【毎日広告賞 優秀賞】象印マホービン
2014年、毎日広告賞で優秀賞を受賞した広告。
何を言い得ているのか
タンブラーを乗り物に見立て、人がタンブラーに覆われている状態によって、「保温」という機能性と、あたたかいものを飲んだときの「体や心が温たくなる」という感情を掛け合わせて表現している。
日常の身近な場面に寄り添う製品であるということを、日常の場面とタンブラーに置き換える見立てによって表現している独創性に面白さがあるビジュアルである。
評価されているポイントは?
マホービンは暮らしに寄り添った日常生活発想の製品を提供する企業。様々な製品の中でもこのグラフィックでは、保温性に優れたタンブラーを使って「宇宙船」「電車」「車」という乗り物にそれぞれ見立てている。
通常は人がタンブラーを持ち歩くが、このグラフィックでは大胆に乗り物に見立てることで、タンブラーが持つ「保温」という機能を、人を包み込む「温かさ」と掛け合わせて表現している。
さらにコピーには「後悔」「悲しみ」「落ち込み」といった負の感情が、人を見るタンブラーの視点で描かれている。こうした日常に潜む嫌な気持ちも、タンブラーが包み込む、つまり体の芯からあたためてくれるということを、人を乗り物(タンブラー)で覆うという逆転の発想で表現している。
どういったロジックでこの表現に至ったのか?
※あくまでも想像です。
タンブラーの持つ「保温する」機能を=「温かい」という感情表現と掛け合わせられないかという発想があったのではないかと思う。そこから、タンブラーを温かい飲み物の箱として捉えるだけでなく、「人を包み込む箱」という視点で捉え、人を包む箱=乗り物という連想からこの表現にたどり着き、また、それだけになると理解の難易度が高くなるため、コピーによって「あったかい」というワードを「ある」「温かい」という2つの意味を含めることで、それがタンブラーであり、機能性と感情の部分を掛けているということが理解できるようにしていると考えられる。