サッカー指導の教科書
今回は指導の進め方について解説しようと思います。
私がライセンスを取得したFAI(アイルランドサッカー協会)やお隣のFA(イングランドサッカー協会)も同じような順序での指導を推奨しています。
小学生のコーチを初めて担当することになった方や、自分の指導方法をアップグレードしたい方は是非参考にしてみて下さい。
1:Explanation(説明)
まずは選手を集めてその日の練習テーマを伝えます。その後、最初に行うメニューの説明を行います。ここで注意したいのは、長々と余計なことまで話し過ぎないこと。選手は説教や知識をひけらかしを聞きにフィールドに来ているのではなく、サッカーをしたくて来ているのです。パッと練習の流れを説明したらプレーさせてあげましょう。
2 : Orientation(プレー開始)
説明を素早く終えたら選手にプレーしてもらいます。とにかくプレーをさせて観察します。
3 : Learning(コーチング)
しばらくすると、問題点や自分が思い描いたシナリオ通りにいかない点が見えてくると思います。そこでフリーズを発動させます。一度練習を止めて、なぜ上手くいかないのか、どうすれば上手くプレーが流れるのかを選手に問いかけながら解決していきます。答えを導くように質問の意図も考えておく必要があります。指導者が一方的に答えを与えているだけでは選手達の思考回路が育たず、指示を待つだけの選手となってしまう恐れがあります。
4 : Implementation(実施)
コーチングが終われば、整理したポイントを意識して選手達に再びプレーしてもらいます。コーチングのフェーズで上手く選手達に伝わっていれば、ポジティブな変化が必ず生まれるはずです。生まれないのであれば、コーチングのポイントがズレていなかったかを後で振り返る必要があると思います。もしくは、そもそもの設定に問題があるのかもしれません。ピッチが大き過ぎたり、小さ過ぎたり、難易度が高過ぎたり、簡単過ぎることもあるでしょう。
STEPフレームワーク
イングランドサッカー協会が推奨しているSTEPフレームワークもここでご紹介しておきます。これらの方法を使用することでポジティブな変化が生まれやすくなるかと思います。
STEPフレームワークとは?
STEPの「S」(スペース)
ピッチサイズを小さくしたり大きくしたりしてスペースの調整をしてみる。
選手のレベルに合わせて2つか3つのピッチに分けて行うのも良いでしょう。
STEPの「T」(タスク)
個人またはグループごとに練習で実現したいシナリオや乗り越えさせたい課題を、ルールや条件、時間などを設定することで達成しやすくする。簡単すぎるならタッチ制限や、時間制限を設けてみる。シュート方法をゴールへのシュートからライン突破にするなどの変更も考えられます。
これを英語ではProgression(プログレッション)と呼び、1つの練習メニューでいくつかのプログレッションを用意します。難易度が上がったり、条件が少し変わっただけで選手達もフレッシュな気持ちで取り組めるのでおすすめです。
STEPの「E」(エクイップメント)
Equipmentは用具の意味です。練習で使用している用具を変えることで難易度を調整できます。例えば、ボールの数を増やしたり、大きさの違うボールを使用するのも手です。あるいは、ゴールの大きさを変えたり、コーンやマーカーを使ってゴールゾーンを設定することもできますね。
STEPの「P」(プレーヤー)
最後にプレーヤーです。いつも同数の選手同士で行うだけでなく、片方のチームだけ人数を一人増やしたり、減らしたりすることで敢えて数的有利・不利な状況を作り出すことができます。サッカーではこういった状況が頻繁に起こりますし、選手のレベルがアンバランスな時にも有効です。
5 : De-brief(振り返り)
練習が終われば選手を集めて端的な振り返りを行います。練習のポイントは何だったのか?目的を実現するためにどのようなことが必要だったのか?終わった後に振り返ることでさらに選手達の理解度を向上させます。
6 : Reflection(内省)
最後は自分自身で振り返り内省します。反省も含めて。何が上手くいったのか、いかなかったのか、それらは全て次に生かすために必要なことですので、毎回の練習後に少しでも時間を取って考えることができれば次の練習内容が確実に向上するかと思います。
以上になります。
全編英語になりますが、実際にFAが行っている練習内容を見てみると、この順序で行っていることが分かると思います。
こちらもFAが発信している公式サイトで、練習メニューが年齢やテーマごとに無料で公開されている神サイトです。
今後の指導に是非お役立て頂ければ幸いです。
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