【朝日広告賞 最高賞】キューピーコーワゴールドα-プラス
2014年、朝日広告賞で最高賞を受賞した作品。
何を言い得ているのか
キューピーコーワは、疲れた体に活力を与える栄養補給剤。
「打ちのめされても」というコピーから、「人間から活力が奪われた状態」をしぼんだ人間型で表現している。
人が疲れている状態を視覚化するにあたっては、普通は「疲れている顔」「猫背になっている」など、表情や身体表現で疲労を表現するCMや広告が多い。
この作品では、人間の体を空気の入っているゴムのような捉え方で、しぼんだ人間で「疲れている人間」を表現するという、斬新な演出によって新鮮な印象を与えている。
評価されているポイントは?
人体の理屈には絶対に起こり得ない、「体がしぼむ」ことで「疲労している人間」を表現している新鮮さと、それを端的にわかるようなビジュアルの体現性が評価されていると考える。
また、オフィスや家ではなく、「屋上」という場所に存在していることも特徴である。屋上というのは外を眺めてぼーっとしたり、極限であれば死をも連想させる場所である。つまり、「疲労の限界値」に至った人が行き着く一つの場所と捉えることができるため、疲労状態のイメージをより加速させる環境となっている。
どういったロジックでこの表現に至ったのか?
※あくまでも想像です。
「疲労回復」という商品の効能を伝えるために、疲れている状態の人をビジュアルに据えたいが、身体表現は凡庸なビジュアルになってしまう。人の肉体の前提を覆し、グラフィックならではの「疲れ」の表現ができないか?と考えたときに、「人がしぼむ」という非現実だがグラフィックにしかできない表現にたどり着いたのではないかと思う。