バイデン政権による大統領令に注意!?規制強化の流れと今後の動向は?
前週からの動向
ウクライナ情勢の緊迫により、ロシアをSWIFT(国際銀行間通信協会)から除外する制裁措置が打ち出されたことで、ビットコイン(BTC)は軟調に推移している。
2/28の安値である430万円台を割り込むと400万円割れが現実的なものとなってしまうため、この水準には要警戒だ。
今回の下落に関して、SWIFT除外に加えEUの投資家を大きく動かしたのは、ウクライナ原発へのロシア軍による攻撃報道だ。一部ではこれはフェイクニュースだったのでは?との見方もあるようだが、EU勢にはチェルノブイリ原発事故の記憶はまだ鮮明であり、繰り返し報道や特集を見ているため、諸外国以上のリスクオフ姿勢となったようだ。
EUやロシアによる小麦の汚染や輸出規制を見越した小麦先物価格の上昇の速さからも、原発に対する強い警戒感が見受けられる。
そうした中、米大手取引所のCoinbase(コインベース)がロシア人やロシア系企業に関連すると思われる約2万5千ものアドレスをブロックしたと報じられている。
アクセスできなくなった数量は判らないものの、この報道により、ロシアの資産回避に使われるという暗号資産(仮想通貨)への不信感が多少拭えたためか、ビットコイン価格は430万円台から450万円台手前まで小幅高となった。
米国での上場企業である以上、信頼性の高い金融システムの一部であるとアピールするためにも経済制裁の遵守は仕方のないことだといえるだろう。
現状、国内の取引所ではいくつかの手法でAML(アンチマネーロンダリング)対策を行ってはいるのだが、金融庁が暗号資産取引業協会と抜け穴を防止するべく協議を開始していると報道が出てきている。
本年4月1日より、協会の自主規制規則により、利用者から依頼を受けて行う暗号資産の移転取引(入出庫)について、トラベルルール等の新しい規制が導入されることになっているが、これに加え追加の規制が入るのかが注目されている。
国内ではステーブルコインが取扱い出来ない以上、ロシア系のアカウントが大量に移転取引をしているとは考えにくいが、さらなる追加対応を求められた場合、ロックされるアカウントが増えて売り玉がなくなることに加え、暗号資産のマネーサプライが減ることで、価格の押し上げに繋がるのではないかと注目している。
ただ、そもそも暗号資産は伝統的金融資産に比べ圧倒的に流動性が少なく、抜け穴となったとしても限定的な額の運用に収まる可能性が高いと思われるので、過剰な暗号資産へのヘイトや警戒には疑問を抱く。
アンバーグループのレポートから1,000BTCを超えるウォレット、通称クジラの数が増えていることがわかっており、下落局面でのロシア勢の買いが入っていることが予想される。
ただ、長らく準備されてきた暗号資産に対する米大統領令が今週中に出るとの報道があり、内容には要警戒だ。一部の投資家にはNFTに関するものまで含まれるのでは?と過剰に警戒されている。
市況情報
他金融市場も変わらず上下激しい動きが続いている。株式市場は調整局面入りとなっている。
特に、原油相場は大幅続伸している。米国が新たな制裁措置として、ロシア産原油を禁輸検討との報道により、供給不安が意識され、投機的な買いにより大きく上昇し、一時130ドル台と14年ぶりの高値を試す展開となっている。
先週開かれたOPECプラスの会合で、段階的な増産方針は維持されているが、特段新しい対応は打ち出せない実情が浮き彫りとなっている。一部の報道では200ドルを予想する声も出てきているため、ウクライナ問題の長期化や、エネルギー価格などの上昇に伴うインフレの更なる進行が、景気や需要回復への強烈な向かい風となる可能性には特に注意が必要だ。
余談ながら、ウクライナばかりが報じられているが、UAE首都アブダビにドローン攻撃があったことをきっかけとした、中東情勢の緊迫も原油価格上昇に寄与しているため、各方面で問題が起きていることを忘れないようにしたい。
来週15-16日に予定されているFOMCにも注目が集まっている。パウエル議長が先日の議会証言で、25bpの利上げを行う意向を示したが、インフレに対する懸念が高まっているため、5月などの次回FOMCでさらなる大幅な利上げを迫られる可能性が高まっている。
安全資産とされる金の動向にそろそろ注目してもいい頃か。
各市場のボラティリティが激しく、この相場をチャンスととらえる投資家もいるようだが、ご自身の資産を守るためにもポジション管理には十分にお気を付けいただきたい。
■直近の注目イベント
3/9-10 Cryptocurrency World Expo 2022 Warsaw Summit
3/10 2月消費者物価指数
今週中 バイデン政権による暗号資産にかかる大統領令発表
3月中 グレースケールBTC信託をビットコインETFに転換申請の結果発表
筆者:前田慶次
参照:Bitcoin日本語情報サイト
Amber Market Insight
筆者プロフィール