革新家TOKYO〜小松菜の入った家系が許せない〜


モダンな家系


美味しかったけど、味がしなかった。
革新というからもっとぶっ飛んでいて、既存の枠からはみ出したキワキワな一杯を出してくれるのかと思ったよ。

何のことはない。
単なる「既存麺の延長線上」にある一杯だった。
極めて高いバランスでなりたっている。珠玉の一杯。それだけだ。

めちゃくちゃうまい。
それだけだ。
それ以上なにもない。

丁寧に作られたスープ、こだわられた具材。
何もかもが演出された革新性で、予定調和だった。

いちばんムカついたのは江戸菜とかいう雑草。
丼のセンターに鎮座し、最悪の不協和音を奏でている。

退けよ、そこを。
そこにいるべきなのはな、クッタクタのほうれん草なんだ。
シャキシャキでみずみずしい野菜なんて、似合わねえんだよその舞台には。
へんに個性を出そうとしやがって。最悪だ。家系の野菜はな、みんな黒子に徹してんだよ。スープと麺が主役なんだ。やつらもそれを分かってる。だからこそ、ほうれん草は主役を引き立たせる名脇役なんだ。
ふざけやがって。シャキシャキの野菜なんかクソだ。おれはモスバーガーを食いに来たわけじゃねえんだ。スープにとろける程柔らかくなって、栄養がすべて水溶してしまったほうれん草をよこせよ。返せよ、ほうれん草を。

卓上調味料もところどころしゃらくさかった。
にんにく味噌、お前のことだよ。

豊富でご飯は進む

おれは家系でライスをかっこみたいのであって、味噌味に用はねえ。味噌が食べたいなら隣の花道庵に行けばいいんだ。味噌󠄀でライスがくいたいんじゃねえ。他の調味料は悪くない。

しゃらくせえ。腹が立つ。

おれは家系に江戸菜とか小松菜なんかを乗せるラーメン屋が一番許せない。それならいっそ乗せないか、ネギを乗せろ。

東京駅に訪れる外国人観光客には良いお店なのだろう。観光客むけの味としては極上の類だろう。
だが、家系が好きな人間は行くべきじゃない。
大きな主語で叫びたい。
家系が好きな人は行くべきじゃない。

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