ジオゲッサーガチ勢になって良かったことと、抱えてしまった宿痾
この記事はゆる言語学ラジオ非公式アドベントカレンダーの19日目の記事です。昨日の記事はken_ichiさんの『ゆサD集計データ2023』でした。明日はあらんちゃんさんの『「事の語り事も此をば」も此をば』です。
はじめに
みなさんこんにちはこんばんは。筆者のゴブリンと申します。普段はゲームをしたり映画を観たりするのが趣味の一般社会人です。
早速本題に入りますが、皆様はGeoguessr(ジオゲッサー)というゲームをご存じでしょうか?
ジオゲッサーとはランダムに選ばれたGoogleストリートビューの画像から、Googleマップ上のどの地点であるかを推測して当てるゲームです。YouTubeでのプレイ動画を見たことがある人や、日本MAPなどでカジュアルにプレイした経験がある方も多いと思います。また今年のRTA in JAPANにてDaig_O氏が走者となり、会場を大いに盛り上げたことも記憶に新しいです。
そしてこの記事を書いている私も今年の5月ぐらいからジオゲッサーの世界マップをプレイするようになり、マルチプレイにおけるマスターランク(最高ランクであるチャンピオンの1つ下)まで行くことが出来ました。これぐらいのランクになると1分未満で国を特定するのは当たり前になってくる修羅のランクであり、ほとんどのプレイヤーが世界中の電柱・標識・交通情報・市外局番などを暗記しています。その結果としてどれだけ認知を歪められ、世界を認識するようになってしまったのかを語っていきたいと思います。
この動画は自分がジオゲッサーをプレイする模様を口頭で解説しながら録画したものになります。カットなどの編集は一切ありませんが、この記事を読む上でのイメージを掴みやすいと思います。(最上位のプレイヤーと比べると自分のプレイはまだまだです、既プレイヤーの方でアドバイスや見逃していたTipsがあれば是非教えてください)
良かったこと
とはいえ私はジオゲッサーというゲームを心から愛しており、この記事を公開したことによってジオゲッサーに良くないイメージが付いてしまうのは本意ではないので、まずはこのゲームをプレイしていて素直に良かったと感じたことから話していきたいと思います。
1. 様々な国やその首都の位置を正確に把握できるようになった
これがジオゲッサーをプレイしていて最も良かったことであり、他人にも明確にオススメできるポイントです。
ジオゲッサーの出題範囲は基本的にストリートビューに対応している国に限定されるため、本当に全世界が出題されるわけではありませんが、それでもかなりの国と地域が網羅されており、その中でもヨーロッパ諸国はほぼ全ての国が対応しています。(ヨーロッパはリヒテンシュタイン・ベラルーシ・モルドバ・コソボのみ非対応)
ジオゲッサーをプレイしているうちに自然と国の位置を覚えることができ、
今では出題範囲に指定されている国は3秒程度でクリックすることができるようになりました。出題されない国であっても世界地図を見る回数が圧倒的に増えたため、位置ぐらいはだいたい分かる国が多いです。
2.国旗もかなり覚えることができた
1番の内容に似ていますが、ジオゲッサーの出題範囲となる国であればほとんどの国旗を覚えており、ヨーロッパ・南米・東南アジアの国旗であれば大抵は覚えている状態です。自分で言うのも変な話ですが、もともと地理は苦手だった人間がここまでの状態になるのは相当すごいと思います。これが本当のゲーミフィケーションってやつでしょうか。
3.今まで認知の外側にあった国々に興味を持てるようになった
ジオゲッサーをプレイするまで、名前は知ってるけどどこにあるのかどんな歴史があるのかよくわからない国や、そもそも名前さえも知らずジオゲッサーによって存在を初めて知るような国が沢山ありました。
東欧地方の看板でラテン文字とキリル文字が併記されていることから旧ソ連の影響を感じて当時の歴史を調べてみたり、セネガル等でフランスと同じ電柱が存在することからアフリカの植民地時代を調べてみたり、突如現れて全てのジオゲッサープレイヤーを初見殺しするミッドウェー島やクリスマス島などに納得がいかず情報を調べつくしたりと、自分の知らない知識や土地が沢山あるなとプレイのたびに思い知らされます。
出題される国それぞれに独自の歴史や文化が存在し、それを知ることでジオゲッサーの攻略情報としても使える。この永久機関にハマるとこのゲームは一生遊べるなと強く感じています。
ラテン文字とキリル文字が併記されているセルビアの看板
セネガル(上)とフランス(下)の電柱
代償として抱えた宿痾
ジオゲッサーをガチでやり始めた結果、世界の見え方が悪い方にも影響が出始めてきたので、そのことについても話していきたいと思います。
1.国や地域の名前を聞くとジオゲッサーで認識してしまう
当たり前ですがジオゲッサーというゲームは他のゲームと違って現実世界と密接にリンクしているため、ジオゲッサーと全く関係のない会話で国や地域の名前が話題に出ることが多々あります。その度に電柱やボラードの形が思い浮かんだり、Googleカーなどの撮影環境を利用したメタ情報が脳裏を過ります。個人的にはポケモンの種族値や格ゲーのフレームを記憶している感覚に近いのですが、ジオゲッサーともなると日々の生活に相当な影響を及ぼしているのは間違いありません。
自分が思い浮かべてしまうようなTipsの例
・イスラエルはナンバープレートが全て黄色い。これはヨーロッパ諸国だとルクセンブルクやオランダも同様である
・ナイジェリアはGoogleカーが強盗などの被害に遭わないようパトカーが常に追従している
・ウクライナのGoogleカーは基本赤い
・セルビアの固有ドメインは.rsなのでちょっと覚えにくい
・フランスの電話番号は2桁×5の10桁で、パリは01から始まる
上記のような国や地域を特定する要素は無数にあり、これらの情報はなぜかプレイヤー間で共有されまくっているため、この記事や動画で話した内容はある程度ジオゲッサーをプレイしていれば誰でも知っているものばかりです。ゆサD内のチャットではコモンセンスがバグった私の発言を随所で確認することができると思います。(全体的にゆサDがこのような何こいつキモな発言に寛容な雰囲気があり、それが結構好きです)
2.外出時に気が付くと看板や標識を見ている
ジオゲッサーにおいて看板や標識などの情報はかなり有用なものであり、国だけでなく地域や現在地の特定に使える場合が多いです。(ジオゲッサーのためにロシア語やタイ語などを覚えたというプレイヤーも少なくないです)
私は現在日本の札幌市に住んでいるので街中で目に入る文字情報はほとんど日本語だけですが、www.~~~という文字列を見ると無意識にドメインを見ていたり(当然.jpか.comしかない)、徒歩なのに青看板を凝視することがしばしばあります。
海外ジオゲッサー界隈ではHokkaido Arrowと呼ばれるTipsがあります。これは雪が積もった時に車線がわかるように設置された下向き矢印のことを指す海外ジオゲッサー界隈の用語であり、全世界で日本の北海道にのみ設置されています。北海道に住んでいるとこれを見かけることが普通にあるので、ちょっと嬉しくなります。
3.海外在住者や旅行者の人にジオゲッサー関係の話をしたくなる
ゆサD内には結構な人数の海外在住者が居り、その方々に対してジオゲッサー関係で得たTips的な情報を話したくなったり、あわよくば写真を撮影してもらいたいとさえ思っています。今回Advent Calenderに参加されているシズきちさん(12/12担当)にアイルランドの現地情報を教えてもらって歓喜したり、数か月後トルコに行く予定のメンバーにトルコ固有の停止標識の撮影を頼むなどしています。(傍から見るとわけのわからん会話に付き合ってくれてありがとうございます)
DURと書かれているトルコの停止標識
4.カジュアルなジオゲッサープレイ動画を見れなくなった
ジオゲッサーは現実世界を使ったゲームという内容のキャッチ―さから、ここ数年かなりの人気を博しており、様々なYouTubeチャンネルでプレイ動画がアップされています。
しかしこれらの動画の9割以上はかなりカジュアルなもので、日本限定のマップでワイワイ遊んでいるものや、世界マップであっても基本的に言語や国旗などでなんとか推測してみたものの、大外ししてウワー!みたいな動画が大半を占めています。
これ自体は個人的に何の問題もないどころか、ライト層で賑わう状況はむしろありがたいと言わざるを得ないのですが、自分は前述したようなカジュアルなプレイ動画は全く楽しめない身体になってしまいました。ゲーム開始から1分もしないうちに自分は国の特定を終えてしまっています。
またコメントで「何分何秒の時に映っている電柱はポルトガル固有のものです」とか「Googleカーの形状と風景からしてキルギス確定です」と投稿してもキモいだけです。あなたがジオゲッサーのプレイ動画をアップする時、私のようなガチ勢も見ているかもしれませんが、気にしないでくださいね。
ポルトガルの電柱
キルギスのGoogleカー
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございました。
代償だ宿痾だと言ってきましたが、このジオゲッサーというゲームは本当に素晴らしいコンテンツであり、この記事を読んだことでプレイしていただけるきっかけにでもなれば嬉しく思います。
また、この場を作っていただいたゆる言語学ラジオさんおよびゆサDに深い感謝を申し上げます。私はゆる言語学ラジオさんやゆサDのコンテンツ制作には一切関与していませんが、毎月1000円払う程度には好きなコンテンツなので興味のある方はこちらもぜひよろしくお願いします。
おまけ
動画の補足
ペルー南部の山岳地帯
スウェーデン国旗と同じカラーリングのシェブロン
MAXIMUMと書かれているカナダの速度表示
PAREと書かれた南米の停止標識
ALTOと書かれた中米の停止標識