映画「リアル・ペイン 〜心の旅〜」を観た。
映画「ソーシャル・ネットワーク」(2010)でFacebook創業者のマーク・ザッカーバーグ役を演じたジェシー・アイゼンバーグが脚本・監督・主演を務めた映画、「リアル・ペイン 〜心の旅〜」を観た。サーチライト・ピクチャーズの映画らしく、丹念な描写が心に滲みる。
NYに住むデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)のアラフォーのいとこ同士が、亡くなったばかりの大好きだった祖母の遺言で、ポーランドのホロコーストツアーに参加する。
ポーランドは祖母の故郷で、ユダヤ人である彼女は第二次世界大戦のナチスの強制収容所からの「サバイバー」だったからだ。
ユダヤ人の研究者でもあるイギリス人のガイドと、デヴィッドとベンジーをはじめとした6人のツアー客の、数日間の旅。ユダヤ人にとっての重苦しい歴史を感じる中で、デヴィッドとベンジーの「今生きる痛み」も、次第に明らかになってくる…。
歴史と現代を巧みに重ね合わせた、ジェシー・アイゼンバーグ自身の手による脚本が秀逸。もちろん日本人のオレとしては、ユダヤ人の過去の受難についての「痛み」などは感じようがないのだが、自分に備わっていない性格を恥じたり、社会的にうまく適合出来なかったりする「今の痛み」なら、それはそれなりに理解できる。
同じくサーチライト映画の「サイドウェイ」(2004)は「アラフォーの危機」を描いた傑作だったけど、この「リアル・ペイン」もそう。性格は好対照だけど幼い頃からの「仲間」、それでも人生はどんどん異なっていく、若者から壮年への端境期にある男性を、ジェシー・アイゼンバーグとキーラン・カルキン(マコーレー・カルキンの弟だって!)が巧みに演じていて、大きな事件があるわけじゃないのに、最後まで目が離せない。
多分多くの映画関係者も同様に思ったようで、この作品は今年のアカデミー賞の助演男優賞(キーラン・カルキン)と脚本賞(ジェシー・アイゼンバーグ)でノミネートされている。しっかりとした人間ドラマの作品を観たい人には、ぜひおすすめの一本だ。
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