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参謀の思考法
松下幸之助が育てた「参謀役の心得」が、ここにある。
この本の著者は、ブリジストンの元社長。
自身の経験から、トップに信頼される社員像を描いている。
こちらに書かれていることを実践するのは、実はとても難しい。
普通の会社であれば、人事権を持つ上司に直言するのは困難。
自分の出世を願うだけなら、上司に取り入る方が楽だし、効果的。
でも、それだと会社はいずれ傾いてしまう・・・
松下幸之助は、制度で社内参謀を育てた。
経理社員制度という、独特の制度。
事業部制をうまく機能させるために、幸之助の手元から「経理社員」を事業部に派遣。
普段は事業部長と二人三脚で仕事を進めるのだが。
いざというときには、幸之助に直接レポートする権限を経理社員は持っている。
人事権は幸之助にあるので、事業部長は気に入らない経理責任者のクビを飛ばせない。
これなら、経理責任者は思い切って直言できる。
幸之助は「経理は経営の羅針盤」「経理の乱れは経営の乱れ」「赤字は罪悪」などの言葉を残した。
幸之助の代理者として仕事をするわけだから、経理社員は経理に精通するだけで無く、現場もよく知り、人を動かすスキルも求められた。
入社直後から、毎年厳しい研修を毎年受け、さらには自ら学び続けることを求められた。
だからこそ、パナソニックが何度も危機に陥っても、経理社員のネットワークと頑張りで不死鳥のように蘇ることができている。
私も、経理社員として28年間勤務した。
実践してきたことは、この本に書かれてあるとおり。
若い頃から、「自分が経営者だったら・・・」と考え、事業全体をどうすればいいかを考え、問題解決に当たってきた。
28年間で85個のプロジェクトを主体的に動かしてきた。
私の場合は、ヒューマンスキルが若い頃はとても低かった。
もう少し周りとうまくやる方法を学んでおけば・・・とも思うのだが。
だからこそ、今お伝えしていることに血を通わせることができている。
なぜなら、私の反省であり、苦労して身につけたことだから。
他社のCEOが書いた本だからこそ、心に響くものが違う。
いいサラリーマン生活だったと、心から感謝している。
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