夢を叶えた五人のサムライ成功小説【フライパンズ編】7
この作品は過去に書き上げた長編自己啓発成功ギャグ小説です。
ここで食事をしよう。茂太くん、好きなものを注文しなさい。まゆ、君もいつものように』
テーブルを囲み、三人で食事をする。
煌びやかな店内の装飾品の数々、豪勢なメニュー、茂太はすべてが初めてでこのような贅沢な時間は過去にはありえなかった。
少し損をしていた自分自身に心を痛めた。
『茂太さん、やってみせてよ』
『何をですか?』
『決まってるでしょ。ギャグを。生で聞くなんて貴重な体験だわ』
恥ずかしそうに顔を下に向ける。
そんなとき、柴田が一言放った。
『茂太くん、まゆを見事、笑わせたなら細やかながら特別にプレゼントをしよう』
茂太は悩んだ。
笑わせるも何もネタがない。
今まではコンビだからやってこれた。
ピンでは経験がない。
しかもこれまで笑いを披露する際、丁重に打ち合わせやネタ練習を繰り返しアウトプットしてきた。
閃き力なんてあるわけない。
茂太はひとりじゃ通用しないのではないか、そう考えるとまた複雑な心境になった。
『どうしたのよ、茂太くん』
『・・・』
『どうした、茂太くん』
『あのぅ、すみません。自分には自信がないです』
まゆは以外な返答に自分自身の耳を疑った。
柴田は思ったとおりの返答に、今の柴田の限界点を改めて認識した。
戸惑う茂太に助け船を柴田が提案した。
『実は今日、来てもらったのは他でもない。
まゆと組んで私の元で働いてもらいたい』
茂太は咄嗟のことに不意をつかれ、聞き返した。
『働くって自分がですか?何をすればいいのですか?』
ウェイトレスが微笑みながら食後のデザートにお召し上がりくださいと言って洋菓子を運んできた。
格式高い由緒あるレストランはこうしてスタッフの品格により、保たれ誇示もされていた。
一口、頬張る。
マロンの濃厚な味わいとカスタードバニラが、絶妙かつ舌に滑らかで食感を駆り立ててくれる。
『茂太くん、まゆはわが社でお笑いの企画と伴ってライターをしている。本来は私のサポートをこなしているが、あいにく人手が少し足らなくてね』
『ですが、そのお笑いから離れたのは承知でしょうが・・・』
『先ほど君が口にしたように辞めてはいないだろう。コンビを解消したに過ぎないだろう』
『確かにそうですが・・・』
『なら引き受けてくれるかな?』
『どのような仕事ですか?』