「DX化」、「高齢化」 (2022/7/8)
記事の長さはおよそ1,600文字。2〜3分程度で読めます。
記事のポイント
新型コロナウイルス禍後の経済回復をにらみ、各国で労働者のリスキリング(学び直し)が活況。
重要なのは形だけの導入にとどまらず、リスキリングの効率を高めてどれだけ成果に結びつけられるか。
リスキリング活況の背景には「技術的失業」の懸念がある。
マッキンゼー社は2017年に、AIやロボットが単純労働を代替し2030年までに世界で最大3億7500万人が職種変更を迫られると予想した。
コーンフェリー社は、30年に世界で専門人材の不足が8500万人に達すると予想。
人材不足がなければ得られたはずの約8.5兆ドル(約1200兆円)の成長機会が失われるとみる。
危機感を抱く国はギャップを埋める努力を惜しまない。
フィンランドは、18年にAIの基礎知識をオンラインで学べるシステムを導入し3年で国民の2%に履修させて人材を底上げした。
同国では大学や専門学校で社会人が職業教育を無償で受けられる。
日本もリスキリングの必要性に気づき、国もようやく重点政策に位置づけた。しかし具体的な取り組みは緒についたばかり。
日本は職業教育の支出が他の主要国よりも小さく、生産性の足を引っ張る一因になっていた。
リスキリング導入は流れを変えるチャンスだが、単なるブームに終わるなら成長の道筋は遠のく。
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リスキリングで重要なのは、成果に結びつけられるかどうかだという本記事の主張には大賛成です。
ぜひそうなってほしいので、あえて「成果に結びつける」という観点から気になったところを3点あげます。
◆「教育投資が充実している国は生産性が高い」は本当か?
記事に載っていた、出所:日本生産性本部の[将来必要な投資へのスコア]と[生産性伸び率]の表をみるとこの両者には確かに「相関関係」はありそうです。
でも「因果関係」はどうなんでしょうか?
教育投資が充実しているから、生産性が高いのか?
生産性が高い(=儲かっている)から、教育投資にお金が回せるのか?
企業の業績が悪くなると真っ先に削られる予算のひとつが教育費であることを考えると、後者の可能性も高いのではないでしょうか。
さらに、教育投資と生産性や業績との間に相関関係がないとの研究結果もありました。
報告書へのリンク:
https://www.takamatsu-u.ac.jp/wp-content/uploads/2018/12/49_001-012_shimizu.pdf
◆職業教育を無償で受けられることは利点か?
フィンランドでは大学や専門学校で社会人が「職業教育を無償で受けられる」ことが良いことのように書かれています。
私は教育に限らず、タダで手に入れたものを大切にする人は非常に少ないと思っています。
タダなら、学ぶ気もないのに、暇つぶしで来る人もいるかもしれません。
何事も「身銭を切る」から真剣になると思いませんか?
100円でも1000円でも払うようにしたほうが、断然効果が上がると思います。
◆学ぶ以上に活かすことが大切ではないか?
6/29の投稿「DXは『文化』」で、新入社員のDX人材を別枠で採用しても、企業文化がその人材を活かせるものでなければ早晩退職してしまう可能性が高いとお話ししました。
6/29投稿のリンク:
リスキリングでも同じです。
せっかく時間とお金をかけて新しいスキルを学んでも、使える可能性がないと思えば、真剣に学ぼうと考える人は少ないのではないでしょうか。
デジタル=若者と捉えられることが多いですが、
デジタル化によって多くのメリットを享受できるのは、実は高齢者だと思っています。
高齢化の進む日本だからこそ、DX化を積極的に推進してほしいですね。
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。
「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川