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BaseがDEX取引量で過去最高額を突破、盛況の背景

こんにちは、Decentierリサーチャーのweb三郎です。

先月末にCoinbaseが開発するL2チェーンBaseのDEXでの24時間取引量が過去最高の12.1億ドルを記録し注目を集めました。

DEX取引量(Dune Analytics

Baseで取引が活発化した背景に、EthereumのDeucunアップグレードの影響と、新興の分散型SNSとミームコインとの繋がりがあります。本稿ではこれらのトピックについて解説していきます。


Baseとは?

Baseは取引所最大手のCoinbaseが開発するEthereumのL2です。

L2とは、Ethereum等のL1と呼ばれるブロックチェーンネットワークを補完する目的で構築されるネットワークのことを指し、L1のトランザクション処理速度の向上やガス代の削減を目指します。数年前までは実験的なプロジェクトとして知られていましたが、最近ではOptimismやArbitrumなどの有力プロジェクトがメインネットをローンチし、多くのdAppsがL2上で実稼働するようになり身近な存在になりました。

Baseの開発・運営は一般にCoinbaseと説明されますが、技術的にはOptimismが提供するOP Stackという技術を利用して構築されており、その意味ではOptimismエコシステムの一部とも考えられます。技術的にも、Baseのコアコントラクトを変更するためにはBaseとOptimismの2つのチームの承認が必要な仕組みとなっており、CoinbaseのもつBaseのコントロール権限は限定的であり、公式声明の中でもCoinbaseはBaseへの中立的な参加者であり続けることが強調されています。

親を超えて成長するBase

主要L2とBaseのTVL, Volume比較(DefiLlama

先述の通りBaseはOptimismエコシステムの一部ですが、ユーザー目線で見るとOptimismとは競合関係にもあります。

Friend.techというTwitterアカウントをトークン化して売買できるdAppsが流行した2023年8月には1日あたりの取引量が90万txを超え、これはArbitrumやOptimismといった主要L2の約2倍の水準でした。

上図のようにTVLで見ればArbitrumが圧倒的に優勢な状況が続いており、取引量で見てもOptimismやArbitrumの方が大きく、L2のなかでは3~5番手くらいの立ち位置をキープしてきたという方が正確ではありますが、直近ではTVLでもVolumeでもOptimismを越しており、今後の動向が注視される状況です。

成長の背景:Dencunアップグレードとミームコイン

Baseの成長の背景には3月上旬より続くミームコインの熱狂があります。

現在のBase上のDEXの取引シェアを見ると6割以上の取引がUniswap上で行われていることがわかります(下図)。

Base上のDEXシェア(Dune Analytics


その内訳を知るためにBase上のUniswapの過去7日間のプール別取引量を見ると、$DEGEN、$mfer、$ROOST、$BRETT、$PEACHといったトークンが上位にあることが確認できます(下図)。

Base版Uniswapの7日間取引量ランキング(Uniswap info

これらのトークンはミームコインとして知られるもので、Solana同様のミームの熱狂がBaseにも訪れていることがわかります。

ミームコインの取引の場としてBaseが選ばれている理由の1つとして、Ethereumの大型アップグレード「Dencun」によってL2のガス代が安価になったことが挙げられます。

少し前までのミームコインの主戦場はガス代が安価でトレーディングbotも発達しているSonalaでした。しかし、Dencunアップデート以降のL2のガス代はSolanaと同等のレベルにまで引き下がっています。

下のグラフは主要L2のガス代の中央値の推移を表しています。Dencunアップデートが実装された3月13日以降にすべてのL2のガス代が大幅に低下していることがわかります。とくにBaseはこのアップデートの恩恵を大きく受けてており、取引量の増加に応じてスパイクが生じていることを除けば、ライバルよりも安価なコストで推移していると言えます。

主要L2ガス代の中央値(Dune Analytics

もう一つの理由:Warpcast

もう一つの要因として、分散型SNSプロトコルFarcasterに基づいて構築されたWarpcastというTwitterライクなSNS dAppsの興隆もあります。

Wrapcastは文章や画像を投稿したり、他のユーザーとフォローやいいねを通じて交流したりできるTwitterのようなアプリですが、アカウントがウォレット単位になっていたり、framesというプログラマブルな投稿を作成できる機能があり、これを用いてNFTをmintできる投稿を作ったり、NFTをギャラリー単位で投稿したりと、web3ならではの様々な機能が備わっている点が特徴です。

Wrapcastは今年1月ごろから急速に成長しています。その理由としては、Farcasterの共同創設者が両名ともCoinbase出身であること、Coinbase Venturesの出資先であること、Vitalik Buterin氏も利用していることなど、様々なことが関係しています。

しかし、最大の理由はFarcasterのコミュニティ内で生まれBase上で発行される$DEGENというミームコインがFarcaster上のアクティブユーザーへエアドロップされていることでしょう。

$DEGENはWarpcast内で投げ銭のために用いられているトークンであり、Warpcast内の様々な活動に応じて発行されるポイントに基づいて配布されます。

現在はこれを狙うユーザーが多く集まっている状態となっており、このこともBaseネットワークの盛況を支える一因といえるでしょう。

さいごに

Baseの活況の背景について解説してきました。そのドライバーはSolanaから続くミームコインの盛り上がりにありますが、とはいえ、ミームコイン投資家が取引の場としてBaseを選んだのは、BaseがDencunアップグレードを経て他のプロジェクトよりもガス代を低くできたという技術的なアドバンテージもあってのことです。

ミームコインというと少し軽薄な印象もありますが、インフラレイヤーのプロジェクトが乱立するなかで、ときには軽視される技術的な側面において優位性を発揮することが市場におけるポジションの確立に大いに役に立つということが示された点を素直に評価すべきかもしれません。

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