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2024年2月の記事一覧

ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』

ヨルゴス・ランティモス『哀れなるものたち』

賞レースを席巻中の話題作。オスカーの主演女優賞はリリー・グラッドストーンとエマストーンのどちらが獲るんだろう。寡黙な演技の前者と身振り含め多弁な演技の後者のどちらを賞に相応しいとみるかはもはや好みの問題だし、芥川賞よろしく二名同時受賞でも誰も文句言わないと思うくらい良い演技だった。

原作にみられた「アラスター・グレイが拾った手記を編集している」多層的な語りの構造は、ベラに内的焦点化された目線で統

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ビクトル・エリセ『瞳をとじて』

ビクトル・エリセ『瞳をとじて』

 エリセは本作品のテーマを「アイデンティティと記憶」と表現しつつ、自身のフィルモグラフィや映画史に対する目配せ(その対象はリュミエール、ジョン・ウェイン、ドライヤーなど多岐にわたる)を映画内に散りばめている。映画監督ミゲルが過去のフィルムの中に自身(または友人)のアイデンティティを見出そうとするように、エリセ自身も本作品において自己の作風を再確認しているような手つきが感じられる。この映画においてそ

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バス・ドゥヴォス『ゴースト・トロピック』

バス・ドゥヴォス『ゴースト・トロピック』

終電車の中で眠ってしまった女性(ハディージャ)が徒歩で自宅に帰る一夜を描いたベルギー映画。この映画を観ていて、自分自身が終電を寝過ごして終点まで行ってしまった過去と、寒さを感じながらもう二度と通らないかもしれない道を進んでいく時の不安と高揚と解放感をない混ぜにしたような、不思議な感覚を思い出した。

この映画は一人の女性の日常に突如出現した冒険譚としても(そのチャーミングさ、愛嬌に溢れた描写の連続

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ジョナサン・デミ『ストップ・メイキング・センス』

ジョナサン・デミ『ストップ・メイキング・センス』

都市生活で擦り切れそうな神経症者としてのバーンの詩と痙攣するようなダンス。身悶えするようなカッティングと反復するグルーヴ。これをIMAXの迫力で見せられたら座席でじっとしてるのはマジで無理だった。途中で「みんなで踊った方がよくね?」と真剣に思ったし、誰も言わないなら俺が仕切ろうか?みたいなことまで考えた。この映画をこんなにみんなで静かに観ている状況は、何らかの罪にあたるのではないかと不安になった。

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