Let It Be: Black America Sings Lennon, McCartney & Harrison
人生で一番最初に認識したBEATLESの楽曲は、「LET IT BE」だった。C→G→Am→F〜というオーソドックスなコード進行や、妙な高揚感をもたらす“レリビー〜レリビー〜”のリフレインなどなど、アホな中学生の耳にも心地よく響いたのだろう。「これってゴスペルじゃん!」などと気づくのなんて、だいぶ大人になってからのこと。
20世紀を代表するポップマエストロであるポールが、あえてベタに、シンプルな構成でまとめたのは、相当ゴスペル(Aretha Franklin?)を意識してのこと。このあたりの器用さを小賢しいととる人もいるかもしれないが、この楽曲に象徴されるような、時代の空気を読むセンスと、それに呼応するクリエーションの完成度の高さはアンチポール派であっても認めざるを得ないはず。
そんなことを考えながら、昨晩は『Let It Be』を聴いていた。と言っても、今話題のオリジナルじゃなくて、カバーコンピ『Let It Be: Black America Sings Lennon, McCartney & Harrison』のほう。Aceの名コンピ『Come Together: Black America Sings Lennon & McCartney』の続編だ。
Beatlesの面々が黒人音楽に受けた影響はもちろんのこと、そんな彼らと、彼らに触発された“ブラック・アメリカン”との相互作用が浮き彫りにされるカバーの数々は実にスリリング。ちなみに、ここでのLet it Beは、Aretha Franklinバージョンではなく、Bill Withers。ちなみに、Arethaが歌うのはEleanor Rigby。