司法試験対策:特許・著作権の盲点解説
知的財産法は、司法試験において難関科目の一つとされています。本記事では、特許法と著作権法における最新の論点と実務的な視点から、司法試験合格に直結する重要ポイントを徹底解説します。
司法試験合格には、法律の基本的な理解だけでなく、最新の判例や学説、そして実務的な視点からの深い考察が求められます。特に知的財産法は、技術の進歩や社会の変化に伴い、常に新たな問題が生じる分野です。本記事で解説する特許を受ける権利の譲渡と解除、医療関連発明の特許性、標準必須特許とFRAND宣言、二次的著作物の権利範囲、引用の適法性、インターネット上の著作権侵害責任など、これらは全て最新の司法試験で問われた論点であり、今後も重要性を増す分野です。
多くの受験生は、知的財産法に対して以下のような不安を抱えているのではないでしょうか。
技術的な内容が難しく、理解が追いつかない
判例や学説の変遷が激しく、最新の状況を把握できない
実務的な観点からの考察方法がわからない
本記事は、これらの不安を解消し、あなたの合格可能性を高めます。その理由は以下の3点です:
最新の判例と学説を踏まえた、実践的な解説を提供
具体的な事例を用いて、抽象的な法理論の適用方法を詳細に解説
採点基準を明確にし、答案作成のポイントを具体的に提示
本気で司法試験合格を目指す方には、この記事は必読です。難解な論点を丁寧に解きほぐし、実践的な答案作成のテクニックまで、あなたの学習を強力にサポートします。しかし、単に読むだけでは意味がありません。本記事の内容を理解し、自分の言葉で説明できるようになるまで、何度も繰り返し学習することが重要です。
一方、知的財産法を真剣に学ぶ意志のない方には、このコンテンツはお勧めできません。表面的な理解では、試験で求められる深い考察や適切な事案へのあてはめはできません。時間と労力を惜しまず、真剣に取り組む覚悟のある方のみ、この記事を活用してください。
司法試験合格後、あなたは法曹界で活躍する道が開かれます。特に知的財産法の専門性は、今後ますます需要が高まると予想されています。企業法務、特許事務所、裁判所など、幅広いフィールドであなたの力を発揮できるでしょう。その第一歩として、この記事を徹底的に学び、知的財産法のエキスパートへの道を歩み始めましょう。
1. 令和2年司法試験知的財産法
1.1 〔第1問〕
以上の事実関係を前提として,以下の設問1ないし3に答えなさい。なお,設問1ないし3及び設問1の(1)と(2)はそれぞれ独立したものであり,相互に関係はないものとする。
〔設問〕
Xは,カプセル内視鏡Lの発明について,社内の職務発明規程に基づき特許を受ける権利を原始取得した上で特許出願をし,さらに査定前に同権利をY社に有償で譲渡した。Yは,特許を受ける権利を譲り受けてから,補正や出願の変更をしていない。
(1) Yが査定を受ける前に,XからYへの上記譲渡契約は,Yによる代金の不払により,債務不履行を理由に解除された。特許庁がまだ査定をしていない段階で,Xは,どのような手段でYから特許出願人としての地位を回復することができるか。
(2) Yに対して特許権が付与された後に,Yは更にZ社に特許権を譲渡した。その後,ZがLを製造販売して利益を得ていたところ,XからYへの特許を受ける権利の譲渡契約は,Yによる代金の不払により,債務不履行を理由に解除された。ここで,Zは,Yから特許権を譲り受ける時点で,YのXに対する債務不履行の事実について善意であった。Xは,Zに対して,訴訟上どのような請求が可能か。異なる見解にも留意しつつ論じなさい。Xは,さらに,カプセル内視鏡Lを用いて小腸の疾病αの発症の有無を診断する方法Mを開発した。この診断方法Mを用いると,疾病αの発症を20%の確率で発見できるが,疾病αの初期徴候は患者によって多様であるため,残る80%についてはなお発見できない。また,診断方法Mを用いると,下痢などの副作用が必ず生じることも分かっている。
この診断方法Mは,特許法上,「発明」に当たるか。また,当該方法は,特許法上,「産業上利用することができる」ものに当たるか。Xは,カプセル内視鏡Lを製造販売しているところ,このLには,撮影した消化器官内部の画像を効率よく逐次に体外へ送信する部品が内蔵されている。また,この部品には,通信機器メーカーW社が特許権Pを有するデータ送信装置の発明が用いられている。
ここで,Lは,医療機器における通信システムQの普及を目的とした日本の民間標準化団体Rが策定した通信規格Sに準拠した製品である。また,Wは,Rの会員として,Rの知的財産権ポリシーに従い,Rに対して,特許権Pが通信規格Sの必須特許である旨を通知するとともに,Pについて「公正,合理的,かつ非差別的な条件」(本件条件)で取消不能なライセンスを誰にでも許諾する用意がある旨の宣言(本件宣言)をしていた。
Wは,Xに対して,特許権Pに基づき,Lの製造販売の差止めと損害賠償をそれぞれ請求することができるか。
1.2 〔第2問〕
以上の事実関係を前提として,以下の設問に答えなさい。なお,各設問はそれぞれ独立したものであり,相互に関係はないものとする。また,著作者人格権について触れる必要はない。
〔設問〕
Qを見た画家丙は,乙の許諾を得ただけで,甲の許諾を得ずに,本件特徴をよく捉えたαの肖像画R1を作成した。丙は,R1の複製物を製造して販売しようとしている。
甲は,丙に対して,R1の複製物の販売行為につき,著作権侵害に基づく差止めを請求することができるか。異なる見解にも留意しつつ論じなさい。乙は,本件特徴をよく捉えたαの肖像画R2を作成した。その後,乙はR2の原作品(縦40cm×横20cm)を譲渡したが,R2については贋作が出回った。そこで,R2の原作品を所有するに至った美術商丁は,その真贋について,これを真作であると鑑定し,当該原作品を店内で展示した上,今後当該原作品と所在を共にして流通させるべく,鑑定証書Sを1通作成した。
丁は,鑑定対象である絵画を特定するため,R2の原作品を20%の面積に縮小し,縦16cm×横10cmのサイズにしたカラーコピー(以下「本件コピー」という。)を作成して,Sに貼り付けた。Sの大きさは,縦20cm×横10cmであり,その表面には,「鑑定証書」との表題の下に,「下記の本肖像画については,丁による厳正な鑑定の結果,乙が描き下ろした真作であると認められることを証明する。」との記載がされ,「記」と記載されたその下部に,本件コピーが大きなスペースをとって貼り付けられ,最下部に,R2の著作者が乙である旨の記載がされていたが,裏面には丁の屋号や連絡先の記載がされているのみであった。また,Sは,表裏一体のものとしてラミネート加工がされていたが,本件コピーの部分は取り外しができる構造となっていた。さらに,鑑定証書に鑑定対象である絵画のコピーを貼り付けることは,それまで丁の同業者の間でほとんど行われていなかった。
丁は,Sを,R2の原作品とともに譲渡しようとしていたため,乙は,丁に対し,Sの譲渡行為につき著作権侵害に基づく差止めを請求する訴訟を提起した。これに対する丁の反論として,どのような主張が考えられるか。その妥当性についても論じなさい。乙は,Qが匿名の第三者により無断でインターネット上の電子掲示板に投稿されたため,当該掲示板の運営者戊に対し,そのことを伝えるとともに,Qの売上げが激減し乙が経済的打撃を受けており,受領後3日以内にその送信の停止を要請するとの内容証明郵便を送付した。戊は,掲示板運営者として当該掲示板に掲載された投稿の最終的な送信停止の権限を有しており,実際にも必要があれば直ちに送信停止を行うことができた。
戊の運営する当該掲示板は,プロの小説家や漫画家を志す人からの投稿を募る掲示板として始まり,公的機関からも表彰されるなど,良質の掲示板であるとして雑誌等にも紹介され,戊も,当該掲示板に,著作権を侵害する投稿は厳禁とする旨の注意書きを掲載し,送信停止の要請があった場合にも公正な調査を心掛けてその要否を決するなど丁寧に対応していた。しかし,当該掲示板の人気が高まり,大量の投稿がされるようになるにつれて,戊には,日々数百件もの送信停止の要請が寄せられ,戊はその対応に追われるようになっていた。また,戊は,当該掲示板について,広告収入を得ていたが,掲示板の運営費がかさみ,わずかの利益を得るにとどまっていた。このような中で,乙の上記内容証明郵便が送付され,戊は,これを受領し閲読したものの,特段の是正措置を採らずに,3週間,放置していた。
乙は,戊に対して,Qを送信する行為につき,著作権侵害に基づく差止めを請求することができるか。戊が運営する掲示板は,著作権を侵害しない用途に使用され得るものであることに留意しつつ論じなさい。
問題の論点解説(50字):
特許権譲渡の解除、医療発明の特許性、FRAND宣言、二次的著作物の権利範囲、引用の適法性、電子掲示板運営者の責任が主要論点。
2. 特許を受ける権意の譲渡と解除:権利の帰属をめぐる攻防
2.1 特許を受ける権利の法的性質:財産権としての側面
特許を受ける権利は、発明者が特許出願をして特許権を取得するまでの間、発明者に専属する権利です。この権利は、特許法第33条第1項に規定されており、財産権としての性質を有しています。
重要ポイント
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