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長男誕生。助産師だって出産は取り乱す②

今ならば、初産なのに7時間で産むなんて順調な出産だったと思える。でもその時は陣痛が痛い割に内診所見が変わっていなかったことに愕然としていた。

ほわん、ほわん、ほわん、ほわん、ほわわわわーん☁️そういえばー…
以前、職場の産科医から言われたことを思い出す。「お前は骨盤が狭いから帝王切開になるかも知れん。保険にちゃんと入っとけよ。」うわー、怖いこと思い出しちゃった。そしてその不安がまた不安を呼び、より一層、身体はこわばっていったのだった。

家事が落ち着いたのか母と姉が戻って来た。
よかった。父と2人きりの重たい時間からは解放される。
と思ったが、私が痛がると、娘のことだから見ていられないのだろう。母が不穏になっていく。不安そうにそわそわしながら覗き込み、腰をさすってくれるのだが、母の不安気な顔がまた私を不安にさせる。

あまりにも私が痛がるので、担当助産師さんがどこが痛いかと聞く。
「ち、恥骨…。おしっこ出そうです。導尿して欲しい。」
声を絞り出す。自ら導尿を希望💦陣痛を仰向けで逃すことが辛すぎて。痛い、痛いー、と身体がよじれる。もう無理ー!と思いながらも頑張って仰向けをキープして導尿してもらう。しかし、これがまた不思議なことに尿はほとんど出なかった。こんなに陣痛が痛いのに、こんなに尿意があるのに、お産が進んでいないだけでなく、おしっこも出ないの?

私はこれまで産婦さん達に「便意に近い感じがしてきたらいよいよ出産が近いサインだよ」と伝えて来た。それなのに自分はそうではなく、恥骨が痛かった。
なんで恥骨が痛いんだー💦

今なら骨盤の歪みだとか、赤ちゃんが骨盤に入ってくる角度が悪いのかなとか考えるけど、その頃の経験浅き助産師である私には痛みと不安を煽る謎でしかなかった。その頃の私は就職して2年目、少ない分娩介助経験しかなく、経験値が低かった。しかも、甘い方に流されやすい私は日々の学習や自己研鑽よりも飲み仲間との飲み会を優先しがちで、不勉強極まりない生活をしていた。
そのため今自分の身体に何が起こっているのかわからず仕舞い。

そんな私を置いてけぼりにしたまま、無情にもお産はノンストップで進んで行くのだった。

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