2年1学期/ハンガリー国立デブレツェン大学医学部医学科
2年1学期について書いていきます。
この記事単体を読んで内容を理解するのは少し難しいと思うので、古い記事・予備コースや1年1学期について書いたものから順番に読むのを推奨します。
この学期で学ぶのは
【Anatomy2+Histology2+Embryology2】
(=通称:アナトミー2)
【Physiology1/生理学】
【Biochemistry1/生化学】
【ハンガリー語】
の4科目です。
科目としては少ないですが、この大学で最も留年率の高い科目であるAnatomy2がある学期です。
細かく説明していきます。(とりあえずAnatomy2についてのみ書きました(7/27)。おいおい加筆していきます。)
【Anatomy2+Histology2+Embryology2】
by Anatomy Department
デブレツェン大学は解剖学・組織学・発生学が3つセットで、1分野だけダメでも留年、来年全てやり直しという仕組みです、
授業は集団授業(Lecture)とグループ別の授業(Seminor)の2種で構成されてます。
解剖学のセミナーは週2回×1回3時間、実際にホルマリンに漬けられたご遺体を先生主導で解剖していきます。ご遺体は各クラス約3体。大体セミナー前半で理論の説明、後半で実際にご遺体に触って構造を確認していきます。
2年の解剖は脳を除く頭から生殖器までを
①Head&Neck
②Thorax(lung&heart)
③abdomen
④genital organ
の4分野に分けて①→④と上から順番に14週間かけて勉強していきます。
組織学のセミナーはパソコンルームで授業が行われます。各々パソコンの前に座り、講義を受けながら組織標本を拡大・縮小して1つ1つ特徴を詳しくみていきます。1年では上皮・結合・筋・神経と組織ごとに特徴をみていきましたが、2年では各臓器ごとに特徴を学んでいきます。
試験は
SCT5part(①Head&Neck②Thorax+組織学の試験3回)+
Final試験にて③abdomen&④genital part、
その全てのpartが受かった人間のみが受けられるTheory part
によって構成されます。
SCTでpassしたpartは期末試験では免除されます。
雑な図解。(笑)
よってSCT全て受かった人は
Finalで
③abdomen
④genital part
(③④パス後に)Theory part
この3つのみが残ります。
SCT全て落とした人は
①Head&Neck
②Thorax
③abdomen
④genital part
組織学❶
組織学❷
組織学❸
上記7種の試験全て合格後にTheory partの試験をやっと受けることが出来ます。全て同日に連続受験です。
(解剖学のSCTは1年に引き続き口頭試験、
組織学のSCTは1年に引き続きPCでの試験です。
試験形式としては1年と変わらないのでこの記事 https://note.mu/debrecen1538med/n/n611755b5bb6c 参照。発生学のSCTは無く、Theory partに織り込まれています。)
Theory partって何よ?
Theory partは過去学んだ上腕下肢を除く解剖・組織・発生の全てが試験範囲になっており、それが40コのTopicに分かれています。40コのうちくじで引いた1つを教授の前で話します。
Topic listこちらです。↓
例えばStomachのトピックを引いた場合、
白い紙に準備をする時間が与えられたのち、胃についての解剖・組織・発生をプレゼンします。
解剖学的位置やblood supply、神経支配、各細胞の働き、secretion、layer、何週目にどこからどのようにして発生するかなどなど……
話してる途中に教授からバンバン質問され、それについてもその都度答えていきます。
試験時間も人によっては15分、長い人で1時間半と様々です。
(過去聞いた最長記録は3時間半ですが真偽の程は謎)
それに合格して単位取得となります。
Theory partに限らずSCTでもですが、どのトピックに当たるかとどの先生に当たるかが大きく合否に関わってきます。
簡単な先生で簡単なトピックを引くのと、難しい先生で難しいトピックを引くのの難易度は雲泥の差があります。
どれを引いてもある程度大丈夫という段階まで来るのは勉強量次第でなんとかなっても、どの先生が来ても何を聞かれても大丈夫!という段階まではなかなか限られた時間で到達するのは難しいです。いくら勉強しても緊張しますし、その時に口で説明出来るかはまた別です。
努力して受かる確率は上げられるけれども、運の要素が大きく残るのがこの試験形式です。
ご想像の通り、学期中のSCTをすべて落とした状態で期末試験を受験するのは1年では問題無くともTheory partのある2年では控えめに言ってHopeless、進級はかなり絶望的です。もし仲良い後輩がその状況で相談してきた場合、私なら大人しく留年するのをすすめます。留年したところで受かるかわからない科目を来年残り3チャンスで退学かかって勉強するのと、来年残り6チャンスで勉強するのは精神状況が違うからです。
(チャンスって何?と思われた方はこの記事を参照 https://note.mu/debrecen1538med/n/ncdc010598ba0 )
(まぁ留年云々はご家庭の資金力などにも関係するのであんまりとやかく言えないのですが…… )
2018年度のこの科目の進級率は48%でした。つまり過半数が落第。
日本の大学の普通の試験と同じ感覚で考えない方が良いです。
(↑と記事のヘッダー写真は私が最後の関門であるTheory partをpassした後に撮った写真です。ぬいぐるみを挟んで資料2山、1科目だけでこの量です🙄)
とりあえず【Anatomy2+Histology2+Embryology2】について書きました。
生理学・生化学については後々書き足し、アップ次第Twitterで連絡します。