「会社は家族」ではない(2022/7/7)
記事の長さはおよそ1,500文字。2〜3分程度で読めます。
記事のポイント
テルモは4月、課長登用条件を一新した。従来は14年程度かけて昇進するのが一般的だったが、年齢不問で応募できるようになった。
相次ぐ国際M&Aで、海外売上比率が7割に達するなど、グローバル化も進む。
「激しい変化に対応できるリーダーをつくるには、早い時期からの方向づけが欠かせない」これに先立ち管理職候補の若手育成にも手を打ってきた。新入社員の希望者から数人を選抜し、部門横断的な知識を学ばせる。
長く日本の人事の骨格となってきたのは「職能等級」と呼ばれる仕組み。
適性に関わらず年齢とともに昇進し、仕事の中身で処遇する海外企業に比べ昇進のスピードは緩やか。だがDXなどの環境の変化がこの仕組みの維持を難しくしている。
入社年次による人事管理が色濃い商社でも、外資系企業などへの人材流出を防ぐ狙いもあり脱・年功が進む。
抜てき人事の急拡大は中高年の不安を高めるリスクもある。
損害保険ジャパンでは20代でも管理職になれる制度の導入と前後して、役職定年の運用を緩和した。年功制の解体が即、企業の成長につながるわけではない。抜てきにふさわしい若手の育成や、変化にともなう組織のきしみを防ぐ工夫が不可欠だ。
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ご紹介したテルモや損保ジャパンに加えて、住友商事や三井物産、NTTなど日本の名だたる大企業で、長く日本の人事の骨格となってきた「職能等級」を改める動きが活発になっているそうです。
私は「役職」とは、仕事を円滑に進めるために割り当てられる「役割」で、
その「役職」に求められる「役割」をもっともうまく果たすことができる人が、就くのが当然だと思っています。
(年齢だけでなく、性別や国籍等に限らず)
さらにある「役職」に就いているから偉いとか、
就いていないから偉くないといった類のものでもないとも思っています。
なので、職能等級を改める動きがあることはとても良いことだと考えますが、一方でまだ新聞の記事になる=ニュースバリューがあることに少し残念な気持ちがあるのも事実です。
(faxの廃止がニュースになるような(笑))
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堺屋太一著『組織の盛衰』によれば、
組織には「共同体」と「機能体」があり、
前者は家族や趣味の会のように、構成員の満足追求を目的とするもの。
後者は、外的な目的を達成することを目的とするもの。
それぞれの理想は、
理想の共同体:終身、安住、内的評価。
理想の機能体:最小の負担で目的達成。
そして、
「機能体も長期的に目標を追求するのであれば、ある程度の共同体的要素を許容しなければならない。しかしそのことがまた、機能を失わせ、共同体化を限りなく促すことにもなりやすい。この点こそ組織の影の問題でもあるだろう。」
とおっしゃっています。
また共同体化した機能体の特徴として、内部競争の排除=年功人事の確立があるのだそうです。
出版社へのリンク:
https://www.chuko.co.jp/bunko/2022/06/207217.html
本来企業は「機能体」ですが、日本では「共同体」的要素が強くなりすぎたことが、競争力を弱めた大きな原因のひとつかもしれません。
「家族的経営」という言葉が良い印象をもって捉えられている面もありますが、「会社は家族ではない」ことはしっかりと自覚する必要がありますね。
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
「マガジン」にも保存しています。
「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川
美味しいものを食べて、次回の投稿に向けて英気を養います(笑)。