「平家物語絵巻 ―絵巻とアニメ∞時代を超えて動きだす物語―」@林原美術館
7月13日観賞
アニメ「平家物語」とのコラボ展示。
アニメは未観賞。評判がいいのでそのうち観たいと思っていた。
未観賞でも展示の閲覧に支障はないが、観ていた方が楽しめることは間違いない。可能であれば期間中に観賞して再訪したいところ。
この展覧会はアニメを「絵巻」などと同等の「平家物語の別メディア展開」ととらえており、両者を並べて比較していく面白い展示になっている。
広げられた絵巻と並行してアニメの図版やあらすじが展示され、どの巻のエピソードがどの回に入っているか、どのような部分が強調されているか、などの説明がされている。同時に観ていくと、アニメが絵巻を参考にしているであろう箇所がわかりやすい。
本編映像の再生を行なっている場所も三箇所ほどあった。五分弱の場面をループ再生しており、入り口付近では五分に一回くらい主人公の父親が末期の声をあげていた。
夏休みにかかる展示なのでもう少しライトなものを想像していたが、あまり子供向けらしいところは感じなかった。
しかし、試みとして非日本語ネイティブ向けに『やさしい日本語×ミュージアム「2024夏 プロジェクト」』というものが開催されており、随所で概要が分かりやすく説明されている。
平家物語や絵巻についてあまり知識がないため、これは大変ありがたかった。
林原美術館が所有している「平家物語絵巻」は江戸時代の作で、日本では唯一全巻が揃っているらしい。
同時に収納箱も展示されており、その大きさから物語の長大さが分かる。
しかしアニメは全十一話らしいので、この内容を1クールに収めた手腕は驚異的に思える。
今回は前期展示で、物語前半、アニメは第八話くらいまでの展示内容だった。
前期展示は8月4日まで、後期展示は8月10日からとのこと。
絵巻の他にもいくつか展示物があった。
まず琵琶。江戸時代の作。
実際に目の前にあると案外大きいと感じる。
アニメの主人公が琵琶法師であるため、実物があるといろいろなスケールが想像しやすくなり、面白い。
刀剣が二点、古青江のものと古備前のもの。どちらも重要文化財。
ちょうど「平家物語」の舞台となった頃(平安時代後期〜鎌倉時代前期)の作なので、かなり古いが、双方銘がある。
並んでいると両者が比較しやすくて面白い。
刀剣の展示に力を入れている館だけあって、地鉄も見やすく、違いが明確。
キャプションに長さの表記があれば有難かった。
同時に目貫なども平家物語に関連するものが何点か出ていた。
清盛の父・忠盛のエピソードと、鵺(鵼)退治のもの。
人気のある物語の場合、こういった派生があるところが面白い。
あとは能面が四点。
今回展示されていた中で面白かったのは「小面」
口がかなり立体的に作られており、本当に人間のような横顔に見えた。
角度によってつく表情も豊か。色々な角度から観賞したい。
なお能面は現在岡山駅地下の連絡通路でたくさん観られるので能面が好きな方にはそちらも是非観て欲しい。
展示室内は撮影不可だが、展示室外にアニメのパネル展示があり、そちらは撮影可能。設定画が面白い。
三連休ということもあってか、普段より盛況。とはいえ、ほとんどの展示物を待つことなく観られた。
林原美術館の展示室はコンパクトだが、今回展示は「絵巻」「絵巻の書き起こし」「アニメと絵巻両方の解説」と読むところが多いので、観賞時間はゆったり目に取った方がいいかもしれない。個人的には一時間弱は欲しいと感じた。
公式サイト
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