夢を叶えた五人のサムライ成功小説【高木京子編】11

この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。

ごもく旅館二日目の朝を迎えた。

啓太は朝食を済ませて温泉に足を運ばせた。
啓太はようやく疲れを癒すことが出来た。


全身が温まり、血行が良くなっていくのを強く感じる。
啓太は今回の旅行ほど心労を強く感じたことはなかった。

そしてそれは出会った当初の京子を思い出させるものでもあった。


随分と見違えるほどに成長を遂げたものだなと温泉に浸かりながら、一人ふと思っていた。


極楽気分を味わう。
だが束の間の幸せか・・・鼻歌が聞こえてくる。
次第に大きさを増していく鼻歌。

振り返ると長身でイケメンの男が、海パン姿で立っていた。


黒一色の海パンにワンポイントで葉巻と大きなチャッカマンが描かれていた。
呆気に取られて眺めていると、男が話しかけてきた。

『失礼。私はサマンサ・柴田と申します。夢を叶える男です』


啓太は慌ててお辞儀をしてしまった。
そう言えば昨夜、京子が話していたなと思いだし、この男のことだなと察知した。
『私なら夢は叶ってますが・・・』


柴田は言葉を返す。
『貴方はベストセラー作家の高木啓太さんですね。本は読みましたから』


自分の書いた作品を読んでもらえる幸せを、有り難く感じた啓太は気分を良くしたせいか、顔は綻び、饒舌交じりで柴田と話し始めていた。

『いやぁ、有り難う御座います。そう言えば昨日、この場で妻とお話しをしたみたいですね』
『えぇ』


二人は小説に付いて語り合った。
プロとアマの違いはあれ、小説を愛する気持ちに差などは関係としない。


柴田は今、小説を書くという立場からは一番ではない。
だが一番にいかに見せるかを知っていた。
実体験として把握していた。

『高木さん、私はこう見えてもアマ小説界では一番です。ナンバーワンです』
『凄い自信ですね』
『根拠も定時可能ですが・・・私の作品を何でしたら読んで頂けますか?』
『出版社には送らないのですか?』
『送ったのですが、400字詰め原稿用紙3000枚』のスペクタクル超大作で実際に読んで貰えたかどうか?』

啓太は嘘か本当か、分からないが、悩んだ末に答えた。


『3000枚・・・う~む、きっと編集者は読まずだったでしょうね』


柴田は聞き流した。
一休憩置いて言葉をを返す。


『貴女の奥さまですが、本を出したいそうです』
『妻が・・・そんなことを』
『えぇ、何故、見ず知らずの私に言ったかは推測可能ですが』
『いかに思われてますか?』
『裸の付き合いました。奥様とは混浴温泉で顔を合わせました』
『妻は昨夜はそちらの温泉に』
『はい!と言いますか、私たちが今、遣っている温泉も混浴ですよ』

啓太はびっくりした。
慌てて飛び出そうとした矢先、京子が入ってきた。


『京子』
『あら、あなたも混浴をお選びに』
『いや、混浴もあるとは露知らず・・・』
『あなたったら、そんなところは昔と変わらなくてね。せっかちなんだから』

京子はクスッと笑って、湯気が消えた先に柴田の姿を発見した。


『あら、柴田さん。昨夜はどうも』
『これは奥様。今しがた旦那様に貴女が出版したい旨、お伝えしたばかりです』

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