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vol.4愛情で人をつなぐ社内コミュニティ運営:学びを支える人間関係のデザイン

この連載では、私が社内学習コミュニティを立ち上げ、試行錯誤しながら学んできた経験をシェアします。さまざまな壁にぶつかりながら得た学びや、その過程で感じたことを振り返りつつお伝えしていきます。

これらの経験が、私にとっていかに大切なものであったか、そしてそれらが今、私の考え方や行動にどのように影響を与えているのかを知ってもらえたら嬉しいです。
あなたにとっても役立つヒントや気づきを得るきっかけとなることを願って。


前回のおはなし

母としての役割と、中堅社員としての自分との折り合いがつけられなかった苦い経験

育児休暇から職場復帰後、私を待っていたのは新たなプロジェクトでした。
そのプロジェクトの管理者であるリーダーは自動的に私の指導者となりました。
育休明けで遅れを取り戻さなければならない私は、自分の価値を証明するため必死です。周囲のメンバーはシステムに詳しく、私は完全に劣っているように感じていました。
ただでさえ焦っているのに時短勤務という制約を負っている私に、次々と緊急度の高い割り込みタスクが降りかかります。時短勤務、突然の子供の発熱や怪我、予防接種のための通院にそれから………仕事へのフルコミットは全く敵いません。毎日の食事を用意するだけで精一杯。自分の無能感は募るばかりでした。

対応期日付きの問い合わせに回答するだけでも手一杯だった私に、指導者からは「もっと勉強しろ」と、オリジナルの問い合わせシナリオケースが宿題として渡されました。
さらにシステムの保守改修案件のテスト仕様書作成も任されました。
山のような進捗確認が毎日届きます。「この問合せは回答済か?」「テスト仕様書の進捗は。明日までにやってって言ったよね?」「ところで宿題はどこまで進んでいる?」

指摘に応えようと必死でしたが、指導者からのコメントは「不合格」のみ。
私は頑張り方がわからなくなっていきました。
そんな中、彼の態度はますます不快感を募らせ、話しかけるだけで苦痛を感じるようになりました。
自分の産休・育休のブランクが、さらに自分を追い詰めます。

私は徐々に精神的に追い詰められ、ある日涙が止まらなくなり、会社を休みました。
ぼんやりと家の中で過ごしていると、たまたま市から「ママの心の相談室」というメールが届きました。なんの気無しに相談をしたところ、心療内科の受診を勧められ、言われるがままに今から受けられる病院を教えてもらいました。
診断結果はうつ病。復職後1年と経たずに、再度休職を余儀なくされた瞬間でした。

コミュニティを夢見る私

10か月の休職を経て、私は再び会社に戻りました。復帰後の私に与えられた場所は、お客様のDX化を推進する部門でした。
お客様はちょうどマイクロソフト社のPowerPlatform環境基盤を導入し、運用を開始したばかりのタイミングでした。
私はそこで、PowerAutomateの実行環境整備を任され、非エンジニア職員によるプログラム開発の促進という新しい取り組みが進められていました。

このプロジェクトは無事に完了し、サービスは当初の予定通りに順調に開始することができました。
私はこの成功体験から自身を少し取り戻すことができました。
でもなにより、「みんながハッピーになれるような未来の働く環境づくり」に寄与できた感覚を持つことができたような気がして、そのことがなにより嬉しかったように思います。

しかし、サービスは開始しているというのに、積極的に使おうという気持ちを持っているユーザーはほとんどいませんでした。

そんな理想と現実のギャップを目の当たりにして、私は支え合いのできるコミュニティの存在の必要性を強く感じるようになりました。
孤立感や不安を抱える社員が安心して学び、協力し合える場があれば、
まさに理想として描かれているような、みんなで助け合ってのDXが実現できそうなものなのにな、と。
そんな支え合いを実現することができたら、組織で働く無機質なカイシャインというつながりではなく、ひとりのにんげんとして、温かみのある関係性が構築でいるのでは。
そんなことができたら、会社という場所が楽しく感じられるのでは。そんなようなことを考えていました。

しかし、この時の私はまだ、必要性を感じるだけでどうしたらそれが実現できるのかといった具体的なイメージを描けていませんでした。
具体的な行動計画を立案することもなく、そういった取り組みが業務として任せてもらえたらいいなー、などとと漠然と妄想するばかりでした。
ただ、そんな「場所」に対する需要についてだけは、確かな予感がありました。

次のおはなし


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あずみん
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