「ギャツビー」の広告(準朝日広告賞受賞)
一般公募の広告賞受賞作品。
1. なぜアイデアとして優れているか?
毛を「トゲや菅状花(花の中央部分)」に見立てるという、シンプルながら毛を使う挑戦的な広告。
ギャツビーといえば、ワックスやシャンプー、シェービング剤など、メンズ向けの商品を展開するブランド。
通常、体毛を使う広告は、発想自体は面白いが、違和感や気持ち悪さを醸成するようなビジュアルになりかねない。
しかし、この広告では体毛を「花」の中に上手く調和させることによって、ぱっと見た雰囲気では華やかな印象だが、GATSBYはブランド認知度が一定あるため、ロゴが存在することによって、黒い線の集合が体毛に見えるというロジックがある。
GATSBYだからこそできる表現であり、体毛という嫌悪感を醸成しそうなものを花に見立てているからこそインパクトのある表現となっている。
2. ビジュアル表現のよさは何か
リアルな花ではなく、クラフト感のある絵のタッチにすることによって、体毛を表現する黒い線が違和感なく存在できており、また、花にすることによって黒い線が調和しつつ、毛の輪郭を失うことなく配置できている。
さらに、それぞれの植物の近くに、ブランドロゴが入ることで、黒い線が直感的に体毛であることが認識できる。
また、青い帯があることによって、黒い毛の印象強さを軽減しつつ、爽やかささえ感じさせるビジュアルとなっている。
3.構図の妙は?
ひまわりやサボテンは、周りの青いシェイプによって枠ができ、ひまわりやサボテンに目が行く構図となっている。
赤い花は、両端にも背の高い青い帯を敷くことで、花の高さが助長される。
4. 批判的視点
短い毛だけでなく、もう少し髪のような、風になびいているような表現があると、ヘアケア商品を扱うブランドであることも訴求できたかもしれない。
5. 個人的な感想
ギャツビー=毛髪を整えたり、髭を剃るときに使用したりする、メンズケア商品であることをあえて体毛を、体毛らしくない表現にしている、綺麗に見える表現が面白い。