アメリカ/クリス・スミス議員からの手紙
簡単な内容になるが記事を書きます。
実は前日曜日(4月14日)の夜、交通事故に遭い体調不良が続いているため手短に書きます。
4月11日(日本時間)の未明、日本人の配偶者によってわが子を誘拐された米国の当事者から吉報があった。
「Earlier today, U.S. Congressman Chris Smith confirmed that he had delivered a letter from the U.S. to Japan regarding the abductions directly to Prime Minister Kishida, and spoke for several minutes about the importance of doing more to resolve such cases.」
「本日未明、クリス・スミス米下院議員は、拉致事件に関する米国から日本への書簡を岸田首相に直接届けたことを確認し、このような事件の解決にもっと尽力することの重要性について私は岸田首相と数分間語った。」
この報告を受けた米国の当事者はスミス議員から直接電話を受けており、すぐに私達に知らされた。そして私も出来る限り早くXにポストした。
以前からショーン&デイヴィッド ゴールドマン アクト “Sean and David Goldman International Child Abduction Prevention and Return Act(通称:ゴールドマン法)の日本への適用を望んでいた私としては、スミス議員が2023年5月に開催した米国務省児童問題局の公聴会以来の朗報だった。(詳細は以前投稿した記事“法務大臣は知っていた“を読んで欲しい)
そして、私がXに吉報を投稿した6日後の4月17日、スミス議員のプレスリリースとFoxnewsでこの事が報じられた。
以前から他国による勧告などを求めている私だが、勿論、ゴールドマン法の適用がされる事なく、ハーグ条約と児童の権利条約に沿う家族法改正を日本政府が自ら立案する事を望んではいたものの、どうやら、与党の共同養育議員連盟の議員を含む日本政府には、その度量は皆無であろうと気が付いたのはもう何年も前になる。
しかし、親子関係を断絶された親の多くは、藁をもつかむ思いでいる事は確かで、殆どの別居親は彼ら共同養育を推進する議員のリーダーを信じていた。それ故に、早々に私のような一般国民がいくら疑義を呈しても信じなかったであろう。
彼らを信じ、盲信していた親達は、子供を奪われ、正しい法改正をしてくれると信じていた議員に裏切られ、そういった意味ではある意味で二重の被害者であろう。
話を戻すと、スミス議員と岸田首相には、ある意味での確執があった。2017年、当時外務大臣だった岸田氏は、国会での質疑で、ゴールドマン法の適用が日本に成される可能性を問われ
「米国がゴールドマン法を外国に適用した事実はない。我が国はハーグ条約を真摯に履行しており、同法が我が国の安全保障に影響を及ぼすおそれはない」
と答弁した。これに激怒したのがスミス議員だ。スミス議員は岸田氏の国会答弁を見て
「言語道断だ!改めなければならない」
と発言している。
2024年4月11日、スミス議員から岸田首相に手渡された書簡には、“米国民を取り返す。実子誘拐など絶対に許されない“との強い意思が感じられる。
そして、何を隠そう筆者の私も、今年の2月29日、昨年6月、3月にスミス議員宛に書簡を提出している。ここでは2024年2月に提出した書簡の日本語版を紹介する。私のXでの投稿には、家族法以外の日本の諸問題を提起しているものも多いが、日本の家族法には各利権の闇が複雑に絡んでいる。是非ともご一読頂きたい。
*Nastyboy提出文書
*岸田首相宛 スミス議員書簡は以下
日本語訳
「閣下、
日米両国が民主的、経済的、安全保障上の結びつきを強化するための措置を取り続ける中、私は、現在進行中の多くの努力を頓挫させる恐れのある未解決の傷にご注目いただきたいと思います。
現在までに、500人以上のアメリカ人の子供たちが、それぞれの親のどちらかによって日本に拉致され、アメリカ人の親から引き離されたままになっています。 このような拉致はしばしば、既存の裁判所命令に反して、場合によっては日本政府のパスポートによる援助を受けて行われています。
日本が2014年に「国際的な子の奪取の民事上の側面に関するハーグ条約」に加盟したことで、この危機に適切に対処することが期待されましたが、ハーグ条約は、子どもたちへのアクセス拡大や正当な返還を促進することなく、何百人ものアメリカの子どもたちが、日々、アメリカの親との別離の痛みに耐えています。
苦しんでいる子供たちのために、そして日米関係のために、私はこれらの家族を再会させることへの閣下の公約を求めます。
米国議会は長年にわたり、この問題に関して一致団結し、率直な意見を述べ、米国の子供たちを返還するよう貴国政府に働きかけてきました。 2010年、米国下院はH.R.1326を可決し、日本に対し次のことを求めた。
「米国籍の子どもの日本への拉致と日本への留め置きという緊急の問題に取り組むこと、米国政府と緊密に協力し、これらの子どもを親権を持つ親のもとへ、あるいは米国で親権を決定するための最初の管轄地へ戻し、置き去りにされた親がすぐに子どもと面会できるようにすること..."
2014年、国際的な親による子の奪取という恐ろしい犯罪を防止し、特に懸念される国々と二国間でこの問題に対処する手段を米国行政府に与えるため、ショーン・アンド・デイビッド・ゴールドマン国際的子の奪取防止・返還法(公法113-150)が議会で採択され、大統領が署名した。
遺憾ながら、アメリカ人の子どもたちの貴国への拉致は、現在進行中の人権危機であり、傍観したり見過ごしたりすることはできません。 以前にも申し上げたように、「日本のような国が、12ヶ月以上係属中の拉致事件の30%を解決できなかった場合、米国の法律は国務長官に行動を起こすことを要求する」。
長年にわたり、私は米国下院で16回の包括的な公聴会の議長を務めてきた。
国際的な親による子の奪取の問題に関して、多くの専門家や取り残された親たちが、この恐ろしい人権侵害について証言した。 すべての拉致事件が悲劇的である一方、不正の典型である事件もある。
* ジェフェリー・モーハウスは2010年以来、幼い息子を取り戻すために闘ってきた。 米国議会で何度も証言し、最近では2023年5月23日に開催された公聴会で議長を務めた。 彼はワシントン州で法的な親権を持ち、それは日本の裁判所でも認められたが、日本にいる息子と面会することはできない。
* 退役海軍大尉ポール・トーランドは、幼い娘の唯一の生みの親であり、日本にいる娘に会うことさえできない。
* マイケル・イライアス海兵隊軍曹は、ニュージャージー州の裁判所が親権を共有し、子どもたちが米国から出国することを認めないことを決定した後、2人の子どもを日本に拉致され、苦しんでいる。 子どもたちの母親はニューヨークの日本領事館の元職員で、日本領事館のコネクションを悪用して日本のパスポートを再発行した。 パスポートをすり替え、2008年のクリスマス直前に幼いジェイドとマイケル・ジュニアを拉致し、イライアス巡査部長との接触を一切認めていない。
* ランディ・コリンズ氏は、レイコ・ナカタ・グリーンバーグ・コリンズ氏が米国の裁判所命令に違反してカリフォルニア州から日本に息子を誘拐して以来、16年間も息子と連絡を取ることができない。
首相、子の奪取が児童虐待の一形態であることに疑いの余地はありません。
一方の親に誘拐され、もう一方の親から引き離されて海外で暮らす子どもたちは、深刻な精神的トラウマを負う危険性があり、不安、摂食障害、悪夢、気分の落ち込み、睡眠障害、攻撃的な行動、恨み、罪悪感、恐怖心を経験する可能性がある。
全米行方不明・被搾取児童センターによると、親による子の誘拐の被害者は、誘拐犯から以下のうちの1つ以上を教えられることが多いという: 1)残された親が2人を望んでいない、2)残された親が危険で有害である;
3)残された親が死亡している、あるいは4)もう一方の親が不明である。 このトラウマは簡単に消えるものではありません。
閣下、このような日系人の子供たちが、現在進行中の不公正を想起させ、強固な日米関係の障壁となるのではなく、日米両国間の強さの源となることを切に願っております。
私は謹んで、家族が再会し、癒やされることができるプロセスを作るために、米国と協力することを要請します。
クリストファー・H・スミス 」
ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、ゴールドマン法は適用国に対して、子どもの返還のみならず、経済制裁も視野に入れた米国の対外法である。以前も書いたが、この法が日本に適用されると、日本は2等国扱いとなり、経済的な打撃、国民同士の国際間の往来や交流にも制限が加わる。2等国扱いだけは避けたい日本政府は、ハーグ条約を骨抜きにし、“日本はハーグ条約を真摯に履行している“と言い張っている。しかしながら、米国では2023年度の各国ハーグ条約履行率の統計が発表されているが、日本の履行率は30%に満たない。以下の報告書(写真)は米国政府機関がブリンケン国務長官に報告したものである。その一部を紹介する。ネットで検索するとヒットするので、ご興味のある方は是非とも一読して頂きたい。
いずれにせよ日本の家族法改正案は今国会で通過するのは確実だ。
しかし、私が得た情報や直接連絡を取った他国の関係者の見解を総合すると、少なくともG7の6カ国とオーストラリアは、日本の家族法改正案が“desepution”だと知っている。
日本政府の弱点は外国の圧力だ。改正法が履行されるまでの期間は勿論のこと、私は諦めずに闘っていく。微力だが、わが子に対して恥ずべき事なきよう、
お父さんはしんちゃんの為に、世界の子ども達のために戦い続けたと、堂々と言えるように。
今日はこのへんで。
では。
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