「失敗が許されない」根深い原因 (2022/8/15)
記事の長さはおよそ1,500文字。2〜3分程度で読めます。
記事のポイント
ITの開発において失敗は不可避で、プログラミングに完璧はない。
この事実をいかに許容するかがソフトウェア開発、システム開発では重要だが、日本ではこの考え方が浸透しない。
製造業の人が「我々は10年壊れないものを作っている。なぜITでそれができない」と言ったりしているが、そうした考えの人が多いから日本はここまでIT後進国になったのだと思う。
なぜこうなったかといえば、かなりの部分は「失敗を許容しない体質」にあると思う。
失敗を恐れる結果、発達したマインドセットを私は「…してから思考」と呼んでいる。
なぜこうなってしまうのか。私の仮説は「マネジメント層が責任を取らないから」だ。
もちろん、部下に責任を押し付けたり、自分は関与していないと言い張る上司は世界中どこにでもいる。ただ、日本と違うのは、優秀な人は挑戦できる場所にすぐ移ることだ。
日本でもそうした傾向は生まれているが、まだまだ流動性が低い。
さらに言えば、超優秀だった人たちも牙を抜かれ、時間の無駄や挑戦しない文化を受け入れるように最適化されてしまっている。
米国資本の会社を卒業して数多くの日本企業と一緒に仕事をするようになり、「もったいない」と思うことが多い。
間違いなく潜在能力はある。とにかく挑戦すれば良い。
そのためには「邪魔するマネジメント」を徹底的に排除する必要があると思っている。
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こんなふうに考えた
元・日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員の澤円さんが、
日経新聞が運営する投稿サイト「COMEMO」に投稿された記事が掲載されていました。
この記事では「失敗を許容しない体質」の原因として、
「マネジメント層が責任を取らない」ことを挙げられていました。
「失敗を許容しない体質」があるのはその通りだと思います。
でも「マネジメント層が責任を取らない」のが原因というのは、
「会社」という状況に限定した場合ように思えます。
「失敗を許容しない体質」について考えたとき、
私は「自動運転車の実証実験」を思い浮かべます。
自動運転技術の開発は日進月歩で進んでいるものの、
”自動”運転ということでいえば「実証実験」の段階。
まだ完成しているわけではありません。
人間でいえば、ハイハイしている赤ちゃんが、
立ち上がる練習をしているようなもの。
うまくいかずに、尻餅をついたり転んだりするのは当たり前です。
もしかしたら、たまに軽い怪我をするかもしれません。
でもそんな失敗をしないで歩けるようになった人は、
これまでの歴史上ひとりもいないのではないでしょうか。
ある意味で自動運転車の実証実験も赤ちゃんと同じだと思うのですが、
「自動運転車」だと大目に見てはもらえないんですね。
ほんのちょっとでも通行人に怪我をさせた、
なんてことが起こると大ニュースになります。
そして関係者がお詫びして、
再発防止策が決まるまで「実証実験」は中止されます。
オリンピック会場での事故に関するトヨタのプレスリリースへのリンク:
国内外の自動運転事故をまとめたサイトへのリンク:
その結果、実証実験は進まず、ますます実用化が遠のいてしまう。
こんな事態が起こるのは
「マネジメント層が責任を取らない」からではないですよね。
会社や地位に限定されたことではなく、
社会的な根深い原因があるように思えてなりません。
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
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ディアログ 小川