At a House Foreign Affairs Committee hearing. Rep.Chris Smith and Secretary of State Blinken.
久しぶりのnoteの更新になる。
2024年5月23日、米国下院外交委員会が開催された。その議会の中でクリス・スミス議員はブリンケン国務長官とのヒアリングの中で、ハーグ条約に基づく米国民の拉致問題に言及した。
米国下院外交委員会
1:22:00~
スミス議員Youtube
翻訳
スミス議員
「子の奪取についてお伺いします。 私はデービッド・ゴールドマンの名前で、国際的な子の奪取に関する法律を提出しました。 日本の首相が米国を訪問されたとき、私は彼に手紙を渡しました。 私たちは北朝鮮に拉致された日本人のために声を上げています。
しかし、大きな懸念は、日本に拉致された500人の子どもたちがどうなるかということです。」
ブリンケン国務長官
「私は、多くの皆さんと同様、この子の奪取問題に長い間取り組んできました。 私は、あなた方がこの問題で行っていること、そしてリーダーシップに拍手を送りたい。
ある国が条約を守らなかったり、子どもを親から引き離したりした場合、私たちは行動を起こします。
この問題であなたと協力することを、私はいつも歓迎しています」
ご承知の方も多いと思うが、スミス議員は以前から米国民である児童が世界各国に拉致される問題に取り組んでおり、とりわけ実子誘拐問題に対しての解決に非常に意欲的だ。
ではなぜスミス議員は、今回の外交委員会での発言のように、日本に焦点を絞ったかのようにわが国に対してピンポイントで米国議会で問題提起をするのか。
それは、今さら言うまでもなく、米国内で米国人と結婚し、子供を授かった日本人の配偶者が、米国人の配偶者と離婚したくなった途端、米国の裁判手続きも行わず、相手(夫)に黙って身勝手に子供を連れて日本に帰国してしまう、いわゆる配偶者による“実子誘拐“問題が絶えることなく頻発しているからだ。
2023年の対米ハーグ条約批准国調査によれば、他先進国の児童返還率は軒並み90%を超えているのにも関わらず、日本の児童返還率は僅か30%にも満たない。そして先日公表された2024年度の調査でも、日本は僅かながら返還率が上がったものの、微増に過ぎず、先進国の平均値の半分以下の35〜39%となっている。(この返還率も見せかけであり、例えば一定期間、米国に戻した、或いは夏休み中のみ渡米したという事例や、返還の判断がされたが、日本人の配偶者が決定を守らずに履行していないケースさえ、日本政府は返還率に計上していると思われる)
ハーグ条約不履行国は70%以下の児童返還率で不履行国認定されるのが基本だ。
日本は2018年に米国からハーグ条約不履行国と認定されたが、2019年5月に不履行国認定が解除されている。ではなぜ日本はハーグ条約履行率が大幅に基準に満たないのにも関わらず、不履行国認定を解除されたのか?今や多くの当事者がご存知のように、ハーグ条約にも骨抜き条文を規定し、また、日本政府はハーグ条約は国内法に準ずるという規約を悪用し、ハーグ条約国内法を設置、国際法であるのにも関わらず、あり得ない悪法に仕上げてしまったのだ。そして、この悪法により諸外国の親たちは非常に苦しめられており、日本人同士での実子誘拐事件、親子断絶事例同様に、子供を奪われて絶望した親の心理的外傷、自死などが後を絶たない。殆どの外国人は、英語が話せても日本語に不自由であり、日本の難解な裁判手続き、役所や警察への相談も非常に苦労し、諦め、絶望してしまう者も少なくない。
少し話はズレるが、たまにソーシャルメディアなどを通じ、私に質問をされる当事者の方がいる。質問の内容はこうだ。
「この度の家族法改正では、ハーグ条約案件だけが優遇され、外国人が救われても日本人当事者が救われる可能性は低いと予想されるが、どう感じるか?」
つまり、こういった質問の背景にあるのは、この度の改正案は対外国向けの誤魔化し法案であり、外国からの圧力で改正に至った。だから対外国向けにハーグ条約案件のみ適正に履行するだけで、日本人は救われないのではないか? という事だ。
だが、よく考えてみてほしい。ハーグ案件は国内法に準ずるとの規定もあり、外国から子供を連れ去った日本人の配偶者だけが特別に刑事起訴される訳ではない。子供を連れ去った日本人の配偶者のほとんどが、国内法に準じて裁かれ、ハーグ案件の対象になるので、海外からの実子誘拐と親子断絶、日本国内の実子誘拐、親子断絶の法運用に合理性がなければならない。更に言うと、例えば外国人と日本人の夫婦で、一方の配偶者が日本国内で子供を誘拐したとしよう。しかし、一方の配偶者や子供が他国籍の場合や在住状況により、ハーグ案件か否か異なってくる。その為、現在日本に在住している当事者でもハーグ案件になる場合もあればそうで無い場合もある。ここでもっと重要なのは、
日本人に実子誘拐や親子断絶された各国の当事者は、あくまでハーグ案件を自国の政府に訴えているのではなく、ハーグ条約締約時の条件には、「締約国は国際法との整合性が取れる家族法改正を行うこと。」とあるように、つまり
“ハーグ条約締約国は先進各国の家族法と同様であるべきで、日本の国内法の不備、すなわち親子交流の在り方や原則的な共同親権制度を求め、訴えている。
つまり、スミス議員の問題提起も表向きはハーグ条約案件への疑義であるが、各国政府、各国大使館ともに、日本の国内法を正しく改正せよ、という事である。現に、国連、オーストラリアやイギリスからも「ハーグ条約を守れ」ではなく「国内の家族法を改正せよ」と言われているのである。そうでなければ日本国内に住む各国の当事者で子と会えない親の意向を汲むより、ハーグ案件厳守にしか言及しないだろうし、国内の家族法を適切に改正しなければハーグ条約との整合性が取れない。更に日本の家族法があまりに道徳や法律、不文律からかけ離れ、非人道的であるからである。
話が逸れてしまったが、従って外国からの圧力は、ハーグ案件の児童の返還率向上にもなり、国内法の解決にもなると、確信に近いものを感じている。
特に、日本が唯一軍事同盟を結んでいる米国の国会議員が、日本の家族法に関係する問題提起をした事は、家族法の正しい改正にとり、非常に影響が大きい。このところ何年か日本の家族法に言及をしていなかった共和党のスミス議員がなぜ昨年5月、今年4月と5月にアクションを起こしたか、それは日本政府が家族法の改正を決定したこともさる事ながら、家族法改正案が完全な骨抜き共同親権だからだと考えられる。
今回の家族法改正案を読めば、誰でもわが国の子供達が帰ってこないと理解出来るであろう。そして、子供を奪われた自国の親達も救われない事も。
日本の家族法改正案がまともなら、騒ぎ立てる事もなく、政府間でのやり取りで済む。わざわざ下院外交委員会で問題提起し、岸田首相にまで手紙を渡し、ゴールドマン法の適用まで記載したスミス議員の文書には、改正案では子供達と別居親達が救われないと確信したからである事が表れている。
4月にスミス議員が岸田首相に書簡を渡してすぐ、米国の当事者を通じて私達にその事が知らされた。今回の下院外交委員会でもスミス議員は敏速にYoutubeをアップしている。
一方で、駐日米国大使館と駐日米国領事館、カナダ大使館、イタリア大使館は腰が重たい。
やはり、問題解決には、良い意味でも悪い意味でも米国本国の議員が頼れるようだ。私も再度スミス議員にレポートを提出しようと思う。
*以下の写真は私宛の米国大使館・領事館の書簡
絶望するような内容の家族法改正案だが、憶測に流されず、辛くとも真実を見極めて立ち向かい、問題解決をする高度な行動が必要だ。
私は、息子に恥じる事なく、堂々と「お父さんはしんちゃんの為にがんばった」と胸を張って言えるように、悔いの残らない人生にしたい。命より大切な息子のために。
*2024年5月24日に政府官報に「民法の一部を改正する法律」が掲載された。その英語訳を掲載する。(Iphoneの読み取り機能を使用して文章作成)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?