<新素材 COOLIO クーリオ – 繊維の選定>
コラムVOL.13
いつもdecollouomoをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
デッコーロウォモ誕生から今に至るまで、顧客の皆様から好評をいただいておりますconcorde(コンコルド)。これから始まる夏シーズンを乗り切るために、新しい素材の開発・フィッティングの調整・縫製仕様の変更など、日本の各メーカーと研究開発を行ってきました。この度、コンコルドモデルを超える新素材が完成し、7月中旬頃の発売が決定しましたので、コラムにて詳細を公開させていただきます。
新しく開発した素材、その名は「COOLIO – クーリオ」
日本メーカーのテクノロジーを駆使して開発したCOOLIO(クーリオ)は、暑い環境下でも「常に快適で、格好良く、清潔に」過ごせる新しい清涼素材です。
24時間忙しく働くビジネスマン、国内外を飛びまわるトラベラー、瞬間的な動作を求めるアスリート、そしてあらゆる分野で活躍するプロフェッショナルのパートナーとして生まれたdecollouomo(デッコーロウォモ)を象徴する新しい夏用素材となりました。COOLIO(クーリオ)は、肌表面の熱を水分によって外へ逃がし、心地良い清涼感で身体を包みこんでくれる優れた素材です。ムレやベタつきを抑えて常にさわやかな着心地を保てます。
じりじりと照りつける太陽、じめじめする湿気と煽る熱風 、アスファルトの猛烈な暑さが辛い「日本の夏」。真夏の地表温度は60℃を超えるとも言われています。そんな汗だくの季節の中でも快適に過ごせるCOOLIO(クーリオ)は、皆様の夏のライフスタイルに寄与するものとなることでしょう。
COOLIOで採用した繊維は、植物系再生繊維キュプラ と 捲縮性長繊維ポリエステル
~ 植物系再生繊維キュプラ ~
コートやスーツの裏地などに使用されることが多いキュプラは、一見、科学繊維に見えますが、天然素材「コットン」を原料とした環境にやさしい「植物系再生繊維」です。キュプラの原料は「コットンリンター」と呼ばれる、綿花を収穫した際に採れる綿の種子(コットンシード)の周りについた長さ2~6mmの産毛状の繊維で、それを酸化銅アンモニア溶液に溶かして繊維を形成する製法でつくられています。コットンリンターは繊維長が短すぎて綿糸には使えない部分なので、この製法が開発されるまでは処分されていました。キュプラは綿の有効活用という面で優れたサステイナブル原料なので、SDGsとして注目されている素材です。
キュプラは同じ再生繊維であるレーヨンとよく似た風合いをもちますが、レーヨンの原料は木材パルプなので全くの別物になります。キュプラはレーヨンよりも更にシルクに近い風合いの植物系再生繊維としてつくられたこともあり、レーヨン以上に優れた特徴をもっています。
シルクに近い風合いをもつ「植物系再生繊維キュプラ」
キュプラは、
①繊維の表面に節々の凹凸がなく断面が真円になっているため、滑らかで肌への刺激が少ない繊維です。敏感肌にもやさしく、テロッとしたとろみのある柔らかさとしなやかさが特徴的です。
②身体の動きに合わせて、その柔らかさが身体を包みこんでくれるので気持ち良く、まとわりながら落ちていくドレープ感がとてもエレガントです。
③吸湿性・放湿性に優れているので、汗の湿気を吸い取り、服の外に放湿してくれます。常に衣類内環境を整えてくれるので、心地よい着心地をキープしてくれます。目には見えない小さな水分の通り道から、素早く湿気を吸い取り吐き出すため、一年を通してムレやベタつきを抑えて常にさわやかな着心地を保てます。肌表面の熱を水分によって外へ逃がし夏は涼しく感じる一方、冬は体から湿気を吸収して熱エネルギーが発生して暖かく感じます。さらに、表地や上着に熱を逃がしにくい素材を利用すればその暖かさの効果が上がります。
④染色性に優れているので深みのある色と艶があり、放つ光沢感が美しいため高級感があります。
キュプラのデメリットを解消する「捲縮性長繊維ポリエステル」
捲縮(ケンシュク)とは、繊維の中の1本1本が縮んで巻いている事を指します。ウールなどの繊維には捲縮性があり、パーマをかけたように縮んで巻いています。新素材COOLIO(クーリオ)では、ウールなどの様に伸縮性や弾力性をもたせるために捲縮加工をした長繊維ポリエステルを採用しました。非常に強度のある繊維で、弾力性、形態安定性に優れており、シワになりにくいのが特徴です。
植物系再生繊維キュプラ × 捲縮性長繊維ポリエステルを強撚したオリジナル糸
糸は撚りの強さを変えることで、生地の特性や品質が変わります。
糸を1mあたり何回転撚ったかで強度が決まります。(単位:T/m メートルあたりのターン)
甘撚糸:500T/m以下、中撚糸:500~1000T/m、強撚糸:1000~2500T/m。
撚り回数の少ない甘撚りの糸は柔らかく、空気を含みやすいので保温性が高く、主に秋冬物に使われます。一方、撚り回数の多い「強撚の糸」は滑らかでハリ、コシがある丈夫な糸になります。強撚糸を使用した生地は強度を増し、撚りの強い糸で作った衣類は汗などの水分を吸収・乾燥させやすいです。吸湿性と速乾性に優れているため、夏用の服に多いシャリ感(麻素材に多い肌触り)を出せます。それだけでなく、強撚糸の繊維は丈夫なので毛羽立ちが少なくなり、肌との接触が減るので肌ざわりがサラサラになります。強撚糸は高い通気性を確保できる点と、ドレープ性が出ることで体のラインにフィットした美しいシルエットを演出し、見栄えがいいという点でもメリットが生まれます。
オリジナルで製造したCOOLIO(クーリオ)の強撚糸は「清涼感」に優れた植物系再生繊維のキュプラを多く使用しています。キュプラは、繊維中に水分を多く含むこと、熱伝導率・熱拡散率が高いことなどが影響しており、COOLIO(クーリオ)の強撚糸は、繊維に触れると肌から繊維へ瞬間的に熱が移動して冷たく感じるようにつくられています。
さらに、捲縮性長繊維ポリエステルを併せているので、耐久性が高く、しわになりにくく、速乾性が高く、水にぬれても乾くのが早い特徴を引き上げています。タテ、ヨコどちらにも効くストレッチ機能が、着心地を楽に、動きを軽やかにしてくれます。ストレッチ機能に優れ、立ったり座ったりの多い場面や、座っていることの多い場面でも着用感を楽にしてくれます。