恐るべきは経営者の判断力・・・!
やはりですね、私も経営者の端くれではあるわけじゃないですか。
すると経営者に求められる資質って何なんだろうな?とか日々思案したりするわけですよ。
技術力・・・は、工事スタッフがしっかりやってくれてるし、お金の出納は経理スタッフがびっちりやってくれてる。営業なんかもうちの場合は工事スタッフが兼任しているところがあるし、私は広く業務を掌握しつつも専門家ではないんですよね。正直なところ。
じゃあ私は彼らに比べて何に長じているか、というか何を売りにしているかと言えば決断と判断、そしていわゆるケツモチでしょうか。
正しかろうが誤っていようが自分の責任において決断し、指示し、結果の責任を持つ。これが経営を担うものとして最低限の役割だと思うのです。
そんな矜持を持って生きている私ですから、私生活においてもそこは存分に発揮されるわけです。
それはある晩のことです。
娘をお風呂に入れようかなーといそいそと準備をしていると、脱ぎ捨てた服の陰に何かが蠢いた気がしました。
まさか・・・と、服をどけてみると。
黒い物体がスサササと駆け抜けて壁を華麗に駆け上りました。
「オッス!オラG!!」
うぎゃあ!と叫びながらも私は努めて冷静を保とうとします。
黒光りするボディ、にょーんと伸びる触覚、カサカサと動くあの感じ、絶妙に人に不快感を与えるあのフェロモン。9割型Gです。仙台の住宅にも現れやがったかこの野郎・・・!!
しかし私も少年時代から12年に渡り剣道で心身を鍛えた男です。最近よくわからない経緯で日本拳法で段位まで取得しちゃってるくらいですからむしろ丈夫(ますらお)と呼んで過言はないんじゃないかと思うんですよね。ですか?
まあそんなこんなでショックで泣きわめく娘を「下がってなbaby・・・」と後ろに下げ、即座に戦闘態勢に入るわけです。
この時点で私はパンツ一丁に靴下と言うまさにあられのない姿。FF5で言えばすっぴん以下です。間男styleとさえ言えそうです。かろうじてぶらぶらさせてなかっただけ幸運だったと言っていいでしょう。
一方武器は・・・ない。
そう言えばダイニングに古新聞がうず高く積み上がっていたぞ、あれを持ってくるか、いやいや駄目だ、目を切ったらこの野郎すかさず雲隠れするに違いないぞ、娘に取りに行かせるか、いや駄目だ号泣中で使い物になりゃしねえ。
完全な手詰まりです。
終わった。
完全に終わった。
素手か。素手なのか。
Gを・・・素手で行くのか。
仕方ない、決断だ!決断の時だ!!
と、時間にして1秒位の逡巡を経て覚悟を決めようと思ったその時、私の灰色の脳細胞がフル回転してあるものに目が止まりました。
くつ・・・した?
そうです。あられのない姿でファイティングポーズを取っていた私をかろうじて守っていた靴下。
こいつがいた・・・!!
そうだ、靴下に石を詰めて戦えば立派な武器になるってマスターキートンが言ってた気がする!多分。
そうして即断即決を旨とする私ですから、流水のような滑らかな動きで左足から靴下を抜き取り、だーん!!と黒くてニクいアンチキショウを叩きのめしました。
そして勇者と化した私はふっと肩の力を抜きながらやつの亡骸をゴミ箱に捨てようとすると・・・妻に怒られました。勘弁してよ、と。そりゃそうだ。
じゃあ玄関から投げ捨てるかと思った私は冷静じゃなかったんでしょうね。だってパンツ一丁なのに出ようとしちゃったし。止めようともしなかった妻もきっと冷静さを欠いていたんだと思います。
結局靴下とヤツの亡骸を袋に包み、勝手口の外の燃えるゴミ袋に妻が放り込んで激闘は幕を閉じました。
自分で言うのもなんですけど、かなり好判断をくだしたんじゃないですかね?
被害と言えばワークマンで買ったそろそろ穴が空きそうだった靴下がお陀仏になった程度ですし、素手でやつを退治すると言う重大な心的ダメージも回避することができました。
泣く娘からは父がヨシヒコ以上の勇者に映ったようですし、もう大団円と言っていい結果だと思われます。
それもこれも日々の決断と判断で鍛えられた賜物なんじゃないでしょうか。
やはり日頃の鍛錬は嘘をつかないのだなと思ったある夜でした。
経営者かくあるべし。ちがうか。