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長男誕生。助産師だって自分の出産は取り乱す③

こんにちは、助産師のぶきっちょです。①、②を読んで③を読まれると話がわかりやすいかと思います。

そこに前述の友人3名がやって来てくれた。不安感いっぱいの母と友人達がバトンタッチ。代わりに腰をさすってくれたが、当の私は産める自信を無くしかけていた。
ちょうど1ヶ月前に京都で開催された「第1回 正常出産カンファレンス」に参加して、「自然なお産」に憧れていた私だが、すでに2、3分おきとなった陣痛に気持ちが負けていた。

こんなに痛いのに内診はまだしないの?内診するほど進んでいないと判断されているのか?いやいや、一回内診してほしい。進んでないなら、帝王切開してほしいー💦
と、助産師さんに懇願して内診してもらう。

5センチ!🌸

やったー!すーすーんーでーるー!😭

その朗報とゴッドハンドを持つ女神3人のお陰で、私はようやく前向きになってきた。
そこから3時間、2分おきの陣痛はハカセが生まれるまで続き、その間、私は

サーフィンだ!そうだ!サーフィンだと思って乗り越えよう!あっ、来た!よーし呼吸だ、吸って吐いて、長く吐いて、ふーーーーぅ、また吸って…うわー、痛い、ダメだー負けそうだー、いやいや、ふーーーぅ。

忙しく一人で脳内会議を繰り返していた。

9センチ。
そろそろ点滴を、と助産師さんが腕を掴む。
えー、今?
「ちょ、待てよ」キムタクじゃないけど、点滴するための体勢を今取るのはしんどい。1分陣痛で痛くて、次の陣痛が来るまで1分も休み時間が無いのである。ポンコツ助産師の私でも、出産時にルート確保は必要と知っている。だが一応、全力で拒否ってみた。
はい、ダメー。ゴネる私に「規則だからダメです。点滴しますよー」と熟練の技でサササーと点滴を開始する助産師さん。やりとりを見ていた家族や友人が笑う。一瞬、場が和み、ふと緊張が解けた。それを見て私も笑う。

そっか、こんな時でも人って笑えるんだな、そして笑うとこんなにも力を抜くことができるんだな。と身をもって知る。

やっと子宮頸管が全開となったので、いきみを開始した。破水しているので膣の中をハカセの髪の毛が直接触れる。髪の毛がザリザリと行ったり来たりするのがわかる。

会陰が切れそうだから、切りますよ、と局所麻酔の注射器に手をかけながら産科医が言う。

「いいえ、切りません。」
なにせ自然な出産に憧れている私は会陰切開を拒否。

え!切らないの?切れちゃうよ? 
と、産科医が問う。

「いいです。」
自然なお産にこだわり過ぎて、再び会陰切開を拒否。「あなたは怖がりだから切るのが怖いんでしょ。もぅビビリなんだから。」と母からツッコミが入る。

母にちょっとイラつく。
けど確かに…それもある。

この頃、助産師さんと産科医の会話から、帝王切開予定の妊婦さんが破水し、緊急手術の準備が始まったことがわかった。この人たち、きっと早く私のお産を終了させたいだろうな、と事情を忖度しながら、

でも私も私のお産の主役ですからー!

と、結局会陰切開はせず、時間はかかったが自力で産んだのだった。

仕事を早めに切り上げさせてもらってやっと到着した夫も含め、家族7名と友人3名。総勢10名に見守られて、待望の第一子ハカセはこうして生まれたのだった。

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