RTX3090&3080 ゲーマー向けマイニングTIPS
主に片手間にマイニングしているゲーマー向け。
いかにリスクを抑えつつ、お小遣いを稼ぐか。ハイスペックゲーミング&マイニングギアの両立がポイント。
折角ハイエンドグラボ買ったんだしグラボの元取れるくらい稼げるならやってみたいけど、所詮は自己責任の行為なわけで、故障リスクが怖い。
そんな方は是非読んでみてください。
※ウォレット作成、マイニングツール導入等の初歩的な事は各自でググってね。
・VRAM(ビデオメモリ)温度の確認
RTX3090とRTX3080にはVRAMにGDDR6Xメモリが搭載されており、このメモリは従来のGDDR6よりもVRAMの発熱がエゲツないらしい。
GDDR6X in 3080 and 3090 Hits 110C While Mining Ethereum (Tom's Hardware)
https://www.tomshardware.com/news/hwinfo64-adds-gddr6x-temp-monitoring-rtx30series
適切なオーバークロック設定や冷却環境構築をせずにマイニングを行ってしまうと、GPUメモリージャンクション温度はサーマルスロットリング(熱暴走によるスペック低下)を引き起こす110℃に容易に達してしまい、故障リスクを大幅に高める可能性が有ります。
まずはこのメモリージャンクション温度がマイニング中にどうなっているのか確認してみましょう。
↓メモリージャンクション温度を確認出来るソフトウェア
HWiNFO (ver6.42以降・β版可)
Sensors Onlyで立ち上げて下の方にドラッグしていくとGPU NVIDIA GeForce RTX 30○0の欄にGPU Memory Junction Temperatureの項目が表示されています。
そのままだと使い勝手が悪いので、MSI Afterburnerの設定からAfterburnerのUI上でモニタリング可能な様に設定にします。
MSI アフターバーナーのプロパティ→モニタリングタブ→アクティブハードウェア監視グラフ横の…をクリック。以下画像の手順で設定。
適切な設定がされると以下の様に、UI上のボタンで表示出来る様になります。
あとはマイニングツールを稼働しながら温度推移を確認するだけ。
ここまでの設定でマイニング中のメモリージャンクション温度が確認出来たかと思います。
GPU温度が50℃前後でもVRAMは倍前後の温度になってます。
・で、どのくらいの温度がヤバいの?どこからが安全圏?
GDDR6Xメモリの製造元Micronによると、95℃までが安全圏だそうです。
普通のエアフローのPCケースでマイニングすると余裕で超えますね^q^
RTX3090&3080のサーマルスロットリング設定は110℃となっていますが、95℃を超える温度で常用するのは実はそこそこリスキーな行為、これが現実。
スロットリング起こしてないし106~108℃でギリ収まってるからなんとか大丈夫だろ!と安易にマイニングを続けていると、そのうち盛大にコイル鳴きしながら画面が映らなくなってグラボがお亡くなりになってしまうかも…
・メモリージャンクション温度を下げる為にはどうしたらいいのか?
ここからは筆者が実践した具体的な対策方法を挙げていきます。
Step1.ファンスピード全開
ケースファンとGPUファンの速度を最大設定にします。
うるさいけど我慢。多少なりとも温度が下がります。
しかしこの時点で106~108℃。絶対すぐぶっ壊れるやつ。
Step2.オーバークロック設定を見直す
メモリークロックとパワーリミットを下げる事で、ハッシュレートを犠牲にVRAM温度を下げる事が可能。
但し一定のラインまで設定を煮詰めると、そこからは設定を上げてもハッシュレートは僅かにしか増えず、それ以上設定を下げたらハッシュレートは大幅に減る様になるので、ギリギリのラインまで詰めたら別の対策法を取る方が吉だと思っています。折角ハイエンド使っててミドルクラスより効率落ちてたら元も子も無いので…
参考までにMSI RTX3090 SUPRIM Xにおける筆者の設定(GPUによって設定は異なります。)
Core:-300/ Memory:+1200 / PowerLimit:77%(単体消費電力平均322W)
Excavator利用、モニターON:120.5MH/s、モニタースリープ:121.5MH/s
ハッシュレートが1~4程減少しますが、更に安牌を取る場合はMemory:+950~1100が推奨値。3090はホットスポットが+1100と謂われており、これ以上のOCはリスクの方が大きくなってくるので程々に。
元がTGP:420WのOCモデルな故にPLは大幅に下げていますが、例えばTGP:370WのモデルですとPL:88%前後が最適かと思われます。消費320W弱がハッシュレートを落とさないギリギリのPLラインと判断しています。
コアクロックの上げ下げはモニタリングソフトに標準表示されているGPU温度には関係有りますが、VRAM温度には殆ど影響が無いです。ハッシュレートへの影響も誤差レベル。同じくギリギリまで下げるのが吉。
結果:ハッシュレート落としたくないから別の対策法を模索する事に。
Step3.サイドパネル開放
PCケースのサイドパネルを思い切って取り払います。
この手法はエアフローがよろしくないケースに効果絶大。
モノによってはこれだけで8℃位変わったりもします。
結果:104℃→96℃!?
某N○XTケースの窒息っぷりが判明
まぁ狭いミドルタワーにこんだけデカいパーツ詰め込んでりゃそうなるか…
しかし、開けっ放しでホコリ入り放題は気分的にもよろしくない。
Step4.ケース自体を買い換えてエアフロー改善
エアフローが良好なケースだと開けてても閉めててもほぼ変わらないのでは?というわけでASUS ROG Strix Heliosを導入。うん…エアフローだけならLian Li o11とかもっと良さげなのあるだろ!とか言いたくなるよね?すまんな…筆者の卓上はROGだらけなのだ…
結果:サイドパネル閉めたままで98~100℃
GPUマイニングは良ケースを見極めるエアフローチェッカーだった?(錯乱)
Step5.エアフロー改善(簡易水冷導入編)
360mm簡易水冷クーラーを天面排気で取り付ける事によってエアフロー改善を目論見る。
何を血迷ったのか、サブPCに移したはずのRTX3070もぶち込んで1台で2枚同時稼働しようと企んだ様子が見えますね…補助電源も足りなくて分岐しててはずかp。
案の定2枚刺しではアッチアチでした。同時稼働で3090側が104℃前後。
結果:3090単体では98~100℃と相変わらず、但しCPU温度は減少。
大型空冷クーラーではマイニング中のGPUから上がってくる排熱を直に吸ってしまっていたのが、スペースが空いた事によって改善された様子です。
尚、簡易水冷を前面吸気のプッシュで取り付けるとGPUに当たる風圧が下がってGPU温度が多少なりとも上がるのでゲーミング&マイニングギアでは非推奨と考えています。
Step6. ヤケクソ直接冷却
(ケースファンをGPUバックパネルに直置き)
コア周辺のVRAMが載ってる辺りに、Noctua NH-U12Aの付属ファン(NF-A12x25 PWM)を排気方向で取り付け。
これがなんと効果絶大。4℃も下がった。フル回転でもうるさくない。
スペーサー挟んだりしなきゃならんかな?とも思ったけど付属の防振ゴムだけで充分な模様…溶けたりしそうならスペーサー挟むけど、今の所問題無さそう。
結果:サイドパネル閉めたままで94~96℃。
吸気方向にファンを設置すると96℃のまま動かなかったのでケース内エアフロー的にも排気方向に設置がオススメ。
Step.6にて結論としてVRAM温度安全圏の95℃前後を維持可能なゲーミング&マイニングギアの構築に成功しました。
この他にもオープンフレームケースにサーキュレーター直当て、サーマルパッド貼り替え、液冷グリスに塗り直し、GPU水冷化など手段は幾つか有りますが、そこまでやるのはもはやオーバークロッカーやガチのマイニングリグを構築する人達の域。
あくまでもメインはゲーミングPCで片手間に掘るという趣旨を外れない手段としてはこの位にしておくのが吉と思ってます。
自作PCやBTO構成等の参考になれば幸いです。
なお当記事のやり方を真似て事故や故障が起きても筆者は責任を負えないので悪しからず…
長文お付き合い頂きありがとうございました。
(2021/3/22追記)
豆余談
ソフトウェア関係
GeForce向けプラグイン別採掘速度
T-rex(手数料1%) > NB(手数料1%) ≧ Excavator(手数料ゼロ)
Phoenixは開発者逃亡して死んだ。
3070(と恐らく3060tiも?)はT-rexの方が効率良い。ハッシュレートがちょうど1Mh/s位上がるけど、元が60Mh/sなので手数料1%よりも差が大きい。
3090は1Mh/s上がっても元が115~121Mh/s位なので、手数料1%で損しがち。よってExcavatorがオススメ。
Excavator限定にはなるが、Nicehash Miner+AfterburnerよりもNicehash QuickMiner内蔵のOCTuneを使った方がOC最適化しやすい。
カーブ作らないでもコアクロック上限指定出来るし、MemClockに合わせてCoreClockのEff.最適値を導き出せるAuto機能等、素晴らしいお手軽さ。これぞ脳死ハッシュ。
T-rex使いたい場合も、QuickMinerで最適化したOC値をそのままAfterburnerにぶっこんで、Nicehash Miner使えばいい。
今の3090設定 725mV / 1110Mhz固定 / Memory:+1100
モニターON:119.5MH/s、平均312W
電気代とか
Ryzen 9 3950Xでアイドル時(マイニング中)のシステム全体消費電力が大体80W前後
RTX3090を含めたトータル消費電力は400W前後になる。
消費電力400Wで電気代1kWh/26円で24時間付けっぱなしと仮定すると、
30日間で電気代は7,488円
対して2021年3月現在のレートで1日辺り1,300円程掘れます。
1,300円×30日=39,000円 -7,488円=31,512円
ここから確定申告時に年収に応じた雑所得課税分が引かれる。とはいえ一般的な年収の人は多くて20%程度でしょ。お小遣いガッポリだ^q^
だが、7月にイーサリアムにEIP1559が適応されるので掘れ高が落ちるかもしれない。
来年にはイーサリアム2.0のPoS完全移行が実装されてGPUで掘れなくなるかもしれない。
つまり金儲け目当てだけで今から始めるのはマジでオススメしない。
どうしても今からやるっていうなら、GPU買うにもボッタクリ相場なので
あくまでハイエンドグラボを相場より高く手に入れたが、マイニングしたら結果的には相場より多少安く手に入れられる事が出来たといった結果を得る為、位に考えた方がいい。
今28万で3090買っても7月まで回せば結果的には19万で買った事になるよ。やったねたえちゃん。結果的には得じゃん? とはいえそのせいでどこもかしこも転売erだらけになってるんですけどね…
(多分今年いっぱいはクーラー付けっぱなしでも利益取れると思うから結果的にはほぼタダになりそう)