「希少動物」 (2022/6/7)
記事の長さはおよそ1,800文字。3分程度で読めます。
記事のポイント
東京・上野に日本最初の動物園が誕生して今年で140年。いま動物園は大きく変化を遂げている。
札幌市にある円山動物園。2018年にオープンしたホッキョクグマ館では観覧可能な陸上で過ごすのもバックヤードに引っ込むのも、すべてホッキョクグマの自由。お目当ての動物を見られなければがっかりする人もいるかもしれないが、それが今の時代の動物園。
「動物福祉」の観点は1960年代に欧州で生まれ、動物園へと広がった。日本の動物園でも、ここ10〜20年で急速に意識が高まりつつある。
中世に貴族ら富裕層が珍しい動物を収集展示した施設「メナジェリー」が近代動物園の起源とされる。1882年開園の上野動物園も含め、当初の動物園は「見せ物」としての側面が強かった。だが狭い空間に動物を閉じ込め、人目にさらし続けるやり方はもはや許されない。
動物園に求められる役割も変化した。絶滅の危機に瀕する生物の研究や保存への貢献がますます求められているのだ。「種の保存のためにも動物本来の習性を引き出す動物福祉の追求は欠かせない」
世界では、人間が野生動物を捕獲して展示する動物園の「正当性」をめぐる議論が活発だ。
現在の動物園では、動物と人間の距離も近づいている。両者を隔てていた檻や柵がほとんどない動物園として有名なのが、神戸動物王国(神戸市)。社長でもある佐藤哲也園長は約300人の社員のボーナスに頭を悩ませつつも「ビジネスのために生き物が犠牲になるのなら、そんなビジネスは絶対にしない」と断言する。
動物にとって望ましい環境や動物園のあり方などを考えるほど、結局、問われているのは人間の覚悟や行動だと気づく。動物園の未来は、人間や人間社会の未来でもある。
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「動物福祉」の観点が世界的に広がってきているそうです。
動物園側の都合で、強制的に檻の中に押し込んだりイヤなことをさせたりせず、動物たちにやりたいようにやってもらうことで、動物本来の生態が見られて結果的には来園者もよりハッピーになる。
たまには見られなくてがっかりすることもあるかもしれないが、本来は北極やアフリカまで行かないと見られない動物たちが、電車や車で行ける近場で見られる訳だから、見られなくても仕方ない。
それもまた「自然」と考える。
動物たちにとっては、生まれ故郷からは遠く離れた場所に来たけれど、園の職員のみなさんがリスペクト(尊重)してくれて、心身ともに快適に過ごせる環境を整えてくれるので、自分らしい生き方ができて、それなりに充実しているんでしょうね。
翻って私たち人間はどうなんでしょうか。
同日の日経新聞の記事「【風見鶏】ペットと政治と参院選」によると、2021年の日本での犬猫の新規飼育頭数は合わせて89万匹(犬40万匹、猫49万匹)。
それに対して同年の子供の出生数は81万人。犬猫の数の方が、人間の赤ちゃんの数を上回っています。
ある意味では、私たちのほうが「希少動物」になってきているわけですね。
そんな「希少動物」である私たちは、今回の特集で紹介されていた動物園の動物たちのように、快適に過ごせる環境の中で、リスペクト(尊重)され、自分らしく充実した生き方ができているでしょうか?
記事は「動物園の未来は、人間や人間社会の未来でもある」と締めくくられていましたが、未来に加えて現状を改善するヒントも与えてくれそうですね。
追伸
わたしは記事の中でも取り上げられている神戸動物王国に何度か行ったことがあります。
一般的な犬や猫、うさぎだけでなくカピバラに触れられたり、頭上の木をレッサーパンダが歩いていたり、ナマケモノがぶら下がってたり、鳥が飛んできたり。とても楽しいところです。
動物たちも檻に入れられているよりは楽しそうです。 ー 直接感想を聞いたことはありませんが(笑)
今年はまだ行けていないので、記事を読んで久しぶりに行きたくなりました!
神戸動物王国
本投稿は日経新聞に記載された記事を読んで、
私が感じたこと、考えたことについて記載しています。
みなさんの考えるヒントになれば嬉しいです。
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「学びをよろこびに、人生にリーダシップを」
ディアログ 小川