ハイネケン『The Night is Young』をデコンする
こんにちは。先日のデコン会で、Heinekenの『The Night is Young』をやったのでシェアします。
シニアしかいないクラブ
舞台はDJが流す音楽が鳴り響くクラブ。女子トイレの個室から出てくるシニア男性。少し遅れて出てくるシニア女性。何が行われていたのかを語るのは野暮の極み。そんなイケイケシニアたちがクラブで踊る。いや、イケイケシニアしかいないクラブで踊り、酒を煽り、恋をし、青春を謳歌する。
そんな強烈なビジュアルの動画で、ワクチンを接種して夜の街に繰り出すことを推奨する、コロナ禍で売上が激減したハイネケンのプロモーション。
この動画に登場するシニアたちはワクチン接種済み。一方若者の摂取率はまだ低い。そしてロックダウンが明けてもまだバーにもクラブにも若者が戻ってこない。そんななかで作られたプロモーションです。
夜はこれからだ
キャンペーン名の『The Night is Young』は「夜はまだまだこれからだ」というような意味を持ちます。そう、夜も人生もまだまだこれからだ。
クラブで踊るイケイケシニアの背中からは、
「おい、若い奴ら、ここはお前たちの遊び場じゃないのか?いつまで家に篭ってるんだ?そんなことしてたらすぐにジジババになっちゃうぜ。俺たちはお前らのいないクラブでよろしくやってるぜ。さっさとワクチン打って、お前らもクラブに遊びにこい」
というような、ちょっと挑発的とも言えるメッセージが感じられます。
ハイネケン不買運動
この強烈なメッセージのキャンペーンは共感を呼ぶ一方で、反ワクチン派を中心に反感も買います。そしてネット上ではハイネケン不買運動が勃発。わざわざハイネケンを買って、キッチンやトイレに中身を全部流し捨てる動画などが投稿されてます。#BoycottHeinekenのハッシュタグと共に。
いや、それ不買になってなくね?
このボイコット運動もハイネケンとしては折込済みでしょう。案の定、広く拡散されて話題になりました。結果ハイネケンの売上は急上昇。
ワクチン接種を促し、夜の街に繰り出すことを促し、結果ハイネケンの売上は急回復。ボイコット運動もあったものの、このキャンペーンに対するソーシャルメディア投稿の60%は肯定的で、さらに、オーストラリアと南アフリカとオランダの政府は、同キャンペーンを歓迎する声明を出したとのこと。
The night belongs to the vaccinated
メッセージもさることながら、やはりこの動画のクオリティでしょうね。かつてクラブで多くの時間を過ごしてきた元クラバーであろうちょいワルシニアをキャスティングしたのも良いですね。とにかくビジュアルがインパクトがあって良い。
ターゲットである若者を動かすためにシニアを使う。
若者の遊び場にシニアが集まって楽しそうに青春を謳歌する。
で、お前らはどうする?
夜はまだ始まったばかりだぜ、と。
そして最後に、
The night belongs to the vaccinated
(夜はワクチン接種者のものだ)
というコピーで締めるというシンプルで強力なキャンペーンでした。
とにかくビジュアルが良い。