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1年2学期/ハンガリー国立デブレツェン大学医学部医学科

1年1学期に引き続き、1年2学期についても書いていきます。

【Anatomy+Histology+Embryology】

by Anatomy Department
デブレツェン大学は解剖学・組織学・発生学が3つセットです。(1分野だけ受からなくても留年、来年全てやり直しという仕組み)
集団授業(Lecture)とグループ別の授業(Seminor)の2種、

解剖学のセミナーは週2回×1回2時間、実際にホルマリンに漬けられたご遺体を先生主導で解剖していきます。ご遺体は各クラス約3体。大体セミナー前半で理論の説明、後半で実際にご遺体に触って構造を確認していきます。

組織学のセミナーはパソコンルームで授業が行われます。各々パソコンの前に座り、講義を受けながら組織標本を拡大・縮小して1つ1つ特徴を詳しくみていきます。
1年の組織学は上皮・結合・筋・神経と組織の種類ごとにまず勉強していきます。(2年生になると各臓器ごとにみていく)

発生学は集団授業(レクチャー)のみ。セミナーはないです。

AnatomyのSCT(中間試験)は5週間おきに3回。1st→上腕、2nd→下肢、3rd→頭蓋骨
Histology2回
Embryology1回
以上合計SCT6種類。
SCTでパスしたらその分野はFinal免除(examption)。
6つ全部パスしてやっと単位が貰えます。
学期中に全パスしたらFinal無し!
(このルールは2017-18年度まで。2018-19年度よりルールの変更があり、Anatomy partのexamptionシステムがほぼ消失、総合試験のようなものが期末試験で課されることになりました。)

〔Anatomy part 試験について〕


口頭試験。先生は当日まで不明。
解剖室の前で待たされるのですが、扉開けて自分の名前を呼んだ先生がその日の試験管です。各分野ごとにトピックリストがあり、くじを引いてどのトピック当たるかその場で決まります。トピックを引いたら白紙の紙を渡され準備(紙にそのトピックについて何をどう話すか書く時間)。後にテスト開始。生徒にプレゼンさせる先生もいれば淡々と質問を投げかけてくる先生も。ご遺体を実際に触り筋肉・神経を自分で見つけながら説明していきます。最後にgrade(成績)をその場で言われます。現場はテスト前の人後の人、受かった人落ちた人と悲喜交々で結構壮絶です。

〔Histology part 試験について〕
パソコンで選択問題。試験時間20分全10問。≧6点(60%)でパス。部分点無し。授業で扱ったスライドの写真が出るのでそれについての問いに答える。教科書を読んでいないと解けない問題も多く、問題によっては複数選択なので結構難しい。

〔Embryology part 試験について〕
Histologyと同じ仕組み。

大体勉強に使うのは教科書・アトラス・トピックノートの3種、

〔アトラス〕
Sobotta(授業の時に使われる絵はここから。多分全員持ってる。三部冊なだけあって絵の多さはピカイチ)
Netter(ソボタにくらべると絵の数は少ないけどよく纏まってて良い絵も多い。切り離しやすいから授業持ち込み&書き込み用にしてる人多い。)
yokochi(実際の献体の写真によるアトラス。あると便利。慣れないうちはアトラスの絵と実際の献体との違いに戸惑うと思うので)

〔教科書〕
clinical oriented anatomy(通称Moore、学校指定)
essential clinical oriented anatomony(上のとの違いはこっちのが簡略版。よく言えば要点纏まってるし悪く言えば情報量少なめだけど十分といえば十分。)
Gray's Anatomy(学校指定ではないけど読んだり薦めてる先生多い。図がめちゃくちゃわかりやすい。Moore比べたら浅め、しかしこのレベルが完璧にわかってたらほぼ落ちないと思う。)

Langman's Medical Embryology

〔トピックノート〕
これは学生が有志でつくったやつです。
学内のコピーショップにて売ってます。
全く使わない人もいるし、好き嫌い・賛否両論あるのでまわりの先輩に聞いてみてください。

〔授業に持ってくもの〕
白衣(ないと部屋に入れてくれない)
グローブ(献体触る時に使う)
ピンセット・メス(すぐ誰のかわからなくなって無くすので消耗品として諦めてください笑)
アトラス
ノート

〈その他ぼんやりアドバイス〉
遅刻厳禁!!!!!1分でも遅れたら入れてくれません。

【Cell Biology】

by Biophysics&Cell biology Department

教科書はEssential Cell Biology。(日本の大学でも結構使ってるあるらしい)
予備コースでやった生物のもっと深い版。
細胞膜にあるレセプターの種類やシグナル伝達、細胞骨格、細胞周期などについてさらに細かく学びます。集団授業・グループ別授業だけでなく実験形式の授業もあり。

学期中試験(SCT)2回あり。
期末試験(Final)はApart(minimal)+Bpart(Written)で構成。

(SCT2回の平均+ボーナスポイント)≧60%(点)でFinal免除。

ボーナスポイントはプレゼン(1~3点)+pract(1~3点)+attendance(5点)の3種類から構成。
ボーナスが加算されるのは≧50%(点)からで、ボーナスポイントはそこそこ真面目にやってればみんな大体10点前後貰えます。

学期中の試験の平均が60%以下=A partのexemptionを取り逃がしてしまうとFinalは1学期のBiophysicsと同じようにMinimal試験(Apart試験、定義集のようなものを覚えて)があります。そこで80%以上取らないと後半のBパートは採点すらしてもらえないという鬼仕様に……。
それに翻弄され休みがゴリゴリ減った前例多数(試験日が週1なので)。これで留年したり2年に持ち越しの仮進級みたいになる人も少なくない科目です。学期中頑張ってFinal免除を貰えたらグッとFinalが楽になります。

【Mol biology】

分子生物学。GeneticやCell Biologyと内容は結構被っています。DNA,RNAの構造、タンパク質合成など細胞の制御をはじめ、どのような実験で何が測定出来るかなど割と地味な事を勉強します。

学期中の試験が良ければ期末免除になる科目なのですが、捨ててfinalに回す人間が多いです。
これは学期中の試験より期末試験の方が難易度が低く点も取りやすい傾向に昔はあったからです。最近はそんなこともないみたいです。

(Mol bio+Bio chemistry1(2年1学期)+Biochemistry2(2年2学期)の合計合わせて220点でBiochem2のFinalのwritten part 免除でOralだけになるので、出来るだけ高得点狙っておきたい科目です。)

seminorの先生がgroupによって違って、ボーナス点の取りやすさにかなり差があったりと結構当たり外れあります。

【Genetics】

遺伝学。教科書はGenetics In Medicine.(Thompson&Thompson)。細胞分裂にはじまり、遺伝病について仕組みや症状などを学びます。

この中で唯一進級科目じゃない(2年後期に取得も可)
のですが、その割に結構きつかったとの声多数。

学期中SCT3回、home work Bonus入れて60%でpass、Final免除。
この大学にしては珍しい比較的過去問が使える科目ですが、Departmentのslideはしっちゃかめっちゃかで勉強しにくいし、試験形式が結構エグいので点が取りにくいです。

落としたらFinalはBiophysicsのようにApart Bpart分かれており、Apartでminimal試験がある上に範囲のword listが無いっていうアレな感じ…
これもSeminorの先生はgroupによって違うので当たり外れあり。

【ハンガリー語2】

3年後期まで毎学期あります。テストは中間・期末の2回。必修科目ながらも進級科目ではないのですが、いつまでに取れば良いみたいなのが色んな説あってちょっとよくわからないです。。


まとめ


1学期も比べたら医学的なことも少し入ってきて面白くなる学期です。科目数は減るものの1つ1つが重たくなるので、別に楽にはならないです😂

セミナーによって担当の先生が違うので、授業の質的なものはかなりバラツキがあるような……(今後どの科目でもそういう面はあります)

どのような授業をする先生かによって各科目勉強の仕方も変わってくるので、色んな人の話を聞きながら臨機応変に工夫していくのが良いと思います。

1学期と違って進級科目でも学期中に頑張ればFinal免除がとれる科目ばかりです。

1番上手く行ったパターンならば期末試験はAnatomy partの総合試験のみ。

学期中の試験に全部受かれば期末試験は1科目、全部落としたら4科目と結構人によってFinal(期末)試験の大変さは違ってきます。学期中の頑張りが夏休みの長さと2年生になれる確率に関わってきます。

今年より変更になったAnatomyの試験形式が進級難易度に実際どう関わるのか、今年の夏を迎えてみないと正直わかりません。年々すべての科目が難化している傾向はあります。

特にAnatomyに関して、色んな人が難しい難しいっていうのでびびっちゃうかもしれないのですが、私個人がAnatomyを終えてみて思ったのは、難しさは決して学習内容的なものではないということです。(内容はよっぽどMolとかgeneticsの方が難しい)

ただ他の教科にくらべて、日本でやってきたような普通の座学的な勉強の仕方が効率悪かったりあんまり意味が無かったり、試験中の勘やセンス、独特のコツがいる科目であるのは確かです。なので単純に語学力がある・記憶力が良ければ問題無いというものでもなく、結構運の良し悪しも響く科目です。(これは経験者とか本当に現場感覚のある人間でないとわかりにくいことではあるのですが……)

1年のうちに''こうやってやったら私はいける!大丈夫!''ってやり方を確立させられたらもう万々歳です。それが出来てなくても1年のAnatomyはふわふわ受かっちゃったりもするのですが、2年のAnatomyで割と苦戦します。(実体験)

ハンガリー内の他大学に比べデブレは進級しやすいなどとも言われているらしい?のですが、そう言われつつもなんだかんだ1年だけでも学年全体で2〜3割は留年していると思います。(日本の一部の医学部のように、各学年留年したら全単位取り直しのようなシステムでないし、掲示板に張り出されることもないので、正確に何人進級しているかわかりようが無い)

私の時の2学期の試験のスケジュールはこんな感じでした。毎週何かしらの試験や課題などあってかなり忙しいです……

(新入生向けの資料をそのまま転用しました。作成当時時間無く手書きですみません)

画像の予定にあるGumballやFood dayというのはハンガリー・デブレツェン大学における数少ないイベントです。また別の記事にて、そんな楽しいことも書いていきます。(笑)


大学のHPに載ってる公式の各教科コース概要・案内書(通称Bulletin)はこちらです。1年2学期の分は150p目〜ご覧ください。→http://www.edu.unideb.hu/tartalom/downloads/bulletin_18_19/English_Program_Bulletin_Faculty_of_Medicine_final_09_10_2018.pdf 

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ねむるこ🇭🇺ハンガリーの医学生
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