーション的な意味合いもあるのだろう。しかも同曲において、ダダリオ兄弟は、レコード会社に大衆受けする3分間ポップソングを書けとせっつかれて、それこそ3分くらいで適当に珠玉の名曲をつくってしまうTodd Rundgrenの態度を踏襲してみせたのだと思う。
ことさらうまさや技巧を強調することなく、さらりと聴かせてしまうところが本当に憎たらしい。天才ってのはいつの時代もいるものである。