星野源 DOME TOUR 2019『POP VIRUS』の、ライブのエモさをグラフから考える
●はじめに 今回のツアーが一番、気持ちが近かった
こんにちは!
デビルスコーピオン(28歳男性既婚)です!
昼間は会社員、月に数回レコードでDJをしている者です。
この記事では、星野源さんの2019年ドームツアー「Pop Virus」のライブがめっちゃ楽しかったので、分析っぽいことをしながら見つめる事で、今回のライブのエモさを皆さんにお伝えできれば…という内容のものです。
すでに公式や各ライブレポートでセットリストや演出でのネタバレは解禁されているのですが、
むしろ今の自分は、今回のツアーこそDVD・ブルーレイの映像&音声での補完が必要! と思っているので(理由は後述)、これを見る事で、ライブ観た人だけでなく、観てない人も楽しめるような記事……になるといいな!
ライブ観てない人もDVD/BD買ってみよかなって思ったり、今後の星野源さんの動向を追って頂けたら嬉しいです。
さて、私個人の話になってしまいますが、
私は、ソロになってからの星野源さんを、「夢の外へ」や「SUN」のPVで「かっこええやんけ〜〜! す、好き……!」となって以来、
2016年のツアー「YELLOW VOYAGE」で初めてライブを観に行って、2017年「YELLOW PACIFIC」「Continues」と自主ツアーの東京公演にちょいちょい行った、というここ数年程度のファンでして、もっと前の事は分からないのですが、
当時の心象を説明した9コマまんが!
闇遊びしてたらすっかりファンに…
そんな中でも今回のライブは、今までで一番規模が大きいドームツアー(5万人の観客!)にも関わらず、終盤、「源さん〜!」って、28歳男性の私が、舞台への個人に対する純粋な気持ちで、全力で手を振ってしまうほどのエモさを伴った、個人的には今までで一番最高の星野源体験だったのでした……。
手を振ったとしても、直接自分に振り返してくれるわけではないとは分かっているのに、一方で、それでもまるで自分に直接の私信を宛ててくれたかのような感覚、というか……。
ここまでライブに没入できた理由はなんなのでしょうか。この気持ちを数値として表して、分析してみよう、というのが今回の記事の主題です。
●0 ライブをグラフ化すること(とばしてもOK)
ところで、私はいわゆるライブのセットリストを見る事でウヒャウヒャする、いわゆるセトリ厨なのですが、最近エスカレートが過ぎて、曲の分数・速さ(BPM)・舞台上の演出・客の反応などをつぶさにメモして、後でグラフ化して分析するのが好きなタイプの妖怪と化しています。主に、ceroというバンドのセトリを、じっとりと観測しています。
また、グラフの基本形としては、曲のテンポ(BPM)をタテ軸に、時間経過と、何分にどんな曲が流れたのかを横軸にとってグラフを作っています。
⬆️先にちょっとネタばらしですが⬆️
今回のライブの開始1時間までのグラフです。 怖い! キモい!
音楽評論にもタテ方向(ジャンルでの歴史)ーヨコ方向(同時代でのシーンの動き)に詳しい専門家の方々は既に数々居られるし、音楽ジャンルの専門的な話はアルバムのライナーノーツや、各メディアでの発言の方が詳しいとは思いますが、
ライブというアーティストの最前線の情報を、あえて数値にして眺めてみることで、ライブの感動を、観に行っていない人にもある程度分かりやすく・見えやすく説明出来たり、何か新しく見えてくるものがあるんじゃないかな〜〜〜とか期待して、この活動を行っています。
こういう気圧配置だから、こんな天気になったよ というような気象台からの情報。みたいなスタンスです。
今までは、BPMを体感の5刻みでやってたのですが、今回からは音と光の出ない、周囲に迷惑のかからないメトロノームを購入しました。つまり、ライブ中にじっとりとノートをとりながら、謎の機械を時たま取り出す、現在の妖怪みたいな生き物があの東京ドームのどこかにいたという訳です……。怪奇!
●1 グラフだウェイ!
前置きが長くなりました。
とりあえず、そんなこんなでライブ情報をグラフにしたよ!
ジャン!
うねうねしているね〜
分刻みの時間、曲名、BPMは書き出すと長いので、Dropboxにまとめました。同じ分析をするのが趣味の変態の方、よろしければ使って下さい。
この、何がなんやらなグラフやデータを使って、ライブのエモさを分析していきまぁす!
●2 ライブは3部構成 +アンコール
よし!早速ライブをおおまかに分割していきます。
今回のライブは18:30〜21:30頃までの約3時間を
ビデオメッセージやアンコールで4分割しており、
・最初の勢いで、50分間に10曲のアルバム曲をノリよく聴かせる第1幕、
・1曲ごとにMCをはさみつつ、バンド編成と和気あいあいと進める第2幕の30分強、
・シングル曲・踊りやすい有名曲が立て続けに続く第3幕の30分強、
・口上・MC等を入れつつ、多幸感あふれるアンコール30分強
と、シーン毎に明確に緩急がつけられています。
聴かせる第1部、和やかな第2部、ブチ上げる第3部、多幸感のアンコール
ライブのお客さんにも老若男女、子供さんから年配の方もいて、3時間ぶっ続けでテンション上げる曲は体力的にも集中力としても厳しい所があるので、
上手くテンションを配分することで、星野源さんがやりたい事、聴かせたい曲、求められていることを成立させているのかな〜〜と感じました。
今回のツアーで多くの観客が期待している曲といえば、
朝ドラの主題歌にもなった「アイデア」、ツアー表題曲「Pop Virus」の2曲かと思います。
次の章では、「アイデア」までブチ上げていく第3部、今回のツアータイトルでもあるアルバム「POP VIRUS」内の曲を聴かせる第1部のグラフを見ていきたいと思います。
●3 「アイデア」が軸の3部、アルバム曲を聴かせる1部
3時間の公演のグラフだけだと見辛いので、第3部だけでグラフを別途つくりました。
このグラフのキモさの原因は、
手書きな所と、グラフなのにめっちゃ躍動感がある所だと思う。
このあたりは数々のライブレポートにもある通りですが、第3部で歌った6曲は、シングル曲やアルバムのリード曲が続きます。
ステージ正面から登場した星野源さんが「アリーナ!」「スタンド!」とコール&レスポンスを返してから、テンポのめっちゃ速い曲、M16「化物」から勢いよく始まり、
「踊ってもらっていいですか『恋』!」という最高のMCで「恋」、続けざまに「SUN」!
「そうそう星野源といえばこれよね!」と、求められている所に直球で応えながら、場内のテンションを最大まで高めた所で、
MCとして曲紹介をはさみ、「アイデア」! マジ最高〜〜〜! 銀テープもスバ〜〜〜ッ!
そこから「Week End」でミラーボールが出て、踊りに踊り、源さんからの「声だせ〜! もっともっと〜!」と観客の動きをアジるアウトロから、本編最後のMC(「次で最後の曲です」「でもアンコールがあります」&最後の曲紹介)をはさみ、「Family Song」で〆る。
「アイデア」を軸にした、超アガる流れであるのはもちろんですが、
「アイデア」の前は「SUN」で曲のテンポを一段階落としているので、それぞれの曲が対照的に際立って聴けるようになっていたり、
「アイデア」の後の「Week End」は、本編ラストの曲「Family Song」が自然な流れで聴けるよう、テンション保ったままクールダウンできるような配置です。
「アイデア」をきちんと聴かせる構成ながら、各曲が際立つ構成。
第1部の方はどうでしょうか。
全曲紹介していると文字数がどえらいので割愛しますが、
こちらの第1部でもアルバム曲で盛り上がれるように、既存曲で「こんな感じで踊ると良いよ!」的な補助線を引いてみたり(M5桜の森〜M6肌)、舞台照明やダンサーのELEVENPLAYが登場することでテンションを保ったまま曲を聴かせる工夫が、随所に見られました。
第1部の図解もつくったヨ! 下記ご査収下さい〜〜〜ウェイウェイ!
M1登場、M2立ち上げ〜M3ブチ上げ、M4-6踊らせて、
M7,8聴かせて、最後は全部乗せ!
じんわりと聴き入る曲からむちゃくちゃに踊れる曲まで、曲ごとの特性を考えながら、
・舞台での立ち位置に変化をつける
・MC、舞台照明、各パートソロ、ダンサーの有無
・手を上げる、手拍子する、声出せ〜 などのアジりなどなどなどなど……
入れ替わり立ち替わり、曲や演出を足し引きすることで、テンションを持続させているのが分かるかと思います。
アンコールの方でも、めちゃめちゃ驚く演出や、寺坂さんの口上などで、一曲一曲丁寧に曲を聴かせながら最後のHello Songへと繋いでいく30分間強になっておりました。
(めっちゃこの話もしたい〜! 円盤出たら友達呼んで家で感想戦しよ〜〜っ!)
●4 「アイデア」が第2部を進化させた
一方で、第2部の方はどうでしょうか。
今までの単独公演でも、2幕目に弾き語りが3〜4曲入る事でクールダウンする構成はありましたが、
今回からは、ステージ前方にバンド隊を引き連れて、円陣でライブをしています。
去年出した配信曲「アイデア」は、アップテンポなバンド編成・打ち込みの合間に、ゆっくりと弾き語りを聴かせるパートが混ざっている、というハチャメチャな展開です。
曲の中に弾き語りが組み込まれているため、
今回のライブの曲順では、弾き語り曲を「弾き語りタイム」として、一場面に寄せる必要がなくなり、結果として、
・最初の一曲目 ・第2部のはじめ ・「アイデア」曲中
と、ライブ3部構成の全体に散りばめられるようになりました。
第2部が「弾き語りタイム」でなくなった事によってバラエティに富んだ演出が増え、
観客席からまさかの登場・長めのMC(なんと曲中にもMC始まっちゃう!)・STUTSのビートライブ・バンド紹介・和やかなトーク・特別編成での曲、
と、終始キャッキャ感を絶やさない事で、ライブへの集中を切らさずに観客が休める展開を作られています。
実は、この部分こそが、今までのライブと今回のライブの一番違う部分だったのではないか、と考えています。
ライブ全体で見てみても、
少数バンド編成だけれど楽しい曲、フルバンドだけどゆったりした曲
といった、スロー〜ミドルテンポの曲層が厚くなっているのが分かるかと思います。
これによって、
孤独な弾き語り(客への距離間は近いが盛り上がらない曲)から、
ダンサーを率いた豪華なオーケストラの星野源(盛り上がるが、ライブでは「あなた個人に」感が薄まる)へと、個人への集中〜会場全体の拡散の振り幅がなめらかにつながり、それぞれのテンションの良い部分を引き連れたまま、異なる楽しみへとギアチェンジさせる事に成功しているのかな と思います。
ライブの規模が大きくなればなるほど、本人の肉眼目視でのサイズは小さくなり「ああ、源さん遠くにいっちまったんだな……」と気持ちが遠くなってしまいますが、
この第2部に話を戻すと、まさかのカメラ席から星野源が登場し(会場絶叫)、観客の目線で弾き語り曲「ばらばら」を始め、「お、俺たちと星野源が同じ地平線上に立っている……」と心をわしづかんだ、あの最初の勢いを途絶えさせずに第2幕を進行できた事は、今回のツアーの成果だったのかなと思います。
会場が大きければ大きいほど距離感を近くする事は、非常に効果的になる演出だと感じました。
●5 その他、個人的にエモかった演出
M9.「サピエンス」のダンサー・ELEVENPLAY! なんか、色とりどりの衣装着てんな〜 と思ったら、歴代のライブ衣装で登場! めちゃかわ〜! 「恋」「YELLOW PACIFIC」とかは分かったけど、ちゃんと全て見れなかったので、マジ、早くライブDVDで確認したい……。会場規模が大きすぎて、同時多発的に起こっている部分が把握できるであろう映像作品に意味ができているのも良いですよね◎
M12.STUTSのビートライブは、今までの星野源の楽曲をカットアップして演奏タイム。
BPMも、直前の弾き語り曲「ばらばら」の80に近いところから始め、少しずつ上げて90になった所で、ラッパーのPUNPEEの「夜を使いはたして」の1バース目がかかりました。
歌詞も「このWeek Endは宝石のよう」「ドーム」等、ワードを散りばめたダブプレート(今回のための新録)になっていてまじ胸アツ……!
この曲を星野源がラジオで紹介したことから、STUTSと交流するきっかけになったんだよね……。と、STUTS側からの意趣返しになっていて胸が熱い。
最後は「Continues」のBPM87で「ラーラーラーララララ」を一緒に歌おう〜! みたいな着地。
「Continues」は、アンコール場面のメンバー紹介でも、イントロだけ演奏されていたりと、唯一複数回の演奏されていました。会場時間の都合、どうしてもフルでは演奏しきれなかった? とかなんでしょうか。どなたか情報下さい……。
一方で歯がゆく感じたのは、
比較的、曲が聴き込まれていない「肌」「Pair Dancer」「Present」での観客の反応かなぁ……。
特に「肌」では、自分の周りの席では半分の拍で軽く体をゆらす程度の人がまだ多かったので、16ビート裏ノリのリズムのノリ方は、もう少し、今後の課題となるのかなぁ と思います。
といいつつ、かつて「SUN」や「恋」でも、日本のポップチャートで主流でなかった曲調を流行らせた実績もあるので、心配というよりは次が楽しみだと感じています。
(トラップとかベースミュージックでよく入っているクラップ音を曲中に入れて、ライブ客の手拍子の位置を誘導する みたいな事はできると思いますし)
そしてそして! 自分が一番グッと来てしまった場面は、アンコール最後のHello Songも終わった、最後のカーテンコールの客出し場面!
普通に音源のPop Virusが流れたんですけど、
アウトロPop Virusのラララ〜って所を「みんなで歌おう〜!」って言ってくれた途端に目頭が熱くなってしまったな。
皆で歌ったこともエモいんですが、
この演出が、昨年のマークロンソンとのダブルヘッダーライブ(同日に「Pop Virus」のMVがYoutubeにUP!)に思いついてやったことを今回も踏襲しているんですよね。
同日発売の曲を客出しの時に流したら、観客がかなりついて来て、ガッツリと一緒に歌ってくれた……というイイ話。
(ライブは行けなかったので、ラジオの文字起こしで知りました。
謎の書き起こし職人みやーんさん 感謝!)
前述したELEVENPLAYの歴代衣装や、すっかりバンドメンバーになったSTUTSからの意趣返し等、星野源の周辺にいる人たちが、過去を引き連れつつ、現在に異なるカッコいい形で見せてくれたのが嬉しかったんですが、
それと同様に、この「Pop Virus」を一緒に歌う という事は、
我々観客側の過去(2018年のライブ)を星野源が一緒に引き連れて、今回の2019年のライブにフィードバックして表現してくれた。というのが、
自分にとってめちゃくちゃ嬉しかったんです。
星野源は毎回「皆さん一人一人が良く見えてます」とか「気持ち伝わってます」的なMCをするんですが、それが実感・体験を伴って流れ込んできた というか……。
(ちょっと感覚的な話になっちゃいましたが……)
観客からの反応をビビッドにとらえて、次に活かしていく
前と絶対に同じ事をしない、という強い意志、成長の鬼っぷりを感じるズェ……。
●6 まとめ
要するに、自分がエモエモのエモになって、「源さ〜ん! 源さ〜ん!」ってステージに向かって大手を振ってしまった理由としては大きく3つ、
・観客の期待値が高い「アイデア」「Pop Virus」を最高の状態で演奏してくれた事。
・他の曲もそれぞれテンションを保ちつつ、ずっと飽きさせないで演奏してくれた事
・過去をふまえながら、これからも成長していく星野源(とその仲間)を、演出から感じられたこと
かなあ〜
ライブに行けた人とは、どの席で見た? どこがグッときた? って聴きたくなるし、DVD/BD出たら絶対に見返したくなる、すげーいいライブでした……。円盤発売日はみんなスケジュール空けといてくれ〜〜〜っ
全然また、この演出最高だよね! とか全然話きれていないので、
Twitter、インスタ等やってるし都内で細々DJもしてるので、星野源の話したい人は連絡頂いたり、遊びに来てくれたら超うれしい。めっちゃ細かいメモお見せしながらウェイウェイします。
自分が怖い!
ライブはエモまっているので、演出や分数など、間違いなどあるかもしれません。星野源さんの事めちゃめちゃ追えているわけではないので、本人・公式との解釈が異なっているのかもしれないな……と思いますが、
このエモみを伝えたかったので活字をめっちゃ打ち込んだわけでした。(今これ書いてるの午前2時半)。
またライブ行きたいな〜〜! 記事はひとまずおわりです!
る