相槌について
私は、普段から妻の動向を非常に気にしている。
相槌は会話する中で最も重要なポイントだ。
当初の私は、妻との会話で相槌を打つことが極端に少なかったらしい。(注意されて気づいた)
厳密に言えば、頭の中で相槌を打っているのが表面化していなかった。
私は何度かの相槌是正勧告を受け、出来るだけ頭の中にある相槌ソースを「相槌インスタンスを生成→相槌メソッドを呼び出し→相槌出力」の工程で実行することになる。
最初はこれでよかったのだが、どうもタイミングが合わないようで、相槌出力のタイミングに関する是正勧告を受けた。
それだけではなく、同時に相槌レパートリーに関する是正勧告まで出されてしまったのだ。
相槌が出来ていなかった時の方が是正内容もシンプルで良かったのに、対応したことで更なる課題が増えた結果になってしまった。
相槌ガイドラインには、タイミングから発声ボリューム、言葉のレパートリーまで明確にされているらしい。
しかし、字が読めない私は実作業の経験から覚えるしかないのだ。
いよいよ本番だ。
まず最初に行うのは、妻の温度を測るところから始める。
温度が低ければ、精度50%でも難なくクリアできるのだが温度が高いと精度100%に近い状態にしなければならない。
たった数%の綻びが、その後の炎上劇場への強制入場切符を手にすることになるからだ。
何と今回はいきなりの温度高め。
100%まで行かなくとも、90%を下回ると危険ゾーンに入ってしまうことは容易に想像できる。
妻:「夫!」
私:「はーい」
ここは出来るだけポップな返事にしておきたい。
高温状態の中で、良かれと思ったハキハキ返事を投入すれば、たちまち炎上劇場ジャックポットが始まってしまうからだ。
妻:「これやめて!」
妻が指さした先にはシンクに入った鍋が鎮座していた。
このケースは、確か油分含有鍋に洗い物が投下されることを懸念した怒り。
ハキハキ返事もNGだが、軽すぎて「いなす」感もだめだ。
重くないが、相手の言葉に気付きがあるような相槌が要求される。
妻:「前に言ったよね?!」
私:「うん。言った。」
妻:「どうして何回も同じミスをするの?」
ここで「分からない」は最凶にして最悪のカードに分類される。
このカードを切ってしまうと、たちまち炎上劇場追加公演付きの全国ツアーへひとっ飛びだ。
ここは一つ謝った方が良いのだが、バキバキの謝罪は重くなり過ぎて逆に危ない。
私はライトな謝罪に加えて、自分を少し下げつつ相手の苦労に配慮するカードを切ってみた。
私:「ごめんごめん🙏そうだよねー。何回も同じこと言わせてるよね。」
ここで終わってはダメだ。
ターンはまだこっちが持っている状態なので、最後の仕上げ「具体的改善計画カード」を切らなければならない。
私:「もう絶対忘れないように、メモに書くよ。内容だけじゃなくて日時も記載する。そうすれば、いつ書いたか?が分かるから今日の感覚的な部分も忘れないと思うんだ。」
妻:「次、ホントに忘れなでね。」
よし!脱出成功だ!
我ながら、この高温度惑星から脱出できたことを褒めてあげたい。
恐らくここまでの高温度惑星になってしまったのは、間違った相槌カードの使用が積み重なったのが理由だろう。
もう少し相槌アンテナの精度を高めて、相手の心情に合わせたチューニングが必要だ。
相槌AIを取り入れることも検討してみよう。
今日の一言:
自己満の反省は火に油を注ぐ