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ハローキティー殺人事件

★ハローキティー殺人事件
 舞台は香港、1999年。ある日、警察の元に14歳の女の子が現れて言いました。『助けてください! 毎晩毎晩幽霊の夢を見るの。女の幽霊で、金網にがんじがらめになっていて血だらけ。わたしその女に殺されちゃう!』 最初警察はただの少女のたわごとかと思いましたが、一応その女って誰なの?ときいてみることにしました。しかし話を聞くにつれて、おぞましい事件が発覚するのです。
 女の子は言いました。『お化けで出てくるのはファン・マン・イーという女の人。』警察は聞きます。

『それは誰?』
『えっと、知ってると言えば知ってるけど、あんまり詳しくはわからない。2か月前のことだし。ナイトクラブのホステスをしてたけど、死んでしまったの』
『どうやって?』
『わたしも少しは一緒にいじめたから。だからわたしを呪い殺そうとしてるんだわ!』
 警察は、少女の家についていきました。

 部屋の中には大きめのキティーちゃんのぬいぐるみがあり、彼女はそれをちらちらと見ます。このキティーちゃんなんですが、かなり大きめで顔はキティーちゃんなんですが体は人魚なんです。

 警察がぬいぐるみを調べたところ、なんと中から人間の頭蓋骨ができたのです。検査の結果、それは23才のナイトクラブのホステス、行方不明中のファン・マン・イーのものだと発覚しました。

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 そうなった過程をお話します。被害者であるファン・マン・イーは貧しい家庭に生まれ、親は彼女を育てるお金がなかったため、彼女ははやばやと児童施設に入れられます。そこで、彼女はドラッグに溺れてしまします。クリスタルメスをやっていたといわれています。クリスタルメスはかなりハードな部類のドラッグで、日本とおなじように香港でも珍しいドラッグです。    若くして結婚して子供も一人設けるのですが、夫は幼い子供の前でドラッグをやるし、酷いDVにも耐えられなくて、離婚します。ひとりで子供を育てるのは容易ではありませんが、子供のために彼女は必至になって働きました。またお金もないのでドラッグもやめようと心に誓いました。


 そんなある日、すべての不幸の始まりなんですが、チャン・マン・ロクという34歳の男に出逢ってしまいます。その男はドラッグディーラーでした。トライアッドという日本でいうヤクザ、イタリアでいうマフィアみたいな感じのグループの下っ端だったそうです。男はうまくファンに言い寄り、ファンはまたドラッグに溺れるようにしむけられてしまいます。ファンは頻繁にチャンの家に出入りしました。そういうしている間も子供にはご飯を食べさせないといけません。お金に困ったファンはある日、チャンがいないときに、チャンの財布からこっそり4000ドルを盗んでしまいます。そのことを大変後悔したファンは、ホステスから売春に仕事を変え、利子を加えて10,000ドルをチャンのところに持っていき、わびました。すでに元はかえってきて、さらに法外な利子も受け取っているのに、チャンはさらに16,000ドルを数日後までに返せと言ってきました。チャンは『俺たちは友達だと思っていたのに、俺はとても傷ついたよ』などと抜かしました。ファンは仕方なくうなずきますが、それは短時間で稼ぐには不可能な額でした。

 ファンは昼も夜も身体を売り、一生懸命働きましたがチャンに言われた額を期日までにつくる事はできませんでした。そのことを詫びにチャンのマンションを訪ねました。すると、チャンはとりあえず今日はドラッグでもやれよと言い出し、他の男二人をまじえ、四人はドラッグをキメまくります。そしてドラッグのせいなのかわかりませんが、チャンはなぜか今ファンを殴ったらおもしろいんじゃないか?という狂ったアイディアを思いつきました。男三人はラリってファンをボコボコにしました。ファンの顔は晴れ上がり、とても客を取れるような状況ではありません。

 三人はファンを監禁することにしました。

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 チャンの住んでいたマンションは香港の繁華街にありました。ドラッグや売春婦を使って稼いでいたので、そうとう広い部屋だったのですが、その部屋のデコレーションは異常でした。なぜなら、カーテンから、テーブル、お箸などの小物にいたるまで全てハローキティーだったからです。それはチャンの変態的な趣味?違います。それにはもっと怖い理由がありました。

 チャンは12,3歳の若い女のコたちに売春をさせていたからです。この部屋はチャンの家を行き来するそんな女の子たちを、安心させ、喜ばせるためだったのです。先ほどの14歳の女の子はチャンの彼女だったんです。ずいぶん年が離れているんですが。なので、彼女もたびたびこのマンションを訪れていました。ファンの監禁、暴行は一か月以上続きました。三人は金網でファンを縛り上げ、プラスチックのストローを溶かして肌にたらし、冷え固まったらそれを無理やりはがして、その生傷にチリオイル(タバスコの様なもの)をかけたり、口のなかに排尿して、一滴でもこぼしたら、殴るける。チャンの彼女も当時は13歳だったそうですが、チャンに洗脳されていたため、たびたび暴行に加わったと後に警察で自供しています。

 あるとき少女はタッパーに排泄し、その排泄物を男らがファンに食べさせたこともあったそうです。ファンは日に日に弱っていき、ついには息絶えました。男たちはチャンの命令でファンの遺体をバスルームに持っていき、十時間かけて遺体を解体しました。男三人がかりでもそれくらいかかるんですね。細かく切り刻み、それらを鍋で茹で、生ごみにまぜてすこしずつゴミに出していきました。彼らはファンを茹でている鍋の横で自分たちの食べるラーメンを茹で、同じ箸でかき混ぜていたそうです。

 最終的に下あごを外した状態の頭も茹で、肉もそぎましたが、頭蓋骨というのはなかなかかさばるものです。チャンはなぜか、それを部屋にあったキティーちゃんのぬいぐるみの一つの中にいれ、再び縫い合わせました。そしてそれを13歳の彼女に持って帰るように命令したのです。

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 それから数か月間13歳の少女はキティーちゃんの中に縫いつけられたファンの頭蓋骨から出てくる幽霊に悩まされることになります。少女は悩み、ついに警察に助けを求めました。

 ファンの幽霊が事件を解決したのでした。最悪なのはファンの死体のほとんどは消滅していて、残っていたのはぬいぐるみの中の頭部と歯などの一部だけだったので、はっきりした死因が突き止められなかったこと。男たちは裁判でファンが勝手にラリって勝手に死んだと強調。主犯格のチャンは仮出所つきの刑になりました。そしてその仮出所は2020年、今年なんです。  CAT 【デスラジオ E47  2020年10月10日配信】


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