2022年にビットコインはいくらになる?2021年のできごと総まとめと来年の展望
1年間の動きのサマリー
ビットコイン(BTC)価格
始値:2,955,419円
高値:7,838,572円
安値:3,207,438円
12/28 12時時点:約5,800,000円
イーサリアム(ETH)価格
始値:28,999円
高値:69,000円
安値:28,600円
12/28 12時時点:約463,000円
2021年年始からイーサリアム(ETH)は500%を超える上昇をした。また上に挙げた暗号資産の中で、円建てでマイナスになっているものはない。
ビットコイン(BTC)に対してはビットコインキャッシュ(BCH)とライトコイン(LTC)がマイナスとなっている。
年初からのビットコイン(BTC)の値動き
まずは、ビットコインの年初から現在までの値動きと重要なポイントを見ていきたい。
今年のビットコインは、中国のマイニング規制、エルサルバドルのビットコイン法定通貨化、インフレヘッジとしての地位確立と世界でのニュースにより大きく動いた1年となったナジブ・ブケレ大統領やイーロン・マスクなどの著名人のTwitterでのつぶやきも変動に寄与しているのがビットコインらしさだったのではないだろうか。
1月 イーロン・マスクのビットコイン購入示唆?
イーロン・マスクCEOがTwitterのプロフィールに「#bitcoin」と記載。今後、ビットコインを買ってくるのではないかとの期待感から投機的なビットコイン買いを誘発した。数か月後に本当に巨額の購入が判明したのが話題になった。
2月 テスラ社のビットコイン購入報道と暗号資産投資企業のグレースケールのファンド組成などにより最高値を更新
日本を除く世界の著名投資家や大手企業が続々とビットコイン同分野への参入を表明して欧米を中心に価格への注目が高まっていった。
4月 米暗号資産交換業・コインベース社のナスダック上場
初値381ドル、最高値429.54ドルと想定を大きく上回り、同社の時価総額は1,000億ドルを超える場面もあった。これは日本国内企業で例えると任天堂やリクルートを上回り、NTTと匹敵するほどの規模だった。
市場の暗号資産への強い関心が伺える動きとなった。
5月 テスラ社ビットコインを使用した支払いの受付を停止・中国当局による暗号資産規制強化
テスラ社はマイニングが環境に悪いと判断し、ビットコイン決済の停止を決定。その他、中国当局がマイニングの規制やその後9月の違法化まで各方面で規制を強化したことで、その後のハッシュレート急落を招き、価格急落の主要因ともなった。
7月 テスラ社ビットコイン決済への復帰期待
テスラ社が4-6月期決算発表でビットコインを売却しておらず、保有目的は暗号資産の将来に期待する為と報じられた。さらに同社が2月頃に15億ドル相当を保有し、3月末までに約10%しか売却してないことと、カンファレンスにて、CEOのイーロン・マスクがマイニングに使用される電力の50%が再生可能エネルギーになった時点で、BTC支払い再開する可能性が高いとのコメントがその後の上昇の呼水にもなった。しかしながら、『米アマゾンが年末までにBTC開始予定』とのデマが広がるも、その後公式に否定され価格が乱高下した。
そのほか、中国当局によるマイナー規制強化を受けハッシュレートが急落していた状況から難易度調整で2020年6月以来の水準まで過去最大約30%下落を記録。直近最大値であった5月から比べると40%以上の下落となったが、「中国依存の解消も続いておりネガティブな面から長期的にはプラスに働くのではないか」という欧米トレーダーからのコメントが徐々に増えていった。
9月 エルサルバドルでの法定通貨採用、新型コロナウイルスの感染拡大でのリスクオフ
海外取引所を中心に大量の買い建玉のロスカット(損切りや一部利食い)が誘発。サポートラインとして意識されていた46,000ドルでは支えきれない量だったため、更に下落しオーバーシュートした形となり、43,000ドル付近で急反発したあとレンジで推移する展開となった。奇しくも、エルサルバドルでの法定通貨採用に注目が集まっていた時間でもあり、事実で売るタイミングも重なった。さらに残念ながらエルサルバドルではビットコインウォレットで不具合が発生したとの報道があったため、仕掛けやすいタイミングだった。
10月 NY証券取引所にビットコイン先物価格連動の上場投資信託(ETF)上場
今回承認されたのはビットコイン現物ではなくビットコイン先物に連動した、ビットコイン先物ETF。今後も類似した商品が上場される可能性は大いにあり、ビットコイン現物ETFの承認にも注目していきたい。
11月 Taprootアップデート・エネルギー価格高騰とインフレ上昇によるインフレヘッジ需要高まるが、米国での税務報告義務などが重なり軟調な方向に傾く
インフレ圧力が高まる中、FRB理事の発言からもFRB内で「インフレ懸念」が台頭してきたことで、今後もインフレ圧力が後退しなければ、「一時的」と判断した高水準インフレへの対応として、テーパリングの完了前倒しや利上げ時期の前倒しに踏み切らざるを得ないとの見方が浮上した。
実際にテーパリングが始まり、株が大きく値を崩す可能性が想定されるが、伝統的な安全資産としての金需要が中期では高まるなかで、一時はデジタルゴールドと言われたビットコインへの期待値も高くなり、インフレヘッジの投資先として資金が流入し11月11日に最高値を更新するに至った。
しかしながら、その後に米ツイッター社CFOによる「会社の資産としてはビットコインを認めない」方針が報道されたほか、米バイデン政権のインフラ投資法案の成立により暗号資産(仮想通貨)の税務報告義務が課されることになり、兼ねてより溜まっていた利食待ちのポジション清算が重なったことで下落幅が大きくなり、以降軟調な展開が進むこととなった。
12月 オミクロン株への警戒・雇用統計の結果から急落
米雇用統計の結果が市場予想に反し冴えない結果だった事を受け、徐々に上値が重たい軟調な展開となるなか、レバレッジポジションの清算により急落が引き起こされた。ただ、その後は暗号資産市場の下落幅が他金融市場と比べてもオーバーシュート気味だったと判断した投資家も多かった様子で、買い戻しの自律反発によってショート勢のロスカットも走るなど市場がパニックを起こす展開が繰り返された。全体的に軟調な流れとなったが200日移動平均付近で反発。クリスマスシーズンのため、方向感に乏しい展開となっている。
一方のイーサリアム(ETH)はNFT需要!?
イーサリアムのチャートはビットコインとは若干形状が違っているものの、概ねビットコインと連動している。
まずNFTについてだが、NFTとはNon-Fungible Token、非代替性トークンと言われている。日本語訳すると「代替不可能なトークン」という意味で、世界に唯一の希少なトークンということ。
ブロックチェーンを利用することで、今までコピーや改ざんなどが容易だったデジタルデータに唯一性を付加することができ、アートやゲームのアイテムなどがNFTとして発行され、世界中で注目されている。これは、今年2月ごろ、NBA Top Shotが火付け役となり、3月にはBeepleというアーティストが作成したデジタルアート作品が6,930万ドル(約75億円)で売れた。5月にはコレクティブNFTであるBAYC(Bored Ape Yacht Club)により第二波が到来し、マーケットプレイスのOpenSeaでの個人アーティストのNFT作品が大量に出回り始めた。
このNFT需要からイーサリアムは力強い上昇となり、当社の取扱い通貨の中で一番の上昇率となった。
なお、NFTの出来高としては12月27日時点で12月が17.9億ドル!!その中でOpenSeaが17億ドルとほぼすべてを占めている状況となっている。徐々に熱は下がってきているが、それでも新しい需要としてこれからも注目したい。
2022年のビットコイン価格予想と来年の展望
ストック・トゥ・フローモデル(S2F)より、年内にビットコインは1,000万円との予測がSNSでは出回っていた。年内1,500万などのコメントもちらほら出ていたが、来年は急騰が難しいかもしれない。
FOMC声明文を受け、来年は少なくとも3回の利上げを行う見通しであることを忘れないようにしたい。また、インフレ抑制に本腰を入れたという事は、これからはインフレ期待が若干改善されてくるだろう。つまり、11月の最高値更新に寄与したインフレヘッジへの買い意欲に期待しすぎてもいけないと考えられる。
またQT(量的縮小)の議論がFRBで始まった事から、徐々にリスク資産全体には売り圧力が高まると想定し、過剰流動性が終焉していく中で半年くらいは下落基調が続くのではないかと考えられる。安全資産と言われる金のようにデジタルゴールドとしての立ち位置を築くことが出来れば、金融市場全体の下落基調とは裏腹に、上昇しやすい風を得る事が出来るため、海外の動向には注目していきたい。
しかしながらビットコインは供給量の減少が続く事から、長期的に保有する口座が増えている。
欧米ではビットコインが金融商品の一つとの認識が広がり、既存金融の参入が続いている。従来ビットコイン投資に関してネガティブな発言が多かった、富裕層を対象に資産管理を行うプライベートバンクに対して、ビットコイン購入を望む富裕層やファミリーオフィスの顧客は少なくないと思われる。
どのタイミングで参入してくるかというのは相場を占う上で非常に注目すべきポイントであり、プライベートバンク参入は大きなターニングポイントになるだろう。
そのような大口が続々参入してくることで、将来的には価格を安定させるためのPKO(Price Keeping Operation)のような機能に、ソフトではあるものの対応ができるようになってくると思われる。
そのため、徐々にビットコインの特徴であるボラティリティは低下していき、今までそのボラティリティに殺されてきた決済性が緩和されることで、CBDC「中央銀行デジタル通貨:Central Bank Digital Currency」やステーブルコインのような決済性が改めて注目され、代替手段として今後も生き残っていくだろう。
そして、そのことに注目した長期投資家は来年も下がったところでもしっかり買いを入れてくるのではないだろうか。
ビットコインは、ニクソンショック(金とドルの交換停止)に始まりプラザ合意(1985年にドル高の是正を各国で決めた)などの政策にもかかわらず繰り返された通貨危機やリーマンショックを経た中で誕生した。
個人的な考えでは、「ドル依存」から脱却すべくエルサルバドルが世界で初めてビットコインを法定通貨に導入するなどと同様の動きは今後も中南米やアフリカで広がる可能性があり、来年進んでくるCBDCが世界的に普及したとしても、「ビットコインが無くなったり価値が喪失するのではないか」といった懸念に関しては考えづらい、という認識である。
過去にはデジタル人民元のニュースで大きく反応したことから、来年2022年2月の冬季オリンピックでお披露目となるデジタル人民元により、ブロックチェーンが連想されビットコインの認知が拡大するだろう。このことが暗号資産市場全体には追い風となると考えられる。
以上のことから、FRBの発表と市場の折り込み具合次第ではあるものの、2022年の年明けから軟調に展開しやすい環境前提で徐々に割安と判断する長期投資家が増えることが想定される。底堅い需要を予想し、来年夏ごろを目標に最高値更新に期待したい。
イーサリアムについては、来年もNFT需要からビットコインより価格の伸びに期待したい。
最後に
ビットコインが大きく変動し個人投資家では手が出しづらい環境のもと、弊社はこの2021年、取引所のリリースや自動積立機能、またトレーディングチームとしてお約束していた販売所のスプレッド固定配信などを達成いたしました。
これもひとえに多くのお客さまのご愛顧の賜物と感謝申し上げます。来年も毎週水曜のマーケットレポートをはじめ、初心者にも伝わりやすい相場環境の配信をしていきたいと思っています。
ビットコインなどの暗号資産が皆さまの資産形成のお役に立てるよう、社員一同誠心誠意努めてまいりますので、引き続きご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
筆者:前田慶次
筆者プロフィール