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宣伝会議賞をデコンする

こんにちは。先日のデコン会で『宣伝会議賞』の過去の受賞作品をデコンしたのでシェアします。今回は、第57,58,59回のグランプリ作品をやりました。


元彼の目覚ましが、夫を叩き起こし続ける。

https://senden.co/history/57


参加者一同お気に入りの作品。「元彼」→「夫」となっていることで時間の経過を感じさせます。しかも「叩き」起こし「続ける」。緩やかに起こすのではなく、トムとジェリーに出てきそうなベルタイプの目覚まし時計がけたたましい音で「叩き」起こす。しかも毎日。そんな画が思い浮かびます。

そこまでしてもまだ電池がなくならない。長持ちにもほどがある。

夫はおそらく知らないんでしょう。彼をを叩き起こしているのが元彼のものだということを。夫の間抜けさと妻のしたたかさも感じられ、思わずニヤッとしてしまうチャーミングさがありつつ、電池を替える必要がないというpanasonicが伝えたいであろうメリットもしっかり伝えてられています。

なかなか見どころのある悩みをお持ちですね。

https://senden.co/history/58

見どころのある悩み=ビジョン

とも言い換えられます。悩みは可能性。
「悩みがあるは夢がある」なのです。
だから、この言葉を言われたら嬉しい。

未だかつて誰も経験したことのなかったコロナ禍。強制的に経済活動を止められてしまい、どうしていいかわからずパニックになり、不安に駆られていた経営者は沢山いたはずです。なんとか当面の資金を確保しようと奔走していた会社も多数あったはず。そんな時に金融機関にこの言葉を言われたら沁みるでしょうね。

このコピーは"中小企業の悩みに寄り添いながら伴走して支援する"という商工中金の姿勢を表しています。切れ味するどい感じではないけどジワジワ来る良いコピーですね。

それではお聴きください。川端康成で伊豆の踊り子。

https://senden.co/history/59

これもお見事ですね。「小説を聴く」というミスマッチをうまく使っています。確かにオーディブルを使えば小説は聴くものですからね。音楽と違って3時間くらい続くってだけで。

『伊豆の踊り子』のチョイスも絶妙で、これが『坊ちゃん』じゃ今イチだし、『人間失格』じゃ重すぎるし、『海と毒薬』じゃあもうラジオを止めるよね笑。

「踊」の字からも想起されるこの軽やかな感じがラジオの曲紹介の雰囲気にぴったりです。きっとこのコピーを作った人は相当考えたんだと思います、紹介する"曲名"を。響きも含めて。

一文が12文字ずつで二行なのも見た目が綺麗だし、音としても7音がやっぱり気持ちいいですね。作者名(8音)+作品名(7音)がベストなのかもしれません。

「それではお聴きください。夏目漱石で坊ちゃん。」

だとなんだかリズム悪くて締まらないですからね。

小説を聴くというミスマッチによる認知不協和の活用と”曲名”のチョイスが秀逸な作品でした。

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