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輝道家直系、皇綱家(チャーシュー麺、のり、ライス)

結論から言うと、という前置きはいかにも労働めいていてキライだが、めっさうまがっだでず。

輝道家と言えば、新中野武蔵家系の武道家出身の菊池さんが営む、ブッ濃い家系を提供する店。その直系店が2020年12月に激戦区池袋で屋号を掲げた。

家系は武蔵家も好きだが武道家も大好きなのでかねてより猛烈に気になっていたお店。さらにあの家系四天王の中でも異彩を放つ「王道家」の薫陶を受けた輝道家出身とあっては行かない訳には行かない。たまたま予定が合い念願の皇綱家デビューを果たした訳だが、早々に後悔した。なぜおれはもっと早く来なかったのか…この旨いラーメンを啜りにこなかったのかなと…(3点リーダを使った腹のたつ修辞)


ラーメンは濃くて脂っこい。
特に家系はその最たるものだ。もちろん胸焼けが付き物で、食べた後は「もうしばらく食わねえ」という気持ちになる。ただ、それを正面から食らい伏せるのが愉しさであり、喜びでもある。

しかし皇綱家のスープは違った。

濃いのに、脂っこくない…?
胸焼けがしないだと…?

これには驚いた。いくらスープを確認しても、あの脂っこさが無い。いや、無いわけではないが、かなり少ない気がする。もちろんスープには芳醇な薫りを立たせる鶏油が浮かんでいる。

なぜだ…。胸焼けがしない。きもちわるくならない。ブッ濃いのにさらさら飲める…。

私は混乱し、迷宮にとらわれた。私がラーメンなのではないか。私がラーメンだからラーメンに最適化しているのではないか。机に鎮座している私は混乱し、箸で持ち上げられ、海苔と共に食われて行く。誰かに食べられている、誰かは分からない。家系ラーメンが好きな男のはずだ。私は咀嚼され嚥下する。王道家の薫陶受けたチャーシューはしっかり燻製ハイペリオン。なにも揺らぐことの無い確かなラーメン…それが私の存在をぐらつかせる…。

そうこうしている間に食べ終わり、店を出た。一体なんだったのか。私は何を食べていたのか。まるでベケットのモロイを読んだ後のような気分だ。

池袋は雨が降っており、皆が傘を差していた。傘を差していない人もいる。彼らの頭は濡れていなかった。天気は曇りのようで晴れてもいるようだった。ごち。

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