
機嫌よきママ友
自分の周りで一番機嫌のいい人は誰だろうと考えたとき、、真っ先に思い浮かぶのが近所のママ友ゆーこちゃん。
5つ年下のゆーこちゃんは、どうやって育てたらこんな人好きが育つんだろうというくらい、人懐こい。
うちは女の子で向こうは男の子だし、保育園も別で接点はほぼないのだけど、知り合って8年?「ハナちゃん、ランチしましょ」とか「海まで歩きましょ」とお誘いがくる。
ほわわわわーんとした雰囲気で、見ていると幸せになるのだけどプライベートでは卒婚の危機にあるのだとか。
「うちの旦那さんユータが大学に入ったら卒婚しようって」と、人によっては深刻な響きを持ちそうな話でも、ゆーこちゃんが言うとどこかユーモラスというかなんというか。
「ユータが大学生ってあと3年じゃない!!いやーん、私、旦那のこと大好きなのに」。ほわわわわーん。
「すごいね、結婚22年でまだ旦那さん大好きなんだ!」
「え~大好きだよ~ ずっと一緒にいたいよ~ なんでみんな旦那さんのこと嫌いとか離婚したいとか言うの?? 私なんてずっといたいのに、卒婚とか言われて悲しぃぃ」
全くもって悲しそうに見えないのがゆーこちゃんのすごいところ。
10歳ちかく年上の旦那さんは、60歳きっかりで仕事を辞めたら寅さんになりたいのだとか。
別に他所に女の人がいるとか、ゆーこちゃんのことがイヤだとかそういう理由じゃなくて「どこどこに行ってくる」とか「何時に帰る」と報告しない生活がしたいのだそう。ふらーっと旅に出て、気に入った場所で生活して、また別の場所に移動して。遂行するにあたり誰にも許可を求めたくないんだそう。
「勝手にふらふらしてくれていいのに、結婚してると報告しないのも気になるとか言うの〜」
なんだかすごくわかるような、わからないような。
寅さんになりたい人を縛り付けておくのもなんだから、一度、卒婚とやらをしてみたら? 飽きたら帰ってくるんじゃない? と無責任なことを言うわけにもいかないので黙ってたけど、なんとなく寅さんの最期は、ゆーこちゃんが看取ってそうとおもったり。
ゆーこちゃんはフルタイムで働きながらご両親を介護していて、本人は望まない卒婚の危機というのに、スマホの中は趣味の手芸の作品やケーキ屋さん巡りで出会った芸術品のようなケーキの写真でいっぱい。嬉しそうに見せてくれる。こういうとこ、本当にいいなぁ。
決して人より哀しみの数が少ないわけじゃないだろうに、ごく自然に喜怒哀楽の1番と4番だけ他人と共有する。
生き方上手ってこういう人のことをいうのかもしれない。