覚書 FN・予防投与

好中球減少患者における感染症予防

  • 細菌感染症

  • 侵襲性真菌感染症

    • Candida

    • Aspergillu

  • PCP

  • ウィルス感染症

    • HSV

    • VZV

    • HBV


抗菌薬の予防投与

  • フルオロキノロンの予防内服はhigh−risk患者で

    • 好中球100以下が7日以上

    • 口腔粘膜感染を考慮するとLVFX

    • キノロン耐性モニタリングは必要

  • low−risk患者では推奨しない

  • 効果

    • 全死亡率やFNや感染症減少

    • キノロン耐性GNRが増加する可能性がある

  • 推奨レジメン

    • レボフロキサシン 500mg/day

    • シプロフロキサシン 500mg×2/day

    • chemo開始〜好中球回復もしくはFN発症まで

  • オーストラリアガイドラインではE.coliのキノロン耐性>20%ではベネフィットなし

  • 実際にどうするか

    • LVFX推奨

    • 院内アンチバイオグラムを作成

    • E.coliのキノロン耐性率が高い場合は控えるかも


抗真菌薬の予防投与

  • ポイント

    • 適応

    • 真菌薬の選択

      • 基本はカンジダ

      • Aspergillusはどうする?

  • 侵襲性Candida感染症の発生率>10%以上で感染予防を行う

  • 侵襲性Aspergillus感染症の発生率>6−8%で糸状菌に効果のある抗真菌薬を選択する


Candida予防

  • 侵襲性candida感染症高リスク

    • ALLO移植

    • AML/ALLに対する強化寛解導入療法とサルベージ導入療法

    • これらでカンジダ感染予防推奨!!(IDSA A-1)

    • 好中球減少期間が7日未満の場合は予防内服推奨しない(A-3)


Aspergillus予防

  • 適応

    • AMLもしくはMDSに対する強化化学療法

      • 13歳以上

      • IAのリスクが高い

      • 海外ではぽさコナゾールが推奨される

    • 生着前のAlloもしくはAuto後の移植患者

      • アスペルギルス感染予防の有効性は証明されていない

    • 侵襲性アスペルギルス症の既往がある場合(A-3)

    • 2週間以上の持続的な好中球減少が予想される場合(C−3)

    • HSCT前に持続的な好中球減少が認められた患者(C−3)


各真菌薬のエビデンス

  • FLCZ

    • AMLの導入療法と自家移植

    • Alloのpday75まで

  • VRCZ

    • AlloでFLCZと同等

  • MCFG

    • 副作用と薬物相互作用少ない

    • AlloもしくはAutoで治療成功率のみFLCZにまさった

結局どの薬?

  • AML/MDSのinduction

    • FLCZ(B−1)

    • ILCZ(B−1)

    • BRCZ(B−2)

  • Auto

    • そもそもリスク低い

    • FLCZの使用を考慮(B−3)

  • Allo生着前

    • 糸状菌感染症の頻度が院内で高い場合

    • pre-empitive therapyやempiiric therapyと組み合わせる

      • FLCZ(A-1)

      • VRCZ(B−1)

      • ITLC(B−1)

      • MCFG(B−1)

  • Allo

    • 著明なGVHDの場合は侵襲性糸状菌感染のリスク高い

      • フルコナゾールは使用しない(A-3)

      • ポサコナゾール

      • ILCZ(B−1)

      • ミカファンギン(C−2)

  • まとめ

    • AML/MDS導入

      • FLCZ

    • 自家移植

      • FLCZもしくはMCFG

    • 同種移植

      • 生着前

        • FLCZもしくはMCFG

        • 糸状菌感染のリスクがあればVRCZ

      • 生着後(著明なGVHD)

        • VRCZもしくはITCZ

各抗真菌薬の投与方法と投与期間

  • 期間

    • 好中球回復まで

    • Alloの場合は移植後75日まで

    • 著明なGVHDが改善するまで

  • 予防薬

    • フルコナゾール

      • 400mg/day

      • 治療量と同じ

    • イトラコナゾール

      • 200mg×2/day

    • ボリコナゾール

      • 200mg×2/day

    • ミカファンギン

      • 50−100mg/day

      • 点滴

    • ポサコナゾール

    • カスポファンギン

  • TDMについて

    • FLCZ:不要

    • VRCZ・ITCZ;トラフ濃度(0.5と0.5−2.0)


PCP予防

適応

  • PCPの発症リスクが3.5%を超える場合は予防の適応となる

  • 内服継続困難な副作用は3.1%

推奨(NCCN)

  • 同種HCT

  • ALL

  • Alemtuzumab

  • idelalisib

  • 長期ステロイド投与(20mg/day以上を4週間以上)

  • プリンアナログ製剤(or T-cell depleting agents)

  • 自家移植

予防薬

  • ST合剤

    • PCPの発症率を85-91%減少左折

    • PCP関連死亡率を83%低下させる

    • 投与法

      • 毎日SS

      • 週3回DS

      • 週2回 SS2錠分2

    • 投与期間

      • 同種HSCT

        • 生着からday180まで

        • もしくは免疫抑制薬使用期間

      • ALL

        • 寛解導入療法開始から化学療法終了まで

      • aletuzumab

        • 開始から最終dose後2ヶ月かつCD4 200超えるまで

      • 自家移植

        • 移植後3-6ヶ月

      • J clin oncol 2013; 31: 794-810

  • 代替薬

    • ダプソン 50mg 1日2回内服

    • ペンタミジン吸入 300mg/回 月1回

    • アトバコン 1500mg1日1回 内服


抗ウイルス薬の予防投与

HSV感染

  • 好中球減少患者の粘膜炎の重要な原因微生物

  • HSV sero-positiveの患者の予防なしでHSCTもしくは寛解導入で60-80%で再活性化

  • 粘膜傷害によって、疼痛、経口摂取不良、細菌、真菌の重複感染が増加する

VZV感染

  • 細胞性免疫傷害が主なリスク

  • 同種移植患者で予防なしだと再活性化は30-60%

  • 自家移植では予防なしで20%

効果

  • 同種移植・急性白血病の寛解導入療法ACV投与で減少

  • 急性白血病の寛解導入療法で細菌感染症も減少

  • アシクロビルとバラシクロビルの効果は同等

  • 同種移植

    • アシクロビル800mg 1日2回を移植後1年間でVZV再活性化が減少する

  • 同種移植・自家移植患者

    • blood 2007; 110: 3071-3077

    • 投与後のreboundなし

対象疾患

  • 急性白血病の寛解導入療法(HSV)

  • 同種・自家造血幹細胞移植(HSV/VZV)

ただし保険適応には注意が必要

  • 造血幹細胞移植患者

    • 移植7日前から移植後35日まで

    • 200mg1日5回

    • バラシクロビルでは500mg1日2回

  • AMLの寛解導入療法の場合に保健適応なし

低用量アシクロビル

  • 200mg/day

  • 長期投与:移植後1年以上(免疫抑制薬終了まで)

  • 自家移植レシピエントでのHSV・VZV予防

  • 同種移植患者でのHSV・VZV予防

  • ただし全て観察研究

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