直近の人気Dapps解説と今後のトレンド予測
こんにちは!
リサーチャーのmitsuiです!
この記事では直近の「Dapps」トレンドについて解説します。
Dappsとは?
まずは「Dapps」を簡単に説明します。DappsはDecentralized Applicationsの略称で、日本語訳すると分散型アプリケーションです。
その範囲は広く、ブロックチェーン上に構築されているアプリケーションの総称を意味します。よって、GameFi、DeFi、Protocolまでを包含してDappsと呼びます。
Dapps(アプリケーション)とProtocol(基盤)は分けて語られることも多いですが、Dapps本来の意味合いでいけばL1やL2等のブロックチェーン以外のプロジェクトで、具体的なプロダクトを伴っている場合は全てDappsです。なので、PFP等のNFTプロジェクトは異なりますが、それ以外のブロックチェーン系のプロジェクトの多くは広義で言えばDappsの1種となります。
Dappsのメリット
続いて、これまでのアプリケーションとDappsの違いを見ていきます。最大の違いはブロックチェーンを活用することで中央管理者が存在せず、P2Pでアプリケーションを構築している点です。
これによってユーザーは情報漏洩や中抜き、不当なアルゴリズム変更やサービス停止等のリスクを避けることができます。また、サービス提供側も個人情報の保守にかかっていたコストを削減できるというメリットがあります。
これらはブロックチェーンを活用するメリットと同義ですので、それらの恩恵をフルで受けることができる新時代のアプリケーションがDappsというわけです。上述した通り、DeFi、GameFi、SocialFi等、すでに多くのジャンルでDappsが誕生しています。
最も、現在はWeb2の技術とブロックチェーンを組み合わせ、例えばAWSのサーバーを利用してサービスの一部にブロックチェーンを活用するなど、ハイブリットなアプリケーションも多く見られます。
この辺りの細かい定義は割れるところですが、この記事中ではフルオンチェーンで作られていない、一部ブロックチェーンが活用されているアプリケーションでもDappsとして紹介させていただきます。
「最近はこんなDappsが盛り上がってるんだ」
「こういう使い方もあるのか」
そういう気持ちでご覧いただければと思います。
直近で数字を集めているDapps
今回の調査に利用するサイトは「DappsRadar」です。このサイトは世界最大規模のDappsの情報検索サイトです。2018年創業で、現在は14,972Dapps、34,726NFT Collections、54Chains、の情報を網羅しています。
こちらのサイトから直近で盛り上がりを見せるDappsを検索し、その概要とトレンドをご紹介します。(※執筆日は10月末頃でありその時点でのデータとなります)
Dapps数の多いチェーンランキング
こちらは"Dappsが多いブロックチェーンランキング"で、緑や赤の数字は30日間の増減を示しています。現在の一位はBNB ChainでEthereumやPolygonが続くという形になっています。面白いのはこの30日間でBNBは現象数値が目立ちますが、ETHは大幅上昇を見せる数字がちらほらあることですね。
さて、チェーン戦争はL1やL2の兼ね合いもあり、この表だけではなんとも言えないので本題であるDappsのトレンドに参ります。
今回はいずれも30日間のランキングで、以下の2つの指標でのランキングをそれぞれ紹介します。
UAW(ユニークアクティブウォレット)≒ユーザー数
Volume(取扱高)
①UAW(ユニークアクティブウォレット)≒ユーザー数のトレンド
GalxeやPancakeSwap、Uniswap等の以前からあるサービスに加えて、ここ数ヶ月話題のFriend.techがランクインしています。とはいえ、見覚えのないDappsもあるかと思いますので、トップ3のDappsを簡単に紹介します。
No1:KAI-CHING(163万UAW)
正直、筆者も聞いたことがないDappsだったのですが、どうやら2014年からWeb2アプリケーションが2023年4月にNEAR財団から出資を受けることでブロックチェーン領域にも参入したようです。
正式名称(サービス名)は「KAIKAI」で、オフラインとオンラインのシームレスな購入体験を推進します。クリック&コレクトと呼ばれ、オンラインで購入した商品をオフラインでピックアップすることができます。
その「KAIKAI」がNEAR財団から資金調達を行い、NEAR上に拡張しました。KAIKAIを利用することでKAI-CHING (KAIC)トークンを獲得します。
No2:Stargate(102万UAW)
異なるブロックチェーン間を資金移動できるクロスチェーン対応のDeFiプロトコルです。オムニチェーンを実現するLayerZeroプロトコル上に構築されています。通常、チェーン毎にDEXが存在し、異なるチェーン間の取引は手間と手数料がかかっていましたが、Stargateはそのクロスチェーンでの取引を直接実現します。2022年3月のリリースながら急激に成長しています。
No3:TinyTap(93万UAW)
教師や出版社によって作られた25万以上のアクティビティを持つ世界最大の教育ゲームライブラリです。教育者がインタラクティブな教育コンテンツを作成・共有し、そのコンテンツが学習者に利用された際に収益を受け取ることができます。ブロックチェーンを利用することでコンテンツの自己所有や利用時の報酬獲得を受けることができます。Animoca Brandsの子会社が運営しています。
②Volume(取扱高)
Volumeで見ると上位全てがDeFi系です。まあWeb2アプリケーションで考えてみても、ユーザー数で見るとXやFacebook等のSNSの方がありますが、取扱高で見れば金融や決済を握っているアプリケーションとなるので、この結果も当然と言えます。
こちらは似たようなアプリケーションが多いのでピックアップした解説はしませんが、気になるDappsがあればぜひ調べてみてください!
Dappsの今後のトレンド予測
最後はこれらの情報をもとにDappsの今後のトレンドを予測します。筆者自身の意見が多分に含まれるので一意見としてお聞きください。
筆者は今後のDappsでは2つのトレンドがあるのではないかと予想します。
SocialFiのブームが訪れる
Web2企業のweb3参入が加速する
1つずつ解説します。
①SocialFiのブームが訪れる
SocialFiはSNS等のソーシャルネットワークを分散型で実現する領域ですが、UAWを見ても上位にランクインするプロジェクトが存在していました。また、筆者自身が普段情報収集する中での肌感覚としてもここ最近の盛り上がりを感じます。
牽引しているのは「Galxe」と「Friend.tech」です。
「Galxe」は世界最大のweb3クレデンシャルプラットフォームです。各種キャンペーンが実施され、それらの軌跡が蓄積されてDIDとしても機能します。
そんな「Galxe」は最近「Galxe 2.0」の構想を発表し、スマホアプリへの展開、web3スコア機能の発表、ソーシャルログインの実装など、マスアダプションへ向けた新しい展開を発表しました。これまでに積み上げたユーザー数に加え、これからの発表を受けてますます期待がかけられています。
また、Friend.techは言わずもがなですが、ここ数ヶ月のweb3業界で最も話題のプロダクトです。Xアカウントと連携し、自身の株式を売買できるプラットフォームで、非常に大きなバズと盛り上がりを見せています。
Friend.techはBaseチェーン上に構築されていますが、コピーアプリはSolana、Avalanche、Arbitrum、Bitcoin等の他のチェーン上にも続々と誕生しており、Friend.techっぽいDappsの進撃は止まりません。
これらはまだweb3界隈のバズに留まっていますが、近いうちにマスへ広がる可能性があり、その瞬間にSocialFiがより一層盛り上がるのではないかと予想しています。
②Web2企業のweb3参入が加速する
こちらはUAWのランキング上位を見てわかったように、すでにユーザー数を持つ既存のWeb2サービスがweb3(ブロックチェーン)を導入することで、一気に主要Dappsに躍り出ます。
例えば、AmazonがNFTを導入するのではないかという噂が出ていますが、本当に導入するとなると一気にUAWが1億人のDappsとなるかもしれません。
もちろん、どこまでをDappsと定義するのかであったり、トークンエコノミクスの成熟や分散性等、web3文脈にあるDappsならでは評価指標は他にも存在すると考えているので、一概にweb3要素を組み込んだからといって、全てのDappsを代替する存在になるとは考えていません。
しかし、ユーザー数を持つWeb2サービスがその影響力と資本力を持って本気でweb3対応するとその影響力は計り知れません。そして、今後はその動きがより加速していくと予想します。
まとめ
以上、2つのトレンドを予想しました。
DeFiのVolumeが多いことは当たり前として、今後もDeFiが拡大するかは法規制との兼ね合いもあるので予測は難しいです。また、GameFiがマスアダプションの鍵となると考えていたのですが、UAWを見ても上位にランクインするDappsはあまりありませんでした。
GameFiは変わらずマス向けの起爆剤になると考えていますが、既存のゲームと全く異なる性質を持った体験となるので、まだ適切なUXが見つかっていないのかもしれません。そして、個人的にはゲームの中で一部NFTを採用するなど以外のフルオンチェーンのGameFiは既存のWeb2ゲームとは全く別物なので、別の方向性で進化をし、エコシステムを築いていくと予想しています。
そうなると、すぐにマスアダプションに貢献しそうなのはWeb2ゲーム会社がweb3要素を一部組み込む形となり、先述したトレンドの「②Web2企業のweb3参入が加速する」と重なります。
総じて、web3ネイティブのDappsはSocialFi領域が伸びていき、Web2からの延長線上では一部web3を採用する形が増えていくのではないかと考えています。
また定期的にDappsのトレンドをまとめていきます!
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