度を越して流行りやがったMBTI(もどき)

自分自身がわからず病み界隈へ片足を踏み入れると,私は多くの繊細な人々を目の当たりにしました。

Twitterに書き込まれた内容を見ていると,うつ病の人や厭世観を持つ人,感情のコントロールが苦手な人など様々ですが,特にINFPについて強く共感したことが何度かあります。今でもXを見るとプロフ欄にINFPと書いた病み垢的なのが見つかりますね。

私は病んでいるわけではないですが,「MBTIのせいで余計に病んだ」というような旨の書き込みを見たことがあります。これは妙に共感できました。

MBTIを自己分析ツールとして有効活用していたはずが,偏見にまみれた過剰なエンタメとして他人にMBTIのレッテルを貼られることが私にもあったからです。INFPは社会不適合者とか真面目系クズっていうのは典型的ですけどあまりにも酷すぎませんか?

まあそれはともかく,MBTIはエンタメとして流行ってしまったのではないかと思います。良くも悪くも。もちろん自己探求者が流行りに便乗してMBTIを使い始めた例もあるのかもしれませんが......

軽く調べる限りは,K-POPの人気が日本で高まると,それに付随するようにMBTIが広まったらしいです(詳細は知りません)。

そして「MBTI」が流行ったわけですが,残念ながら「MBTIもどき」でしかないんですよね。これまた本当に残念な流行り方をしたものです。


以前,フジテレビの某バラエティ番組やお昼の番組で,有名なネット診断「16Personalities」のことを「MBTI」として紹介していたところを見ました。私は正直これは問題発言ではないかと思いました。几帳面な人なら「16Personalities」かそれを訳して「16タイプ性格診断」などと表現するはずですが,それはユング派心理学から派生したMBTIとの違いを理解しているからこそです。

一応説明すると,大きな違いは心理機能の有無なので16Personalitiesを参考にはできますね。例えば,16PersonalitiesでISTP-Aが出た人が「自分は内向的じゃないな」と思えば,ISTPの心理機能Ti-Se-Ni-Feを参照した上でタイピングし直すとよいです。Seを主機能としたほうが納得できれば,ESTPの可能性が高いと言えます。あとはAとTがビッグファイブ理論の神経症傾向だとか違いがありますね。

この違いをわかっていない人が結構いますが,それは当然のことです。流行ったものをわざわざこと細かく調べる人よりもネットでとりあえず診断してみる人のほうが多いと思います。

それにしても,MBTIという文字列がただ流行っているという理由だけでテレビでMBTI発言するのはダメだろと思います。ちゃんとMBTIじゃないことを言うべきです。


16PersonalitiesはMBTIとは違うといっても,なぜか「MBTI」をGoogle検索するとトップのWebサイトが16Personalitiesになります。理由はわかりません。

あとMBTI協会はMBTIもどきを絶対にMBTIとして認めたくないのでしょうか? 確かに16PersonalitiesをMBTIという文字列で広めた人には非があるかもしれませんが,もう手遅れですよね。いつまで威張っているんだMBTI協会は。

テレビでも誤解が広まったのは注意喚起が不適切で不十分だったMBTI協会にも責任があるのではないですかね。


テレビでMBTIもどきが紹介されたときは驚きましたが,同時に腹立たしくもありました。なんでこんなに流行ってんだよと。私がMBTIもどきを知った頃は大して流行っていなかったし,不適切なエンタメも少なかったです。

そもそも私はフレーゲとかクワインのような本当の論理学者を調べていたら,たまたま「論理学者型(INTP)」が出てきて知ったので,日本で流行る前から知っていました。興味深いと思ってMBTIもどきを調べるうちにMBTIを知った感じですね。

最後にMBTIもどきは流行りすぎていると私は断言します。特に縦型動画系の投稿内容は流行りに乗った人などの,いわゆるライト層向けであることが多いです。中には過激なほどに偏見まみれの投稿もあったので,「MBTIはさっさと廃れろ!」と一時期本気で思っていました。というか今も正直廃れてほしいです。

こんな荒れ果てた文化に飲み込まれるくらいなら,MBTIもMBTIもどきも知らなければよかったなあと思いながらも,手放すことすらできません。いいツールだと思うので,もう少し理解した上で使ってほしいです。偏見まみれのエンタメに至ってはそれ以前の問題ですけどね。

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